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- フェイスブックは、オンラインショップや実店舗におけるユーザーの購入情報を収集している。その情報に基づいた広告を、ユーザーに配信するためだ。
- フェイスブックは、ユーザーデータをさまざまな方法で活用しており、ターゲティング広告を配信するためのツールを広告主に提供する手法もその1つだ。
- フェイスブックがいかにしてユーザーのオフラインでの購買活動を把握するのか、さらに、ユーザーが広告の配信を止めるにはどうすればいいのか、見てみよう。
最近は何かを実店舗で購入すると、その店舗や購入した物に関する広告が、フェイスブック(Facebook)に配信されることが増えていると気づくことはないだろうか。Redditやツイッターでも取り上げられているこの現象は、偶発的なものではない。提携している小売業者を通して、フェイスブックはユーザーがオンラインショップや実店舗で何を購入しているのか知ることができる。そこから分析したユーザーの購買傾向に基づき、ターゲティング広告が配信されるのだ。
提携企業は顧客のメールアドレス、氏名、電話番号、購買記録などの個人情報をハッシュ化した(データをランダムな文字列に置き換えること)データを、フェイスブックに送る。フェイスブックはそのデータとユーザーの情報とのマッチングを行い、企業がフェイスブックを通して顧客に広告を配信できるようにする。
メイシーズ(Macy's)やディックス・スポーティング・グッズ(Dick's Sporting Goods)などの小売業者は、すでにこのサービスを利用して、フェイスブックに広告を配信している。
フェイスブックは8月、ユーザーが行った「Facebook外のアクティビティ」に関するデータが、ソーシャルネットワーク上でどのように利用されているのか、ユーザー自身が確認できるサービスを開始した(日本では未対応)。
フェイスブックの収入のほとんどは、広告収入によるものだ。2019年第3四半期の売上高は176億ドル(約1兆9200億円)、そのうち173億ドル(約1兆8900億円)が広告収入だった。広告主にとってのフェイスブックの利点は、購買層ごとに絞り込まれた情報が提供され、ツールを用いてハイパーターゲット型の広告が配信できるといった点にある。
Business Insiderは、フェイスブックがいかにしてユーザーのオフラインでの購買活動を把握するのか聞いた。ターゲティング広告が配信されるプロセスと、ユーザーとしてそれを受け入れるかどうか設定する方法について見てみよう。
このプロセスのスタートとなるのは、オンラインショップあるいは実店舗で顧客が買い物をすること。顧客の購買情報は、小売業者によって記録される
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ターゲット広告をフェイスブックに配信したい場合、小売業者は顧客の購買情報とともに、フェイスブックユーザーのプロフィールとのマッチングに用いる個人情報を、フェイスブックに送信する
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小売業者が送信する個人情報には、顧客の氏名、メールアドレス、電話番号、誕生日などが含まれることがある。
小売業者から提供されるほんのわずかなデータで、フェイスブックは「カスタムオーディエンス」、すなわち、その小売店で買い物をしたユーザーのリストを作成することができる
Reuters
2019年7月に公開された論文によると、匿名化されたわずかなデータを用い、かなりの精度で個人を特定できるアルゴリズムが開発された。そのようなデータを保有する企業は、フェイスブック以外ほとんどない。
フェイスブックの広報担当者によると、小売業者が収集した個人情報は、すべてハッシュ化されてからフェイスブックに送られ、フェイスブックユーザーとのマッチングに用いられたあと、消去されるという
Associated Press
ハッシュ化とは、テキストデータをアルゴリズムでしか読めないコードに変換することで、データのプライバシーを守るために行われる。
ハッシュ化されたデータの消去後に残るのは、マッチングされた情報だ。つまり、フェイスブックは小売業者からの情報に基づき、特定のユーザーとのマッチングを行う。その段階になると、小売業者は「カスタムオーディエンス」すなわちマッチングしたユーザーに直接配信する広告枠を、フェイスブックから購入できる
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メイシーズやディックス・スポーティング・グッズなど、いくつかの小売業者は、すでにこの広告ツールを利用している
Business Insider/Jessica Tyler
「我々の店舗に訪れたことのあるカスタムオーディエンスに、フェイスブックでターゲティング広告を配信することで、再びつながりが生まれる」と、ディックス・スポーティング・グッズの広報担当者は声明で述べた。
「さらに、我々の店舗を訪れる顧客と類似点の多いオーディエンスに働きかけることで、新たな顧客となる幅広いオーディエンスへアピールすることになり、来店者数と売上の増加へとつながる」
メイシーズの広報担当者は、実店舗での売上増加を目指し、フェイスブックの広告を利用しているという。
「実店舗でよい結果を出せたことが励みとなっている。今後も『フェイスブック外のアクティビティ』を扱うツールをテストしながら、成長していきたい」
一方、フェイスブックのユーザーは、オフラインでの購買に基づく広告の配信を、次の手順で止めることができる。「設定」から「広告設定」を選び、「パートナーからのデータに基づく広告」を「許可しない」にする
日本でも操作は同じだ。
フェイスブックでは、ユーザー自身が広告のターゲットとされているのかチェックできるツールもある。広告の右上のマークからメニューを表示し、「この広告が表示される理由」を表示すると、広告の表示・非表示を選択できる
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)