2018年の12月に観測されたふたご座流星群。しぶんぎ座流星群は“むら”がある流星群なので、どの程度流れ星を観測できるか、予想しにくい。観測条件が良ければ、1時間に20個程度の流れ星を見ることができるかもしれない。
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1月4日の夜、北の夜空を見上げると、無数の流れ星を見ることができるかもしれない —— 。2020年最初の天文現象となる「しぶんぎ座流星群」が年始早々に見ごろを迎える。
目印は「北斗七星」、1月4日夜から5日未明が狙い目
しぶんぎ座流星群は、8月のペルセウス座流星群、12月のふたご座流星群と並ぶ三大流星群の1つ。流れ星を観測しやすい期間は他の2つの流星群と比べて短く、1月4日の前後1日程度だ。観測環境が良ければ1時間に20個程度の流れ星を見ることができるかもしれない。
「しぶんぎ座」は、今は存在しない「壁面四分儀(へきめんしぶんぎ)座」という星座に由来している。
流れ星を見るには、“ひしゃく”の形をしていることで知られる「北斗七星」を目印とすると良いだろう。しぶんぎ座流星群では、北斗七星がつくる“ひしゃくの持ち手の先”あたりを中心に、放射状に流れ星があらわれる(下の図の「放射点」を参照)。
ひしゃくの形をした北斗七星の持ち手の先に、しぶんぎ座流星群の放射点がある。ただ、放射点の周り以外でも、流れ星は観測することができる。
出典:国立天文台 天文情報センター
国立天文台によると,2020年のしぶんぎ座流星群が最も活発に見られる(極大になる)時刻は、1月4日の17時ごろ。ただし、その時刻にはしぶんぎ座流星群の放射点はまだ高度が低く、あまり観測には適さない。また、1月4日は半月。流れ星は月明かりが強いと見えにくくなってしまうため、観測に適した環境が整うのは「月の入り」となる深夜0時以降(1月5日未明)だといえる。
流星群はその名の通り、流れ星が大量に生じる現象だ。
それぞれ星座の名前を冠しているものの、星座と流れ星の間には何の関係もない。あくまでもその星座の方向から流れ星が多く観測されるだけだ。
1997年に飛来したヘールボップ彗星。彗星の特徴的な長い尾は、宇宙空間に飛散したダストが太陽の影響で輝くことで生じている。しぶんぎ座流星群のもととなる彗星は、まだよく分かっていない。
Arthur Rosch
流れ星の元になるのは、かつて地球の近くにやってきた「彗星」が残していったダスト(ちり)。
彗星はダストと氷でできた“汚れた雪玉”のような天体で、太陽の近くにやって来ると、氷が蒸発してダストをはじめとしたさまざまな物質を宇宙空間に放つ。このとき放たれたダストの一部は、宇宙空間に残り、密集した状態で漂っている。この領域に地球がやってくると、ダストは地球へと落下し、大気との摩擦によって発熱・発光して流星群となる。
流星群は、かつて地球の周りにやってきた彗星からの贈り物だ。
しぶんぎ座流星群は、年によって観測できる流れ星の数にむらがあるという。新年の運試しに、ぜひ冬の寒空を見上げてみてはどうだろう。
(文、三ツ村崇志)