透明なカタツムリ、巨大ネズミ、小さなカエル…ここ10年で発見された魅惑の動物たち

クロアチアにあるルキナ・ヤマ洞窟群のトロヤマ洞窟で撮影された透明カタツムリ「Zospeum tholussum」

クロアチアにあるルキナ・ヤマ洞窟群のトロヤマ洞窟で撮影された透明カタツムリ「Zospeum tholussum」

Jana Bedek, HBSD

  • 科学者たちの推測では、地球上の生物種の86%、海生の種の91%が、まだ発見されていないという。
  • だが、過去10年のあいだに、洞窟で暮らす透明カタツムリや、はるか昔の人類の祖先、新種のオランウータンといったエキサイティングな新種が発見されている。
  • この記事では、科学者たちが過去10年に発見した魅惑の動物たちを紹介しよう。

地球は、生物で満ちている。そしてその大半は、私たち人類がまだ知らない生きものだ。

2011年の調査に基づく推定によれば、地球全体の生物種の86%、海洋生物種の91%がまだ発見されていないという。科学者たちは、新たな動物をカタログに載せるべく、人里離れた高山の森林や、最も深い海域に出かけては、未発見の生物種の数を毎年少しずつ減らしている。

科学者たちはこれまでに、極限の環境で生きる奇妙な生物や、人目につく場所に潜んでいた未知の哺乳類を発見してきた。

この記事では、科学者たちが過去10年に発見した魅惑の動物たちを紹介しよう。


地球には870万種の生物が生息していると推定されているが、その大多数はまだ発見されていない。科学者たちは過去10年間で、驚くような生きものたちを発見してきた。

タイ、サトゥーン近くに位置するアンダマン海のヒンカオ礁で、カラフルな軟質サンゴの群生の上を泳ぐバナナフュージラーの大群。

タイ、サトゥーン近くに位置するアンダマン海のヒンカオ礁で、カラフルな軟質サンゴの群生の上を泳ぐバナナフュージラーの大群。

Sirachai Arunrugstichai/Greenpeace


2017年、オランウータンの新種「タパヌリオランウータン」が見つかったと発表された。タパヌリオランウータンは既知の大型類人猿としては7つ目の種にあたり、世界で最も数の少ない大型類人猿でもある

タパヌリオランウータン。

タパヌリオランウータン。

Maxime Aliaga

タパヌリオランウータンは800頭ほどしかいない。しかも、密猟や生息環境の消滅といった脅威にさらされている。

生物保全学者のエリック・メイヤード(Erik Meijaard)はプレスリリースで、「大型類人猿は、世界でもっとも詳しく研究されている動物の一つだ」と述べている。

「しかし、200年にわたる本格的な生物学研究を経たあとでさえ、まだこのグループの新種が見つかる。だとすれば、私たちが見落としているものは、いったいほかにどれだけあるのだろうか?」

オリンギトは、1970年以来はじめて西半球で発見された食肉類だ

木の上にいるオリンギト(Bassaricyon neblina)。エクアドルのミンドにほど近いタンダヤパ・バレーで、2014年4月の夜に撮影された。

木の上にいるオリンギト(学名:Bassaricyon neblina)。エクアドルのミンドにほど近いタンダヤパ・バレーで、2014年4月の夜に撮影された。

Nature Picture Library / Getty Images Plus

2013年8月15日、シカゴにあるフィールド自然史博物館で、数十年前の小型食肉類の標本が発見された。その標本のラベルには、似た種の名前である「オリンゴ」と書かれていたが、DNA試験で新種であることが確認された。

研究チームはエクアドルの高地にある森林に行き、この動物を発見した。オリンギト(スペイン語で「小さなオリンゴ」の意味)は、アライグマ科の一員でこれまでに知られているもののなかでは最も小さい。オリンギトは、オリンゴよりもはるかに海抜の高いところに生息している。

「発見の時代は終わっていない」、とスミソニアン国立自然史博物館の哺乳類担当学芸員、クリストファー・ヘルゲン(Kristofer Helgen)当時、ナショナルジオグラフィックに語っている

