待ち時間解消だけじゃない。楽天のモバイルオーダーはここまでできる

レジで商品を受け取る女性の写真

モバイル決済が浸透する中、新たなソリューションが広がり始めている。「モバイルオーダー」だ。消費者がテイクアウトしたいメニューをスマホで事前に注文して決済すれば、指定した時間に店舗でスムーズに品物を受け取ることができるというサービス。そのシステム構築のためのソリューション提供するのは楽天。2019年12月から東京都内にある上島珈琲店の一部店舗などで提供が始まっている。

モバイルオーダーは、アメリカではすでに小売業や飲食業など実店舗を運営する大手各社が導入。こうしたサービスはこの先の日本のマーケットをどのように変えていくのだろうか。楽天で事前注文・決済サービス構築のためのITソリューション「Rakuten Ready」を展開するメディア&スポーツカンパニー マーチャントクラウド事業 Rakuten Ready GM 梅本悦郎氏に聞いた。

注文から受け取りまでの待ち時間を解消

梅本さんの写真

楽天で事前注文・決済サービス構築のためのITソリューション「Rakuten Ready」を展開するメディア&スポーツカンパニー マーチャントクラウド事業 Rakuten Ready GM 梅本悦郎氏。

——今回、事前注文・決済サービスのソリューション「Rakuten Ready」が始まりました。このモバイルオーダーでは、消費者が注文してから商品をピックアップするまで、どのような流れになるのでしょうか。

梅本悦郎氏(以下、梅本):「Rakuten Ready」のサービスモデルは“ホワイトレーベル”というものです。モバイルオーダーを利用する消費者は、各社が運営するアプリや自社サイトから近くの店舗で受け取りたい商品を注文します。楽天はそうしたアプリやサイトを展開するクライアント企業に対して、システム構築のためのソリューションを提供しています。2019年12月から、上島珈琲店の都内4店舗と、とんかつ専門店「とんかつおりべ浅草店」でモバイルオーダーサービスの提供が始まりました。

注文から商品ピックアップまでの基本的な流れとしては、注文する商品と受け取り店舗、日時を入力して商品をカートに入れます。注文内容を確認してスマホ上で決済をすると注文が完了します。

注文が完了すると、店舗側の端末には消費者の注文IDと受け取り時間、注文された商品などの情報が表示されます。店舗では、受け取り時間に合わせて商品の準備を始め、店舗に受け取りに来た消費者に、できたての商品をスムーズに提供する——という流れになります。決済は注文段階ですでに完了していますから、消費者は店舗に立ち寄って商品をピックアップするだけでいいわけです。

モバイルオーダーは小売・外食の新しいバリューに

注文画面の写真

上島珈琲店のサイトでは、「Rakuten Ready」を採用。一部店舗でモバイルオーダーへの対応を始めている。

——アメリカではすでに、数年前からモバイルオーダーが普及しています。モバイルオーダーの認知度が上がれば、日本でも利用が進みそうですね。

梅本アメリカでは2015年頃から大手各社がモバイルオーダーの導入を開始しています。2018年の段階でクイックサービスレストラン(QSR)の売上の10%程度がモバイルオーダーを介した注文であると言われており、2019年にはそれが17~20%まで伸びる企業もあるのではないかとみられています。モバイルオーダーが日本より早く浸透したアメリカにおいても、まだまだ伸びしろがある状態ですね。

日本の外食の市場規模は、26兆円といわれ、そのうちテイクアウトの市場が8兆円。デリバリーに関しては、これは私たちの予想を大きく下回っているのですが、現状4000億円程度にとどまっています。

この外食市場の26兆円にはモバイルオーダーは含まれていません。つまり、現在のモバイルオーダー市場はゼロに近い状態なのですが、その規模は、2025年までに9710億円にまで膨らむのではないかという予測もあります。

また、デリバリーについての消費者へのヒアリング調査では「週末の雨の日や寒い日など、注文の集中するときに宅配ピザなどを頼むと、時間がかかってしまうことがある」といった不満の声も上がってきました。宅配を家で待つより、モバイルオーダーで注文して、外出からの帰りに待ち時間なくピックアップするという購買スタイルへのニーズは、大いにありそうです。

「ランチを食べに出かける時間がないから」とオフィスで適当に食べて済ませていたような日も、モバイルオーダーを使うことであまり時間をかけずにおいしいものが食べられれば、忙しい日常の中でもちょっとした幸福感を味わうことができると思います。

