2020年は豪華な鉄道旅行がトレンドに!流行のきっかけは、飛行機を使わないグレタ・トゥンベリさん

鉄道

Belmond

  • スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの環境意識の高い旅行の影響で、「flygskam(飛び恥)」と「tagskryt(鉄道自慢)」という2つのスウェーデン語が2019年、世界の流行語になった。
  • 鉄道利用によって二酸化炭素排出量を減らしたという「自慢」が、ヨーロッパ各地で鉄道 —— 中でも夜行列車への投資の増加につながっている。
  • "鉄道自慢"という感覚は、ラグジュアリーな鉄道旅行の復活にも貢献している。
  • 環境にやさしい飛行機の代替手段というだけでなく、鉄道はスロートラベルや、ペースの速い現代社会における有意義な体験を求める人々を引き付けている。

2019年の世界の流行語は、「flygskam(飛び恥)」と「tagskryt(鉄道自慢)」だ。

これには、9月に国連の気候行動サミットでスピーチをし、タイム誌の「今年の人」にも選ばれた、16歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが大きく影響している。彼女のおかげでこの2つのスウェーデン語が注目されたのだ。環境への負荷を最低限にとどめるため、トゥンベリさんは2015年以降、飛行機を使用せず鉄道や太陽光で動くヨットといったより地球にやさしい移動手段を選ぶようにしている。

こうしたいわゆる「グレタ効果」はスウェーデンをはじめヨーロッパで広がり、人々は環境にやさしい鉄道を使った移動を「自慢」するようになった。スウェーデンの「トレイン・バケーション」と呼ばれるフェイスブック・グループは、鉄道を使ったヨーロッパの移動の仕方について話し合うためのグループで、そのメンバー数は2017年の3000人から17万人に増えている。

この新たな鉄道旅行に対する関心は、ヨーロッパ各地で鉄道 —— 中でも夜行列車への投資の増加に貢献している。スウェーデンは他国との間を結ぶ夜行列車サービスを増やそうと公開入札を行い、オーストリア連邦鉄道は寝台車両の改装に2億2100万ドル(約240億円)をつぎ込み、イタリアのトレニタリアは新しい列車やアップデートに3億3400万ドルを使っていると、ブルームバーグは報じた

そして、復活を果たしたのは寝台列車だけではない。

"環境にやさしい"を利用する旅行業界

環境を重視することが、ラグジュアリーな鉄道旅行の復活にも貢献している。

"鉄道自慢"という感覚の広まりを受け、ラグジュアリーな鉄道旅行を手掛ける「オリジナル・トラベル(Original Travel)」は2020年、イタリア、カナダ、日本を含む鉄道のみの冒険を企画している他、ヨーロッパ中を主に鉄道を使って旅するプランも計画中だと、フォーブスが報じた

一方、イギリスに拠点を置くパーソナライズ化されたラグジュアリーな旅行を手掛ける「クラシック・コレクション(Classic Collection)」は、スペイン各地を豪華列車「アル・アンダルス」で旅するプランを追加したとTTG Mediaに語った。また、アジアでのオーダーメイド旅行を手掛けるイギリスに拠点を置く別の旅行会社「リンクス・トラベル&ツアーズ(Links Travel & Tours)」は、顧客の求めにより、日本と中国を鉄道で旅するプランを企画したという。

「飛行機よりも鉄道での旅行を希望する人が増えているが、彼らは引き続き、ファーストクラス、ビジネスクラスの体験を求めている」と、フォーブスは2020年の旅行予測で書いている。「二酸化炭素排出量を減らすことを選んだからといって、自身のスタンダードを下げたいということではない」とし、2020年はラグジュアリーな鉄道旅行がヨーロッパと北米の両方で増えるだろうとの見方を示した。

ラグジュアリーな旅は、2026年までに16億ドル産業になるだろうと見られている。そして、ラグジュアリーな鉄道を手掛ける企業は近年、顧客の需要が伸びるだろうと予想し、新たな豪華列車や歴史的な高級列車に大金をつぎ込んでいる。

2017年、日本では3つの豪華列車 —— 「TRAIN SUITE 四季島」 「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」「THE ROYAL EXPRESS」が誕生したと、Business Destinationsは書いている。同じ年、ベルモンド(Belmond)はペルーのクスコとアレキパを結ぶ豪華寝台列車「アンデアン・エクスプローラー(Andean Explorer)」の運行を開始し、2018年には同社の象徴でもある「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」のリノベーションが完了すると、Luxury Travel Advisorは報じた

こうした動きは、10年前の鉄道旅行をめぐる状況とは大違いだ。「多くの人々が、このやり方は利便性の戦いに負け、時代遅れと見なされ、息苦しくて、シンプルに遅すぎるとして、なくなる方向に向かうだろうと考えていた」とLuxury Travel Advisorは書いている。

鉄道旅行が比較的ゆっくりとした休暇を提供

鉄道旅行の減少は、格安航空の利便性が原因だと広く考えられてきた。だが、空港や高速道路の混雑がひどくなるにつれ、鉄道は魅力的な選択肢になった。ラグジュアリーな鉄道旅行を手掛ける「プラネット・レイル(Planet Rail)」の創業者ガイ・サーンダーズ(Guy Saunders)氏は2018年、顧客は「空港の近くに行く必要がない」ことを満喫していると、Business Destinationsに語った

旅行者の好みも変わった。ペースの速いこの世界で、人々はそのスピードを落としたいとも考えている。宿泊予約サイトBooking.comの2020年の予想によると、「スローモーションが新しい #FOMO」だという。言い換えれば、ハッシュタグ「 #fearofmissingout (見逃すのが怖い)」が表すように、あらゆる場所へ急いで行こうとする時代精神は、その瞬間を楽しみ、冒険を味わおうとする方へ変化している。Booking.comのレポートによると、旅行者の62%が移動が体験の一部となっている旅行に行きたいと考えていて、旅行者の64%は歴史ある豪華列車の旅に興味があるという。

有意義な体験を求める旅行者も増えている。Business Insiderが以前報じたように、グローバル・ウェルネス・サミット(Global Wellness Summit)の2018年のトレンド・レポートによると、旅行者は本物というだけでなく、「より深い感情レベル」で響く体験を求めている。

鉄道は、人を旅行先とより親密に結びつけるチャンスを与えると、サーンダーズ氏は言う。

「飛行機に飛び乗り、あっという間に違う国に到着するより、(鉄道は)はるかに本物の旅行体験だ。風景の変化を目にし、その先に広がっている新しい景色を見ることができる」

[原文:Greta Thunberg's refusal to take any flights since 2015 has spawned a whole 'train-bragging' movement, and it's ushered in a new era for luxury travelers around the world

(翻訳、編集:山口佳美)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み