「2013年に、このすばらしく美しい動物が見つかった。この先もまだまだ見つかるだろう」

2017年、木の上から大きなネズミが落ちてきたのを見た哺乳類学者は、新しい種を見つけたと確信した

新種バングヌ・ジャイアント・ラット(Uromys vika)のイラスト。

新種バングヌ・ジャイアント・ラット(Uromys vika)のイラスト。

Velizar Simeonovski/The Field Museum

ソロモン諸島の住民たちは、ココナツを食べる体重2ポンド(約900 g)の巨大ネズミ、バングヌ・ジャイアント・ラットのことを昔から噂していた。だが、その存在を確認した科学者はいなかった。その後、環境保護区のとあるレンジャーが、切り倒された木から逃げ出すバングヌ・ジャイアント・ラットをつかまえた。

「ソロモン諸島で新しい齧歯類が発見されるのは80年ぶりのことだ。探そうとしていなかったわけではない。見つけるのが、極めて難しいだけだ」

DNA解析により最初に新種と確認した哺乳類学者のタイロン・レイヴェリー(Tyrone Lavery)は、プレスリリースでそう述べている。

この巨大ネズミは、絶滅の危機に瀕していると見られている。原因は森林伐採だ。切り倒された木で見つかった個体は、その後まもなく死んでしまった。「バングヌ・ジャイアント・ラットが置かれている状況からすれば、今発見されていなかったら、発見されずに終わっていたかもしれない」とレイヴェリーは言う

「このネズミが発見された地域は、手つかずの森林が残る数少ない場所の一つだ」

同じく木の上で暮らす愛らしい動物。リスよりも小さいフトオコビトキツネザル(Cheirogaleus medius)だ

枝の上のフトオコビトキツネザル(Cheirogaleus medius)。デューク大学霊長類センターで飼育されているもの。

枝の上のフトオコビトキツネザル(Cheirogaleus medius)。デューク大学霊長類センターで飼育されているもの。

David Haring/DUPC/Oxford Scientific/Getty Images Plus

フトオコビトキツネザルは、長期間にわたって冬眠することが確認されている唯一の霊長類だ。7か月にわたる冬眠に備え、果実や花をたらふく食べ、尾に脂肪を蓄える。その量は、最大で体重の40%にもなる。

木の上ではほかにも新種が発見されているが、こちらは抱きしめたくなるようなキュートさとは言えない。このプーケット・ホーンド・ツリー・アガミッドは、タイのプーケットで見つかった

プーケット・ホーンド・ツリー・アガミッド(Acanthosaura phuketensis)のオスの成体。

プーケット・ホーンド・ツリー・アガミッド(Acanthosaura phuketensis)のオスの成体。

Montri Sumontha/WWF

このトゲだらけのトカゲは、生息環境の消滅やペットとして飼育するための捕獲により、絶滅の危機に瀕している。

2012年にニューギニアの熱帯雨林で発見された10セント硬貨よりも小さいカエルは、世界最小の脊椎動物だ

手のひらの上に乗った世界最小のカエル「Paedophryne amauensis」。

手のひらの上に乗った世界最小のカエル「Paedophryne amauensis」。

iStock / Getty Images Plus

体長が平均7.7mmしかないこの小さなカエルは、パプアニューギニア南部に生息し、ダニなどの小さな無脊椎動物を食べている。

「発見されるカエルがどんどん小さくなっているのは、驚くべきことだと思う」

両生類の専門家ロビン・ムーア(Robin Moore)は、ナショナルジオグラフィックにそう語っている。ムーアはこのカエルの発見には関わっていない。

「(そうしたカエルは)ほかの動物が入り込めないニッチな環境に適応している」

DNA解析により、アマゾンのアラグアイア川流域に生息するアマゾンカワイルカが新種と特定された

ブラジル北部のネグロ川を泳ぐ「ボト・コル・ジ・ホーザ」ことアマゾンカワイルカ。新種と特定されたアラグアイア川に生息する種の近縁種にあたる。2010年7月26日。

ブラジル北部のネグロ川を泳ぐ「ボト・コル・ジ・ホーザ」ことアマゾンカワイルカ。新種と特定されたアラグアイア川に生息する種の近縁種にあたる。2010年7月26日。

Ricardo Moraes/Reuters

ナショナルジオグラフィックによれば、アラグアイア川に生息するカワイルカは、1世紀ぶりに発見された新種のカワイルカだという。

アマゾンの熱帯雨林では、2014年から2015年にかけて、ファイアーテイルド・ティティモンキーや淡水エイの仲間(Potamotrygon limai)をはじめ、381もの新種が発見された

