ネックバンド型の「WI-1000X」と新機種「WI-1000XM2」。
撮影:小林優多郎
通勤通学などの移動中に、コンテンツや仕事に集中したいときに、手軽に雑音を消せる。自分にとって、ワイヤレスのノイズキャンセリングイヤホンは手放せない存在だ。
ワイヤレスイヤホン自体のニーズは、年々上昇傾向にあるが、加えてノイズキャンセリング機能付きのものもソニー「WF-1000XM3」(7月13日発売)やアップル「AirPods Pro」(10月30日発売)の影響もあり、とくに関心が高まっているセグメントだ。
そんな激しい競争環境の中、12月7日に筆者が“ノイズキャンセリング機能付きワイヤレスイヤホンの真打ち”と感じる製品が発売になった。それがソニーの「WI-1000XM2」だ。
首にかけるから、遠慮なく外せる
ネックバンド型はとにかく扱いやすい。
WI-1000XM2は、前述のWF-1000XM3と同様にソニーの高価格ワイヤレスイヤホンの一種で、左右のイヤホンを耳に装着した際、バンド部が首の後ろに触れるいわゆる“ネックバンド型”の商品。
前機種の「WI-1000X」は2017年10月発売で、実に2年ぶりのアップデートとなる(そのため、WF-1000X“M3”なのに対し、WI-1000X“M2”となっている)。
なぜ、ネックバンド型こそが自分にとって至高と考えているか。それは以下の3点に尽きる。
- 外した際、首にぶらさげておける(紛失しにくい、落としにくい)
- いざというとき、有線でも使える
- 音質や性能と携帯性のバランスがとれている
完全独立型は、外した後についケースに入れずに放置してしまうと、紛失の危険性が高まる(写真はAirPods Pro)。
左右で分かれている完全独立型イヤホンの一番の懸念点は一方や両方をなくさないかということだ。
筆者はAirPods ProもWF-1000XM3も試用したが、試用期間中、コンビニなどに立ち寄った際や職場で同僚や上司に話しかけられた際などにイヤホンを外した。その際、ケースをいちいち出すのは面倒で、ポケットや机の上に置いてしまった。ネックバンド型ならその心配はない。
飛行機で有線が使える安心感
WI-1000XM2は有線でも利用できる。付属品の中には飛行機用のプラグも用意されている。
そして、個人的に最も気に入っているのが有線でも使える点だ。
ワイヤレスイヤホンの話をしているのに、なぜ有線の話に、と思うかもしれないが、ノイズキャンセリング機能を最も重宝する場面である飛行機内でこそ、この魅力が光る。
乗る機材や航空会社でBluetoothイヤホンが使えるかどうかは、事前にホームページなどで確認するか、機内の情報誌をチェックしよう。
まず、前提として飛行機内でBluetoothを使ったワイヤレスイヤホンが使えるかどうかは空港会社や機材による。“使用を禁止している会社や機材”に載ってしまった場合、完全独立型では一切利用できない。これは、スケジュールや運行状況によってどうしようもないことなので、「もしも」のときに有線が使えるのは心強い。
また、WI-1000XM2には飛行機用の2ピン形状のプラグが付属しているため、もしスマートフォンも使えないときや、どうしても機内エンタメで鑑賞したいものがあったときにも対応できる。
オーバーヘッド型と完全独立型のいいとこ取り
WI-1000XM2の本体(右)とケース(左)。このケースも前機種に比べてかなりコンパクトになった。
これらの点だけで言えば、頭の上をバンド部が通るいわゆるオーバーヘッド型も同じ特徴がある。さらに、音質や遮音性は同シリーズ・同価格帯の製品であれば、物理的な余裕があるだけに上だとも言える。
しかし、オーバーヘッド型は「ある程度固い」「大きい」という特徴がある。個人的には、移動時はなるべく必要最小限の荷物に留めておきたい。ネックバンド型なら、オーバーヘッド型より軽くて小さく、完全独立型より物理的な性能の余裕がある、と言えるわけだ。
実際、完全独立型のWF-1000XM3は省電力化された「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1e」を搭載しているが、WI-1000XM2は、オーバーヘッド型の「WH-1000XM3」と同じ「同QN1」を搭載している。
細かな仕様強化が満足感を引き上げている
充電端子がMicroBのUSBからUSB Type-Cに変わり、最近のAndroidスマートフォンなどと共通の端子で充電できるのもうれしいポイント。
WI-1000XM2を購入してから2週間弱、実際に日常で持ち歩いてみたり、前機種と性能や使い勝手を比べてみた。
正直に言えば、音質やノイズキャンセリング性能は確かに進化しているが、前機種も十分優秀だっただけに、電車や雑踏、オフィス内などの利用で大きな違いを感じるのは難しい。
しかし、他のさまざまな点においてWI-1000XM2は前機種より満足度は高い。
音声ガイダンスの日本語対応など、Headphones Connectアプリで使える項目が前機種に比べて増えている。
例えば、バンド部の形状。前機種は鉄板のようなもので形状を保つ仕組みだったが、WI-1000XM2ではシリコン素材を採用することで、より軽く、そしてしまう際にも小さくたためるようになった。
また、細かいことではあるが、左右それぞれのイヤホンの下側面に弱い磁石がついた点も評価したい。これにより、耳から外した際にイヤホンがぶらつくことなく、まとめておける。
WI-1000XM2は、金額として3万8500円(直販価格、税込)と高めの設定で、競合であるAirPods Proが直販価格3万580円(税込)であることを考えると“爆売れする製品”とは言いがたい。
けれど、Android・iOSのどちらにも専用アプリが用意されている点や、XperiaやGalaxyなどの最新のAndroid機種などで対応している「LDAC」方式を用いれば、ワイヤレスでもある程度品質を維持したままハイレゾ音源を楽しめるなど、“こだわり派”なら見逃せない魅力があると言えるだろう。
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(文、撮影・小林優多郎)