タイム誌「今年の人」グレタさんの軌跡…金曜日の座り込みから気候行動の「顔」になるまで

グレタ・トゥンベリさん(左)、サンフランシスコの気候マーチ(右)

左:スウェーデンの国会議事堂前に座り込み、気候変動を訴えるグレタ・トゥンベリさん。2018年8月28日、スウェーデン、ストックホルム。右:気候ストライキ(Climate Strike)マーチで抗議する人々。2019年9月20日、カリフォルニア州サンフランシスコ。

MICHAEL CAMPANELLA/Getty Images and REUTERS/Kate Munsch

16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんが『タイム』誌による2019年「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。

グレタさんは「無数の漠然とした真夜中の不安を、今すぐに変えなくてはならないという世界規模の運動へと変え、世界の姿勢を変えることに成功している」と同誌は記した

この運動は今年の秋に特にスケールを増した。9月20日には161カ国約400万人が抗議活動に参加し、史上最大の気候デモとなった。この世界的なストライキに続き、グレタさんは国連気候行動サミットで世界の指導者たちに向け、切々と、涙ながらにスピーチを行った

「こんなことは間違っています。私がいるべき場所はここではないのです。わたしは海の向こうにある、学校にいなければないのです」と涙ながらに訴えた。

「その上、私たちのところに希望を求めてやってくる? よくそんなことができますね。あなたたちはその空っぽの言葉で私の夢を、私の子ども時代を盗んでいます」

グレタさんは2018年に「未来のための金曜日(Fridays For Future)」 、または「気候のための学校ストライキ」(今ではおなじみの看板にスウェーデン語で書かれている)を始めた。学校を休んで政府に気候変動に対する行動を求めるよう、学生たちに促した。同年11月、9年生(日本では中学3年生)の時、グレタさんはスウェーデンの国会議事堂前で2週間のストライキを行い、政府に年間15%の炭素排出量の削減を求めた。

グレタさんは今でも、毎週金曜日にストライキを行っている。数えきれないほど多くの世界指導者にも会い、変わりゆく気候への意識啓発と行動を求めた。

「今年の人」となったグレタさんのこれまでを振り返ってみよう。

『タイム』誌はグレタさんについて「行動する人々に明快に呼び掛け、そうでない人々には恥知らずと浴びせた」と書いている

グレタ・トゥーンベリさん

2019年のパーソン・オブ・ザ・イヤーとして『タイム』誌の表紙を飾るグレタさん。

TIME

発表を受け、グレタさんはツイートした

「ワオ、信じられない! この栄誉は、#FridaysForFuture運動に参加している人々、世界中の気候活動家みんなのものです」

最終候補者には、アメリカ下院議長のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)氏、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領、トランプ大統領のウクライナとの取り引きを内部告発した人物、そして香港デモの参加者たちもいた。


彼女は気候変動、そしてそれを食い止めるための行動が足りないということについて、8歳のときから考え続けている。その影響をなぜ大人たちが緩和しようとしないのか分からない、とグレタさんは言ってきた

グレタ・トゥーンベリさん

グレタさんによる若者たちの気候ストライキはスウェーデンで始まった。

Anders Hellberg

11歳になる頃には、地球を救うことが不可能に思えることに、落ち込むようになったと言う。

2018年5月、スウェーデンの新聞、スベンスカ・ダーグブラーデット(Svenska Dagbladet)紙の気候変動のエッセー・コンテストで最優秀となったのが、活動家としてのキャリアの始まりだった。3カ月後、気候への取り組みのための学校ストライキを始め、その3カ月後、最初のデモを始めた。

アスペルガー症候群であるため、激しい部分があることも認めている

グレタ・トゥーンベリさん

学校ストライキ・デモ「未来のための金曜日」で。2019年7月19日、ドイツ、ベルリン。

Paul Zinken/dpa via AP

BBCのジャーナリスト、ニック・ロビンソン(Nick Robinson)氏からインタビューされ、「人と違うことは、才能のひとつ」と述べた。

もしアスペルガーがなかったら、これほど気候活動に一生懸命になることはなかっただろうと付け加えた。アスペルガーは「強大な力」ともツイートしている。

2018年12月、ポーランドのカトビツェで行われた、国際連合気候変動会議で講演した

グレタ・トゥーンベリさん(左)と父スバンテさん(右)

