スマートフォンによって、いつでもインターネットにつながり便利な機能が使えるようになった。その裏では、利用者自らの個人情報が使われているが、どのように使われているか理解している人は少ないのではないか(写真はイメージです)。
撮影:今村拓馬
年末の家の大掃除に加えて、データまわりの大掃除もできれば、新年も安心して迎えられるはず。
ここでは、年末のデジタル大掃除の1つとして、グーグル、ツイッター、Facebook、LINEの4社の広告や個人情報の管理ページの設定見直しを紹介する。大手プラットフォーマーに知らず知らずに「データを出し過ぎ」てないかどうか、チェックしてみよう。
Twitterでは広告主をチェックできる
ツイッターの設定画面。
出典:ツイッター
日本人に愛用者の多いSNSといえばTwitter。そのビジネスモデルの大部分は広告配信で、ほかのプラットフォーマーと同じく、個人に最適化した広告を届けることで収益を得ている。
Twitterの広告などに関する設定は、「設定とプライバシー」の「アカウントメニュー」から、Twitterデータ(再ログインが必要)で参照できる。
いくつのアカウントが、ターゲティング機能を使って自分へ広告を配信しているかがわかる。
出典:ツイッター
ここでは、「Twitterから取得した興味関心」や「テイラードオーディエンス」のリストを表示できる。興味関心は項目ごとでオンオフが可能。テイラードオーディエンスの欄では、ターゲティング機能を使って自分に対して広告を配信した(している)アカウントをチェックできる。
広告主のリストを要求するとメールで自動で送られてくる。ただし、個別のブロックなどはツイッター上で行なう必要がある。
これらのデータ取得を拒否するためには、Twitterでは別の項目で設定する必要がある。それが、「カスタマイズとデータ」メニューだ。とにかくTwitterによる広告のパーソナライズ化を止めたければ、メニュー上部のスイッチをオフにすればいい。
グーグルの行動履歴は自動削除も可能
Googleアカウントのデータとカスタマイズページ。
出典:グーグル
グーグルのその人に関するデータは、 Googleアカウントページにまとめられている。ここではグーグルの数多くの設定項目などが集まっているが、データ大掃除の点で特に注目すべきは「データとカスタマイズ」メニューにある3つの項目だ。
- 広告のカスタマイズ
- マイアクティビティ
- タイムライン(ロケーション履歴)
グーグルはさまざまな要素をアクティビティから判定している。
出典:グーグル
「広告のカスタマイズ」では、グーグルの関連サービスでの行動をもとに算出した、その人に関連性が高い(興味・関心がある)要素が列挙されている。このデータをもとに、さまざまなサイト上で表示される広告が配信されるわけだ。
列挙されている要素は年齢、性別、趣味など多岐にわたるが、一括でオフにするか、要素ごとにオフにするか選べる。
ロケーション履歴をオンにしていると、同一のGoogleアカウントでログインしたスマートフォンを持ち歩いている場合、どの場所に、いつ行ったかというタイムログが保存されている。
出典:グーグル
タイムラインは一定期間が過ぎたら自動削除、という設定も可能。
出典:グーグル
マイアクティビティとタイムラインは、どちらもいわゆる行動履歴に該当する。グーグルのプラットフォーム上での行動が「マイアクティビティ」、現実世界で立ち寄った場所などの履歴が「タイムライン」といった具合だ。グーグルはこれらの情報をもとに提供サービスの精度を高めている。
どちらも一括でオフにできるので、グーグルの追跡を望まない人はオフにしよう。ある程度許容できるという場合は、18カ月間や3カ月間保管後に自動削除といったオプションが用意されているので、そちらも検討するといい。
Facebookで自分の個人情報を持つ広告主を特定可能
フェイスブックの「個人データ管理ツール」ページ。
出典:フェイスブック
グーグルと同じかそれ以上に深い階層があり多くの設定項目があるのが、Facebookだ。その中でも比較的設定項目が集まっているのが、個人データ管理ツールページだ。
ここではFacebook上に自分が投稿したものやいいね!したもの、フォロワーや友だちなど、ソーシャルグラフに関わるデータのほかに、広告や位置情報、検索履歴などの情報の設定へジャンプできるようになっている。
フェイスブックでは、自分のメールアドレスや電話番号を使って広告を配信した広告主をチェック、拒否することができる。
出典:フェイスブック
その中でもぜひ見ておきたいのが「広告」「位置情報」の項目だ。
「広告」はFacebookの利用状況に応じて判断された自分の興味・監視要素のほかに、自分のメールアドレスや電話番号をもとに広告を配信した広告主のリストをチェックできる。設定できる項目としては、個別の広告主を拒否したり、Facebookのグループ企業内外のデータの参照を許可するかなどを選べる。
フェイスブックはアプリを入れたスマートフォンの位置情報を逐次保存している。一括や1日単位で削除できる。
出典:フェイスブック
一方、位置情報はFacebookにアクセスした場所やチェックインした場所、Facebookアプリをインストールしたスマートフォンなどを持ち運んだ場所の履歴が表示される。これらは1日ごとに削除もできるが、履歴全体を削除することも可能だ。チェックインした場所以外も保存されていることは、驚くかもしれない。
LINEはスマホアプリからシンプルに設定
LINEの設定ページ。
出典:LINE
2019年11月、ヤフーとの経営統合が突如発表されたLINEも、日本では非常にメジャーなプラットフォーマーだ。LINEは違反報告時などの例外を除いて「友だちとのチャットの内容は触れられない」という姿勢だが、実際のところ収益の柱となっているのはさまざまな広告だ。
LINEのパーソナライズの設定項目はほかの3社と比べてはよく言ってシンプル、悪く言えば大雑把なつくり。設定はホームタブの右上にある設定ボタンをタップし、「プライバシー管理」の項目で行える。
LINEでは個別の広告主などの制限はできないが、機能のオンオフは可能。
出典:LINE
特にチェックすべき項目は「情報の提供」と「広告の設定」。基本的にこの中のチェックボックスのオンオフで設定できる。ただし、LINE Beaconや位置情報の取得を拒否した場合、一部のキャンペーンに応募できない可能性もあるので注意しよう。
今回紹介した設定以外にも個人情報に関わる設定は多岐にわたる。また、アマゾンやマイクロソフト、アップル、ヤフーなどといったプラットフォームにも、同様の設定項目はある。
各サービスのアカウントや設定のページをチェックしてみて、違和感がある設定はオフにするなどの見直しを考えるには、年末年始のこの時期はちょうどいいタイミングだ。
(文・小林優多郎)