Facebook/Tech Insider
- 新たな調査によると、スタートアップ企業の創業者と従業員は、暗号通貨、機械学習、バーチャルリアリティへの過大評価にうんざりしている。
- ベンチャーキャピタルのFirst Roundは2019年12月に発表したスタートアップについての年次調査報告書でスタートアップ企業の900人以上の創業者と従業員にアンケート調査を行った。
- 回答によると、最も過小評価されているスタートアップ分野は農業技術だった。
2019年12月に公開された新しい調査によると、スタートアップの世界の人々は、暗号通貨、仮想現実、自動運転などの誇張された流行に我慢ならないと思っている。
調査はベンチャーキャピタルであるFirst Roundによって行われた。この調査では、新興企業の創立者と従業員950人にアンケートを実施し、回答者ごとに過大評価されていると思うトレンドを3つ挙げてもらった。
最も誇張されている分野に加えて、調査回答者には、どのトレンドが過小評価されているかを聞いている。その結果、農業技術がトップに挙げられ、次に建設とデジタルヘルスが続いた。
調査では、スタートアップの創設者がスタートアップ・バブルが弾けるのをますます心配していることもわかった。創業者の47%以上がハイテク企業はバブルに陥っていると答え、32%が崩壊に近づいていると答え、21%だけがハイテクはバブルではないと考えている。
13位 個人向けファイナンスアプリ
Tomohiro Ohsumi/Getty Images
個人向けファイナンスアプリを使って、ユーザーはスマートフォンでお金を移動したり管理したりできる。 スタートアップの従業員の7.5%と創業者の5.6%は、個人向けファイナンスアプリが誇大宣伝されているとしている。
12位 フィットネス/健康
Peloton
今年最も注目を集めたフィットネス・スタートアップの1つであるPelotonは、10月には新規公開の株価を下回り、期待外れのウォール街デビューになった。回答者の従業員8.4%と創業者7.3%は、フィットネスはスタートアップの過大評価されている分野であると述べている。
11位 生産性向上アプリ
Reuters
SlackやTrelloといった生産性向上アプリは、企業や個人がより効率的に作業を行えるようにしてくれる。創業者の7.3%と従業員の12.6%は、この分野は過大評価されていると答えた。
10位 出会い系アプリ
Getty/Vivien Killilea
2019年、フェイスブックはトレンドに飛び乗り、Tinder、Hinge、Bumbleと競合する出会い系サービスを開始した。 出会い系アプリは、スタートアップ従業員の13.4%と創業者の8.2%が誇張されているとした。
9位 eスポーツ
Phil Ellsworth/ESPN Images
Deloitteによると、eスポーツ業界は大幅な成長を遂げている。eスポーツへの投資は、2018年の4億9000万ドル(約536億円)から2019年には45億ドル(約4920億円)に急増した。 スタートアップの創業者の9%は、eスポーツは誇張された分野だと言っている。
8位 D2C(Direct to Consumer)
Sarah Nehemiah for Business Insider
コスメのGlossier、スーツケースのAway、メールマーケティングのMailChimpなど、インスタグラムやYouTubeで視聴者を獲得したいくつかの直販ブランドは、自社のコンテンツ・スタジオを使って長期的にアピールしようとしている。 スタートアップの従業員と創業者の10%は、D2Cは過大評価されている傾向にあると述べている。
7位 ソーシャルネットワーク
Reuters
Investopediaによると、ソーシャルメディアの新興企業はリスクの高い投資で知られるが、既存のソーシャルメディア・プラットフォームを放棄する若いユーザーを獲得する可能性があるため、支援者が引きつけられている。スタートアップの従業員の13.4%と創業者の12.9%は、ソーシャルネットワークは誇張されていると述べている。
6位 代替肉
John Amis/AP Images for Beyond Meat
代替肉業界は、食肉生産の環境的および倫理的なマイナス面に対する顧客の懸念によって活気づいている。 ただし、スタートアップの従業員の12.3%と創業者の15%は、このトレンドが誇張されたものだと述べている。
5位 自動運転
CBS News
自動運転技術は、自動車産業の希望と見られているが、安全性リスクと技術の成熟度に対する懸念は、2019年に強まった。スタートアップの従業員の17%、 創業者の22.3%は、自動運転のスタートアップは過大評価されていると述べた。
4位 新興企業による飲料水
Megan Hernbroth / Business Insider
TechCrunchによると、2019年、投資家は流行の飲料スタートアップに数百万ドルを注ぎ込んだ。Liquid Deathはパンクの美学を持つ缶入り飲料で、エンジェル投資家から200万ドル(約2億1900万円)を調達し、「スマートドリンク」メーカーのMore Labsはベンチャーキャピタルから800万ドル(約8億7600万円)を調達した。 スタートアップの従業員の11.9%と創業者の22.8%は、ベンチャー企業の飲料が誇張されているとしている。
3位 仮想現実(VR)と拡張現実(AR)
仮想現実(バーチャルリアリティ:VR)分野の成長は、投資家の期待よりも長い時間がかかっている。フェイスブック(Facebook)は、5年前に20億ドル(約2190億円)で買収したVRヘッドセットメーカーOculusの製品が売れていないという課題に直面しているが、マーク・ザッカーバーグCEOは「まだ楽観的だ」と言っている。スタートアップの従業員の19.4%と創業者の26.6%は、仮想現実と拡張現実(AR)が誇張されていると述べた。
2位 人工知能(AI)と機械学習
REUTERS/Kim Kyung-Hoon
テクノロジーの世界はAIに魅了されている。「金融バブルの兆候」があると主張するMITの研究者によると、2011年から2018年にかけて、投資家はAIスタートアップの資金調達に1100億ドル(約12兆円)以上を注ぎ込んだ。 スタートアップの従業員の19.8%と創業者の40%は、AIが過大評価されていると言っている。
1位 暗号通貨
Chesnot/Getty Images
暗号通貨バブルは、ほぼ崩壊している。アナリストによると、2019年半ばまでに、暗号通貨全体の資産価値は2017年のピークから75%以上減少し、以前の値に戻るには数十年かかる可能性があるという。2019年、新しい暗号通貨を作ろうというFacebookの動きは、いくつかの有名なパートナーがプロジェクトから撤退するなどしてつまずいた。 スタートアップの従業員の44.9%とファウンダーの56.2%は、暗号通貨の評価は誇張されていると考えている。
一方、最も過小評価されている分野としては、農業技術、デジタルヘルス、建設が挙がった
REUTERS/Paulo Whitaker
どのトレンドが最も過小評価されているかについても調査が行われた。農業技術がトップで、従業員の34.8%と創設者の30%が過小評価されていると評した。
調査の回答によると、ほかにも建設、健康、バーティカルSaaS、合成生物学、ローコードプラットフォームなどが挙げられた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)