父のスバンテさんと。ポーランドのカトビツェで行われたCOP24サミットの記者会見にて。2018年12月。

Janek Skarzynski/Getty Images

サミット開始前に「これは人類がこれまで直面した中で最大の危機です」と国連のアントニオ・グテーレス(António Guterres)事務総長に言った。

「まず、私たちはこのことに気付き、それからできる限り早く排出を止めるための行動を起こし、守ることができるものは守るよう努めなければなりません」

3カ月後の2019年3月15日、金曜日の授業をボイコットした世界中の100万人以上の学生を率いて、気候変動を放置していることに抗議した

気候デモ

気候デモでウェストミンスター橋を渡る学生たち。2019年3月15日、ロンドン。

Matt Dunham/AP

123カ国以上で、若者たちが学校を休み、もっとしっかりした気候政策と温室効果ガス排出の削減を求めた。

その世界的なイベントの最中、ストックホルムのデモで「この世界に生まれただけなのに。私たちは一生、この危機とともに生きていかねばならないでしょう」と述べた

未来のためのグローバル・ストライキ

「未来のためのグローバル・ストライキ(Global Strike For Future)」デモに集まる人々。2019年5月24日、スウェーデン、ストックホルム。

Jonathan Nackstrand/Getty Images

「私たちはこれを受け入れるつもりはありません。私たちは未来が欲しくて、ストライキをしているのです。これからも続けるつもりです」と付け加えたと、ロイターが報じた

3月、ノーベル平和賞にノミネートされた

グレタ・トゥーンベリさん

2019年5月、オーストリア、ウイーンにて。

Reuters

「グレタ・トゥーンベリさんが始めた大衆運動を、私は平和への大きな貢献と見ています」とノルウェーの議員、フレディ・アンドレ・オブステガルド(Freddy André Øvstegård)氏はガーディアンに語った。「グレタ・トゥーンベリさんを推薦したのは、気候変動を止めるために何もしなければ、戦争や紛争、それによる難民の原因になるからです」と付け加えた。

最終的に平和賞は、エリトリアと自国との和平を仲介した、エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相が受賞した。

4月、バチカンで毎週水曜日に行われる一般謁見で、ローマ教皇フランシスコと話をした

ローマ教皇フランシスコ(左)とグレタ・トゥーンベリさん(右)

一般謁見でローマ教皇フランシスコと対面。バチカン、サン・ピエトロ広場(Saint Peter's Square)にて。

Vatican Media/Reuters

教皇は、気候変動を食い止める活動を強く支持すると明言している。「気候のために立ち上がり、真実を話してくださって、ありがとうございます。大変ありがたいです」とグレタさんは教皇に伝えた。

「神のご加護がありますように、取り組み続けなさい、続けるのです。進みなさい、前へ」と教皇は応じた。

その1週間後、イギリスの国会議員たちに対し、「あなた方の多くが、貴重な授業時間を無駄にしていることを心配しているようですが、あなた方が科学に耳を傾け、未来を与えてくれた瞬間に、戻るとお約束します」と述べた

グレタ・トゥーンベリさん

エド・ミリバンド(Ed Miliband)元 気候変動大臣(左から3番目)らと。

Leon Neal/Getty Images

国連のリーダーたちにも度々会い、フランス議会も訪れた。

大量の二酸化炭素を排出するため、飛行機には乗らない。ヨーロッパでは主に電車で移動する。だが、9月にニューヨークで行われた国連気候行動サミットに行くことは、新たな挑戦だった

グレタ・トゥーンベリさん

大西洋横断のクルーたちと。

Ricardo Pinto

ニューヨークとカリフォルニアの間を飛行機で1往復すると、車が1年で排出する量の約20%の温室効果ガスが排出される。

マリジア2というスクーナー(帆船の一種)の船長、ボリス・ハーマン(Boris Herrmann)氏に協力を依頼。太陽光発電と水中のタービン(メインはもちろん風)で動く船なので、炭素を排出しない

グレタ・トゥーンベリさん

炭素排出量ゼロの船、マリジア2号で。2019年8月16日。

Courtesy of Malizia II media

父のスバンテさん、プロセーラーのボリス・ハーマン氏とピエール・カシラギ(Pierre Casiraghi)氏、映像作家のネイサン・グロスマン(Nathan Grossman)氏との大西洋横断の旅は、13日間に及んだ。

アメリカ滞在中には、バラク・オバマ(Barack Obama)元大統領と面会した

グレタ・トゥーンベリさん(左)とバラク・オバマ元大統領(右)