エクアドルの熱帯雨林を流れるティプティニ川の航空写真。2016年9月7日。

エクアドルの熱帯雨林を流れるティプティニ川の航空写真。2016年9月7日。

REUTERS/Guillermo Granja

世界自然保護基金(WWF)ブラジルのアマゾン・プログラム・コーディネーターを務めるヒカルド・メロ(Ricardo Mello)は、この発見に関するプレスリリースで「2017年になっても、新種の存在が確認されている。資源は乏しくなっているが、それでも私たちは、生物多様性のはかり知れない豊かさを目のあたりにしている」と述べている。

「アマゾンから学ぶべきことが、まだまだたくさんあるという証拠だ」

ベトナムの森林では、長らく目撃されていなかったベトナムマメジカの姿を2019年11月にカメラがとらえた

長らく目撃例がなかったベトナムマメジカの姿をカメラがとらえた。

長らく目撃例がなかったベトナムマメジカの姿をカメラがとらえた。

Southern Institute of Ecology/Global Wildlife Conservation/Leibniz Institute for Zoo and Wildlife Research/NCNP

これは厳密に言えば新種発見ではないが、保護活動家のあいだでは、ベトナムマメジカは絶滅したのではないかと懸念されていた。

アフリカで、きらきらと輝く紫のうろこを持つこの魚を発見した研究者たちは、「ワカンダ」と名づけた。マーベルのヒーロー、ブラックパンサーが治める架空の国にちなんだ名前だ

メスのCirrhilabrus wakanda。一般名は「ヴィブラニウム・フェアリー・ラス(Vibranium fairy wrasse)」。

メスのCirrhilabrus wakanda。一般名は「ヴィブラニウム・フェアリー・ラス(Vibranium fairy wrasse)」。

Luiz Rocha/California Academy of Sciences

鎖のように連なる濃い紫のうろこを見た科学者たちは、スーパーヒーロー、ブラックパンサーが着るハイテクスーツを連想した。

そこで、この新たに見つかった体長2インチ(約5cm)の魚に「Cirrhilabrus wakanda」という学名をつけた。一般名の「ヴィブラニウム・フェアリー・ラス」も、ブラックパンサーのスーツに使われているほぼ破壊不可能な金属「ヴィブラニウム」にちなんでいる。

深海には、さまざまな種類の奇妙な未知の生物が潜んでいる。過去10年の深海探査では、そのうちのいくつかが発見された

深海には、さまざまな種類の奇妙な未知の生物が潜んでいる。過去10年の深海探査では、そのうちのいくつかが発見された

Five Deeps Expedition

この生物は、海底に生息するクラゲに似ているが、深海探査チームの調査により、どの種類の生物なのか判然としないことがわかった。この深海の居住者は、新種に属している可能性があるが、まだ確認されていない。

この生物を発見したチームは、潜水のたびに3種か4種の新種を発見しているが、リーダーのビクター・ベスコボ(Victor Vescovo)によれば、この写真の生物は、ほかに比べて「ものすごくユニークな外見」をしていたという。

世界でも指折りの深さを誇る洞窟の中で、透明な身体を持つ新種のカタツムリが発見された

クロアチアにあるルキナ・ヤマ洞窟群のトロヤマ洞窟で撮影された透明カタツムリ「Zospeum tholussum」

クロアチアにあるルキナ・ヤマ洞窟群のトロヤマ洞窟で撮影された透明カタツムリ「Zospeum tholussum」。

Jana Bedek, HBSD

Zospeum tholussumと名づけられたこの新種のカタツムリは、クロアチアにあるルキナ・ヤマ洞窟群のトロヤマ洞窟の地下980メートルあたりに生息している。そこまで深いところには太陽の光が届かないため、この小さなカタツムリに視覚は必要ない。

[原文:13 fascinating animal species discovered in the last decade, from the 'Wakanda' fish to the world's tiniest frog

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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