2月からKickstarterでテストマーケティングを開始。形としては世界販売だが、国内で原付登録する際に必要な装備一式が組み込まれた状態で出荷する。日本からもオーダー可能。
撮影:伊藤有
ヤマハなど複数社が出資する電動バイクのスタートアップglafit(グラフィット)は1月5日、米ラスベガスで1月7日に開幕するテクノロジー展示会「CES2020」で新型の電動バイク「X-Scooter LOM」(クロススクーター・ロム)を発表。前夜祭イベント「CESアンベイル」で実走できるプロトタイプの実機を初公開した。
同製品は2月1日からクラウドファンディングサイト「Kickstarter」でテストマーケティング(事前予約)を開始、今夏に出荷開始予定。価格は、スーパーアーリーバード(超早期割引)で900ドル(9万7000円)程度。通常価格1300ドル(14万円)程度を予定。
なお、glafitの鳴海禎造社長によると、国内向け販売ではないものの、日本からの購入も可能だという。日本の交通法規上は原動機付自転車(いわゆる原付)として登録ができる。
重量16.5キロ、「立ち乗り」で乗る電動バイク
X-Scooterのサイズ感がわかる。キックボードと違い、スキーのように両足を揃えて乗る。支えているのはglafitの鳴海禎造社長。
撮影:伊藤有
glafitの最新電動バイク「X-Scooter LOM」。クラウドファンディングKickstarterで2月1日から支援募集を開始する。
出典:glafit
glafitは2017年にクラウドファンディングを使って電動バイク「GFR-01」を商品化。以後、ビックカメラやオートバックスといった通常の電動バイクとは異なる店舗へ販路を広げ、現在の総出荷台数は4500台以上という。
製品名の「LOM」はラスト・ワン・マイルからとった。自宅と最寄り駅の間、といった短距離の移動をサポートする電動モビリティーとして設計。跨がるのではなく、「立ったまま乗車する」という独特の乗車姿勢が特徴になっている。一般的な原付のようなシートはない。
GFR-01と違いペダルがない設計のため、モーターをGFR-01より高出力なものに強化し(GFR-01が36V・250Wモーターだったのに対して、LOMは48V・350W)、坂を登る登坂力が向上している。
glafit初の製品となったペダル付きのハイブリッド電動バイク「GFR-01」。2017年に登場。
出典:glafit
本体重量はバッテリー込みで16.5kg。最高速度は25km/h、充電1回あたりの走行距離は30キロ。大容量バッテリー搭載時で50キロの走行が可能。
また電源のロックにはBluetoothを使い、オーナーのスマートフォンが近くにないと電源オンにできないスマートロックのような仕組みも搭載する。
Bluetoothで電源をロックする仕組み。鍵が不要な設計にしている。
撮影:伊藤有
CESアンベイル会場で取材したところ、Kickstarterでクラウドファンディングする車両も日本国内向けの保安装備を装着した状態で販売されると、鳴海社長は語っている。
なお、glafitはヤマハと資本業務提携を結んでいるが、X-Scooterにはヤマハは関わっておらず、基本的に自社設計。製品の最終組み立ては国内で行うなど、いわゆる「メイドインジャパン」であることを強調している。
折りたたんだところ。バッテリー込みで約16.5キロ。クルマのトランクに入れたりなど短距離の持ち運びが可能なサイズ。
撮影:伊藤有
ひと目見てわかるのは、既存の電動キックボード系の車両と違い、ホイール径が大きく、ひとまわり大柄だ。リアホイールは10インチ、フロント12インチの異径タイヤを採用している。こうした設計は、一般路での走行安全性を考慮したもの。主に、悪路や段差でハンドルを取られるなどが起こりづらい設計を重視している。
国内向けには、Kickstarterの反響をフィードバックして、2020年中に正式発表する。国内法対応を当初から視野に入れており、ナンバープレートや灯火類のほか、ブレーキに関しても交通法規をクリアできる前後ディスクブレーキなどを装備している。
オプションの受注生産として、牽引できる純正のリアカーも用意する予定。
撮影:伊藤有
展示のためラスベガス市内を乗車して移動していたところ、複数人から「どこで買えるのか」と聞かれるなど、初出展の手応えを感じたという。
日本とは交通法規の異なる米国市場でどこまで注目を浴びるかは未知数だが、会期中にブース出展するJ-Startupパビリオンでの反響が気になるところだ。
(文・伊藤有)