イギリスがバラバラに? EU離脱を進めるジョンソン首相の総選挙"圧勝"は、スコットランド独立につながるか

ジョンソン、スタージョン

イギリスのボリス・ジョンソン首相とスコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相。

Getty

  • イギリス総選挙でのボリス・ジョンソン首相の勝利は、スコットランドがこれからもイギリスに留まり続けるのかという問題を鮮明にした。
  • 12月12日に行われた総選挙で、スコットランドではイギリスからの独立を目指すスコットランド民族党(SNP)が大幅に議席を伸ばし、独立の是非を問う2度目の住民投票を求めている。
  • ジョンソン首相は今のところ、そうした要求の検討を拒否している。だが、イギリスのEU離脱が近付く中、2度目の住民投票への政治的プレッシャーは高まっている。
  • 北アイルランドでも、初めてナショナリスト政党がその議席数でイギリスへの帰属維持を主張するユニオニストを上回り、緊張が高まっている。
  • ジョンソン首相の「1つの国」を導くという約束は、危うくなりつつある。

イギリス総選挙でのボリス・ジョンソン首相の勝利は、スコットランドの独立を意味するのだろうか? これが今、多くのイギリスの人々が懸念している問題だ。

この問題が鮮明になったのは、12月12日の総選挙でジョンソン首相が主にイングランドの有権者の支持を得て圧勝したあとのことだ。スコットランドでは、イギリスからの独立を目指すスコットランド民族党(SNP)が大幅に議席を伸ばした。

ジョンソン首相は「1つの国」としての政権を約束したが、イギリスの選挙結果をまとめた地図はこの国がこれまでになく政治的に分断していることを示している。

地図

UK

イングランドでは、これまで保守党が確保したことのない議席を含め、ジョンソン首相が大幅に議席を伸ばして圧勝した。

一方、スコットランドでは59議席中48議席をSNPが確保し、北アイルランドでは初めてアイルランドとの統合を求めるナショナリスト政党がその議席数でイギリスへの帰属維持を主張するユニオニストを上回った。

選挙の結果を受け、スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相は、独立の是非を問う2度目の住民投票を推し進めることが自治政府の「使命」だと宣言した。

「ボリス・ジョンソン首相にはイングランドをEUから離脱させる使命があるが、わたしにはスコットランドに別の未来に向けた選択肢を与える使命があることを、ジョンソン首相は受け入れなければならない」と、スタージョン首相は述べた。

スコットランドは独立の是非を問う住民投票を行うのか?

スタージョン

スコットランドのスタージョン自治政府首相。

Reuters

スコットランドでは2014年に独立の是非を問う住民投票が行われ、この時は有権者の過半数がイギリスからの独立に反対した。SNPに所属する政治家たちは当時、これは「1世代に1度あるかないか」の判断になると約束していた。

ジョンソン首相はこうしたコメントを繰り返し引用し、住民投票を再び行うことを認めなかった。

だが、2016年のEU離脱の是非を問う国民投票で、スコットランドとイギリスの関係は大きく変化した。

当時、スコットランドの有権者は圧倒的にEU残留を支持し、スタージョン自治政府首相はブレグジットに反対し続けてきた。

住民投票に抵抗し続けるのに苦労するジョンソン首相

ジョンソン首相

イギリスのジョンソン首相。

Getty

ロイターによると、ジョンソン首相はスタージョン氏との13日の電話会談で、改めて住民投票の再実施を容認しない考えを伝えた。

だが、スコットランドではSNPの政治的支配が続いていることから、2度目の住民投票を求めるスタージョン自治政府首相の主張はますます有利になるだろう。

スコットランドの人々はイギリスから独立したいのか?

スタージョン

スコットランドのスタージョン自治政府首相。

REUTERS/Russell Cheyne

スコットランドの前回の住民投票では、過半数がイギリスに留まることを選んだ。これ以降実施されている世論調査でも、イギリスからの独立に世論が大幅にシフトしたということはない。

だが、スタージョン自治政府首相は、イギリスが今後、少なくとも10年間は保守党支配になることを示すジョンソン首相の圧勝が、スコットランド独立に向けた世論の情勢を変化させ始めるかもしれないと期待している。

北アイルランドはどうなる?

デモ

EU残留を支持する人々。

Getty

北アイルランドの状況は、ジョンソン首相にとってさらにリスクが高くなりそうだ。ジョンソン首相のEU離脱計画では、北アイルランドと、イングランド、スコットランド、ウェールズの3つの地域からなるグレート・ブリテン島の間のアイリッシュ海に新たな国境検問所を作るとしていて、北アイルランドはこれに大反対している。

この問題をめぐっては、保守党は北アイルランドにおけるジョンソン首相の主な協力者である民主統一党の支持もすでに失っていて、今回の総選挙の結果はアイルランドとの統合を求めるナショナリスト政党への支持が高まっていることを示している。

9月のある世論調査では、北アイルランドの有権者の半数以上がイギリスからの独立を支持していた。

長きにわたり、ユニオニストとナショナリスト政党が対立している北アイルランドで、これは特に危険な流れだ。両者の緊張は、イギリスのEU離脱によってさらに高まるだろう。

国をまとめ上げると約束するジョンソン首相だが、ユナイテッド・キングダムの存続はこれまでになく危うくなりつつある。

[原文:Boris Johnson's election victory means Scotland could end up leaving the United Kingdom

(翻訳、編集:山口佳美)

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