行列の写真

人気店や昼時の飲食店の前に長蛇の列ができる光景も、モバイルオーダーシステムの普及で変わるかもしれない。

Shutterstock

——楽天がモバイルオーダーのシステムを開発し、提供するにあたり、どのようなサービスを思い描いていたのでしょうか。

梅本:モバイルオーダーというのはあくまで手段でしかありません。私たちが店舗や消費者の皆様に提供したいのは、その手段を用いることによって実現する、待ち時間の解消であり、店舗オペレーションの簡略化なのです。そのため、モバイルオーダーという注文手段が、店舗、消費者にどのようなベネフィットをもたらすかを調査・分析したうえでシステムを作っていきました。

まず、店舗にとっては、これまで扱いがゼロだったモバイルオーダーの導入で、その分の売り上げの純増が期待できます。ある飲食店では「待ち時間が2分以内の場合、顧客の約7割がリピーターになった」という調査結果があります。ピックアップまでがスムーズなので顧客満足度が上がり、その結果リピート率も上がるのです。また、モバイルオーダーを導入したアメリカのある飲食店では、トッピングなどの追加購買の割合が増え、注文単価が実店舗に比べて約1.2倍になったという調査結果も出ています。

さらに店舗のオペレーションを効率化することもできます。モバイルオーダー経由では、対面や電話での注文に対応する時間や、決済のための作業時間は限りなくゼロに近づきます。注文を聞き間違うといったオーダーミスもほとんどなくなります。店舗では、受け取り時間に合わせて調理を始め、消費者が店舗に到着するのと同時に提供できればいいので、人員配置が最適化でき、人件費を削減することも可能になるわけです。

消費者にとってのメリットは、待ち時間の解消だけではありません。日本の場合、2019年10月から消費税率が10%にアップする一方で、食品のテイクアウトに軽減税率が導入されました。店内で食べるよりも税率が2%分低くなるテイクアウトへの需要が高まっています。

さらに「Rakuten Ready」が導入されたモバイルオーダーサービスを利用して注文すれば、購入金額に応じた「楽天スーパーポイント」が貯まりますし、貯まったポイントで支払いも可能になります。

外食以外への広がりで、暮らしはさらに便利に

梅本さんの写真

——日本のモバイルオーダーはまだ始まったばかりです。この先、「買い物」はどう変わるのでしょうか。

梅本:今回、上島珈琲店の都内4店舗と、とんかつ専門店「とんかつおりべ浅草店」で始まったサービスでは、消費者が商品のピックアップ時間を指定する流れになっていますが、「Rakuten Ready」では「ARRIVE」という機能も用意しています。

これは、ユーザーがスマートフォンアプリからオーダーする際、あらかじめ同意を得たうえで位置情報がオンになっていれば、消費者がピックアップ時間を指定しなくても、店舗側には消費者の到着予想時間が通知されるというものです。すでに米国において提供されているこの機能は、5分以内の到着であれば予想的中率は95%になっています。

また先ほど、アメリカの話が出ましたが、「Rakuten Ready」は、Curbside(カーブサイド/現:Rakuten Ready)が2013年から提供していたテクノロジーがベースとなっています。CVSやウォルマートといった大型小売店では、消費者がスマホで商品をオーダーすると、店舗側では消費者の位置情報をもとに到着予想時間を割り出して、商品を準備します。消費者は店舗前に車をつけて、商品を積んでもらうだけで、レジで並ぶどころか車から降りる必要もなく買い物を済ませることができるのです。

日本でも幹線道路沿いに展開している小売店などで、駐車場が充分確保できるところでは、米国のようなピックアップサービスの展開も可能だと思います。届けてもらうより、取りに行く形になっていくわけですね。

——現在、フードデリバリーについては多くの課題が議論されていますが、モバイルオーダーが新しいソリューションとして普及する可能性がありそうですね。

梅本:フードデリバリーのサービスでは人材確保が本当に難しく、人件費も上がっています。そのため黒字化も難しくなっています。しかし、モバイルオーダーを導入すれば、デリバリーのための固定費を持たないで済みますから、高い収益を確保することが可能になるはずです。

楽天としては将来的に、飲食店だけでなく、大型スーパーやドラッグストアなどの小売店にソリューションを提供することも考えています。ほかにも、スポーツ観戦の場では、フードショップに長い時間並ぶことなくドリンクやスナックを買うことができるような、モバイルオーダーへの需要があります。シネマコンプレックスでも、チケットはもちろん、ポップコーンやコーラなどもモバイルオーダーで買えるようにすれば、上映時間前に並ばずに商品をピックアップして入場することが可能になります。

将来的には、こうしたプロセスの中で集めたデータをもとに、楽天が持つ様々なアセットも活用して、モバイルオーダーの利用者を新たに増やす仕組みにつなげていきたいと考えています。

モバイルオーダーは、ものを作る人、売る人、買う人が、「Win - Win - Win」になれるサービスなのです。


楽天のモバイルオーダーサービス「Rakuten Ready」について詳しくはこちら。

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