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「令和元年」となった2019年もカウントダウンが始まっている。ビジネスパーソンにとって2019年はいい年だったと感じている人が多い——。
総合人材サービスのパーソルキャリアによるハイクラス人材のキャリア支援サイト「iX」が、「1000万円プレイヤー」に令和元年の振り返りを聞き、日本の平均年収400万〜500万円未満の平均年収層と比較調査したところ、仕事のみならず、恋愛・家庭でも高得点をつける人が多い結果になった。
年収がこれだけあれば……と思う人は多いかもしれないが、調査でわかったハイクラス人材が「自分のキャリアのためにやっている、あること」は興味深い。
※東京、千葉、神奈川、埼玉に住む会社員男女(経営者とフリーランス除く)計800人に、iXが調査。30〜50代で年収1000万〜1100万円未満400人、20〜40代で年収400万〜500万円未満400人にインターネットによるアンケートを実施し、比較した。小数点以下は切り捨て。
そもそも、年収に関係なく「令和元年は良い1年だった」と回答した人が6割以上で、ポジティブにとらえている人が多かった。
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「すごくよかった」「どちらかというとよかった」と回答した人がいずれも6割超だった。iX統括編集長の清水宏昭さんは、大手企業の冬のボーナスが過去最高になったことや株価の好調といった環境要因を指摘しつつ「とくに日本人は自分のことを悲惨に答えたくない傾向があるので、よく答えるバイアスもかかる」と解説。「今年はいい一年だった」と思いたい心理が働いている可能性も。
1000万円プレイヤーは平均年収層より「仕事」の自己評価が高いという結果が出た。
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自分の仕事に対する評価を5段階で聞いたところ、「4点以上」と答えた高評価の人の割合は、1000万円プレイヤーは3割超だったのに対し、平均年収層は24%。結果として収入が伴うと、自己肯定感も高まるのか。
「恋愛・家庭」に関する自己評価でも、1000万円プレイヤーは高得点をつけた人が、平均年収層を上回った。
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「恋愛・家庭」について自己評価が5段階のうち3点以上の人は1000万円プレイヤーで72%、平均年収層で62%だ。
2019年に「自身のキャリアのために行ったこと」で、1000万円プレイヤーに多かった行動は、目標を設定した(30%)/最初に立てた目標を振り返った(19%)だった。
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ただし、2019年に「自身のキャリアのために行ったことは何か」に対して、1000万円プレイヤーも平均年収層も、もっとも高かったのは「何もしていない」だった。
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平均年収層は63%、1000万円プレイヤーは53%だ。1000万円プレイヤーだからといって、必ずしも何か特別な行動に出ているとも限らないようだ。
2020年に向けた仕事の意識は、1000万円プレイヤーは「給料を上げたい」(17%)とほぼ同率で「楽しみながら仕事をしたい」(17%)だった。
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平均年収層は「給料を上げたい」(28%)が突出した。続いて「スキル、能力、専門性を上げたい」(16%)だった。能動的に仕事に取り組もうと意識が、ハイキャリア層は強いのかもしれない。
iX統括編集長の清水宏昭さんは、1000万円プレイヤーがキャリアのために行っていることとして「目標を立てた」「立てた目標を振り返った」が多かったことに着目する。
「 就職氷河期世代が比較的多い1000万円プレイヤーは受験戦争、就職難、社会に出れば成果主義・実力主義と常に競争にさらされてきている」として、目標と振り返りのパターンが身についていると分析する。
2020年は大きな変わり目の年に
あと10日ほどで幕を開ける新しい2020年代では、どんなキャリア形成や進路選択が注目され、ハイキャリア層がどう変化していくのだろうか。
清水さんは「2019年は名だたる大企業が業績好調の中で雇用調整を始めるなど、いよいよ日本の会社が変わり始めた年だった」と振り返りつつ、「2020年は後の時代に、日本の雇用や働き方の大きな変わり目として記憶されるのでは」と予測する。
中途採用の活発化や、優秀な若手を企業が求める傾向はさらに強まり「年功序列が崩れ、職能を重視する、よりアメリカ型の雇用に近づいていく。専門性がないと生き残れない時代になるでしょう」と、清水さんは話す。
東京五輪後の景気動向も注視される中、2020年は変化の見逃せない年になりそうだ。
(文・滝川麻衣子)