海外用モバイルWiFiをレンタルすると、端末はもちろん、海外対応の電源プラグなどもついてくる。
提供:グローバルWiFi
2019年も残すところ数日。年末年始を海外で過ごす準備を始めている人も多いかもしれない。
海外の渡航先でも、スマホやタブレットを日本と同じようにネット接続したい、しかも手軽に、というのは、ほとんどの人が感じているところ。
最新機種のiPhone 11など一部の機種ではeSIMという機能を使って端末だけで海外回線の契約もできるが、まだ一般に浸透しているとは言いがたい。
海外で簡単にネットを使う手段といえば、空港で貸し出す海外用Wi-Fiルーターだ。海外用Wi-Fiルーターレンタル「グローバルWiFi」を提供するビジョンによると、繁忙期ともなるとレンタル数が月間20万件にもなるという。
同社はこの夏、サービス品質向上とオペレーション改善のために「集中返却センター」をお台場にほど近い、東京・青海に開設。処理能力として、1日あたり1万件をこのセンターでさばけるという。その舞台裏を聞いた。
グローバルWiFiの利用数は、年々増加している、と同社は説明。レンタル件数は、繁忙期で1日あたり6000件程度が出るという。
撮影:三ツ村崇志
返却処理の集約と出荷センターの分業で効率化
ビジョン管理本部VM管理部長・石井浩之氏は、集中返却センターを開設の経緯を次のように話す。
「レンタル件数の増大(月間20万件超)により、従来の出荷・返却センターの対応キャパシティの限界が見えてきています。そのため、返却ー品質チェック・充電ー出荷処理ー配送(お客様/空港カウンター)の仕組みについて、行程変更を加えながら対応してきていました。
一方、処理工程をシンプル化できる“クラウドWiFi端末”(※)と回線システム導入が90%以上になり、抜本的な行程変更を図れる環境が整いました。そこで、集中返却センターとシンプルな行程のみを行う出荷センターに、オペレーションを整理することを意図し、(2019年夏に)集中返却センターを設置しました」
※クラウドWiFi:世界のどこにいても現在位置を把握してその時々で最適な接続環境(グローバルWiFiサービスで契約している回線)に接続できる仕組み。1台のモバイルWiFi端末で世界中の通信回線を使用することができる(一部対応していない地域もある)。
集中返却センターでは、端末の初期化や再充電、故障確認、パッケージ(梱包)といった、これまで出荷センターで行っていた作業の一部もまとめて行う。クラウドWiFiのおかげで、旅行先の国ごとに異なる通信SIMを入れ替える手間が省けるため、出荷センターで必要になる作業は、「消費者ごとに選択する使用容量」や「日数」などのセットアップ程度だ。
集中返却センターでは、端末の充電や検品などの工程の効率化の為に、自社企画開発した機器やシステムを導入しているそうだ。
撮影:三ツ村崇志
集中返却センターの稼働によって、端末が1カ所に集約されることで、大量にさばいても全体のオペレーションコストは増大させずに済む、と石井氏。
「出荷センターでは、返却処理が完了した在庫の“出荷登録”→“配送手配”に集中できるようになります。簡易・低コストで維持できる拠点を全国に多数設けられます。(結果として)納品までのリードタイムを縮小化できます」(石井氏)
QRコードを使っての本人確認やロッカーを使った自動受け渡しサービスなど、スムーズなサービス提供が実現されている。
提供:グローバルWiFi
「事前申し込み済みで何度か利用していただいた方なら、1分程度で手続きが完了します」と空港事業部主任の田中麻衣帆氏は話す。
グローバルWiFiではカウンター自体のスマート化も進めており、自動受け渡しロッカーの稼働やQRコードを用いた受け渡しシステム(国内9空港に設置)なども用意。スムーズなサービス提供を目指している。
(文、三ツ村崇志)