オバマ元大統領と。2019年9月17日。

Screenshot/Obama Foundation

2人は9月17日、オバマ財団(Obama Foundation)の本部で会った

「私が世界に影響を与えたい若者たちに伝えたいことは、クリエイティブであれということです」とグレタさんは述べた。オバマ財団はその様子を動画で共有している。

「できることはとてもたくさんあるから、自分を過小評価しないで欲しい」

「16歳にして、@GretaThunbergはすでに世界で最も偉大な提唱者の1人だ」とオバマ元大統領はツイートした。

アメリカの議員たちにも会い、気候変動政策について話し合った。スピーチの代わりに、国連の2018年の気候報告書を提出した

アメリカ下院外交委員会と気候危機に関する特別委員会の合同公聴会にて

アメリカ下院外交委員会と気候危機に関する特別委員会の合同公聴会で。2019年9月18日、ワシントンDC。

Alastair Pike/Getty Images

公聴会での発言は、1分にも満たなかった

「私の言うことを聞いてほしいのではありません。科学の言うことを聞いてほしいのです」とグレタさんは述べた。

9月20日、161カ国400万人が参加した、グローバル気候マーチを主導した

グレタ・トゥーンベリさん

ニューヨーク市のデモにて。2019年9月20日。

REUTERS/Shannon Stapleton

世界中の大都市で、大人も若い人たちに加わった史上最大の気候変動デモとなった。「私たちが団結しているということ、私たち若者を止めることはできないということを、示すことができました」とグレタさんは翌日に述べた。

これまでで最も激しいスピーチは、9月23日に行われた国連気候行動サミットでのものだった。「30年以上も、科学ははっきりと示していました。それから目をそらし続けているというのに、ここへ来て十分にやっているなどと、よくも言えますね。必要な政策や解決策はまだ、一切示されていません」と述べた

グレタ・トゥーンベリさん

国連本部で行われた、2019年国際連合気候行動サミットにて。2019年9月23日、ニューヨーク市。

Lucas Jackson/Reuters

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は加盟国に対し、パリ協定で定められた2020年の期限までに排出削減目標を更新するための、具体的な計画を提出するよう要請した。各国に対し、2050年までにカーボンニュートラルを達成できる目標を設定するようにも促し、さらに事務総長が、2020年以降石炭を使用しないよう呼び掛けた。

彼女は目に涙を浮かべながら、世界の指導者たちを厳しく非難した。「あなたたちは、私の夢、私の子ども時代を、空っぽな言葉で奪ったのです」

グレタ・トゥーンベリさん

国連本部で行われた気候行動サミットにて。2019年9月23日、ニューヨーク。

Carlo Allegri/Reuters

「あなたたちは私たち若者に希望を求めているのですよ? よくもそんなことを! 」とグレタさんは付け加えた

スピーチの後、世界中から集まった15人の若者に加わり、地球温暖化に対して何もしていない5カ国は、国連の「児童の権利に関する条約」に違反しているとする訴状を提出

気候危機の影響に直面している世界中の若者を代表して集団で行動を起こすと発表。2019年9月23日、ニューヨーク。

気候危機の影響に直面している世界中の若者を代表して集団で行動を起こすと発表。2019年9月23日、ニューヨーク。

Radhika Chalasani/UNICEF

アルゼンチン、ブラジル、フランス、ドイツ、トルコに訴えが申し立てられた。「児童の権利に関する条約」が採択されて30年になる。2014年から、子どもたちは国連児童の権利委員会(UN Committee on the Rights of the Child)に、訴えることができるようになっている。

その後数カ月、アメリカとカナダを回って過ごし、気候活動家たちや環境デモに参加する人々に会った

気候関連の集会で。2019年10月11日、コロラド州、デンバー。

気候関連の集会で。2019年10月11日、コロラド州、デンバー。

Reuters

12月のCOP25気候会議に出席するため、電車とバスでチリのサンティアゴへ行く予定だったが、開催地が急遽、スペインのマドリードに変更になった。

そのため、行き当たりばったりで、オーストラリア人夫婦とその11カ月の息子、そしてプロ・セーラーが乗るの船に便乗させてもらい、大西洋を横断した

48フィート(約15メートル)の双胴船、ラ・バガボンド号で。2019年11月12日、バージニア州アトランティック。

48フィート(約15メートル)の双胴船、ラ・バガボンド号で。2019年11月12日、バージニア州アトランティック。

Courtesy of Twitter @GretaThunberg/Social Media via REUTERS

船は12月3日にポルトガルのリスボンに、同6日にマドリードに到着し、COP25でのスピーチに辛うじて間に合った

12月11日、マドリードで気候科学者たちに呼び掛けた。「希望はあるということを、あなた方に言いたい。私は知っています。でも、それは政府や企業の行いではありません。普通の人々の行いです」とグレタさんは述べた

国連COP25気候サミットで、気候科学者たちと。2019年12月11日、スペイン、マドリード。

国連COP25気候サミットで、気候科学者たちと。2019年12月11日、スペイン、マドリード。

Paul White/AP

グレタさんは続けた

「待つ必要はありません。今すぐに変えられるのです。私たち、普通の人々が」

※日付はすべて現地時間

[原文: How 16-year-old Greta Thunberg — Time's 2019 person of the year — became the face of climate activism in just one year

(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

あわせて読みたい

Popular

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み