BYTONのSUV型EV「M-Byte」。4万5000ドルからという価格設定はテスラModel3対抗を意識したものと思われる。
撮影:伊藤有
中国・南京に拠点を構えるEVベンチャーBYTONは、米ラスベガスでのCES2020の開幕に先立ったプレスカンファレンスで1月5日(現地時間)、北米市場に投入するSUV「M-Byte」の実車と価格を発表。合わせて複数の戦略提携なども公表した。
BYTONはプレスカンファレンスでSUV(スポーツ用多目的車)の量産モデル「M-Byte」のプロダクション(製品)モデルを披露、2021年にアメリカ市場に投入すると説明した。
価格は4万5000ドルから。バッテリー容量の少ない後輪駆動仕様のモデルで224マイル(WLTP試験法、キロ換算360km)の走行ができるという。
M-Byteの主な仕様。価格設定、1充電あたりの走行可能距離などがわかる。
撮影:伊藤有
この価格は、テスラの普及車「Model 3」の中核グレードであるロングレンジモデルとほぼ同等の価格設定で、テスラと真正面から勝負をするようにもみえる。北米展開はカリフォルニア州を重点的に整備するようだ。
昨年のCES2019での川端由美氏のレポートにもあるように、BYTONは、ドイツ系の自動車メーカー出身者たちが多数参画している企業という点で、いわゆる「中国企業」とは異なる。
2019年の次世代コンセプト発表に続き、着実に北米展開(と中国での量産出荷)を着々と準備している様子がうかがえる。
総合商社の丸紅と資本業務提携
BYTONのカンファレンスの壇上に登場した丸紅のロゴ。
撮影:伊藤有
プロダクションモデルの披露に合わせて、複数の提携も発表した。
日本にとって大きなものは、総合商社の丸紅がBYTONと資本業務提携し、比較的後半時期の出資であるシリーズCラウンドでの出資に応じたことだ。
丸紅側のリリースによると「戦略的パートナーとして、モビリティ事業やEVバッテリーマネジメント事業、海外事業」を中心に協業するほか、「シェアリングや車載サービスなどのモビリティ事業やEVマネジメント事業」(リリースより)の創出も視野に入れている。
VIACOM CBSとも提携。インストゥールメントパネル全体を対角48インチのディスプレイ化した車載エンタテイメントシステムで動画コンテンツを楽しめるようになるという。
撮影:伊藤有
また、メディア企業のViacomCBS、Accessとも提携し、48インチの車載インフォテイメントディスプレイでビデオコンテンツを簡単に視聴できるようになるとアナウンスしている。
そのほか5つの企業とのデベロッパープログラムも発表。天気予報データ大手のAccuWeatherらが参画し、サードパーティーがBYTONの車両上で動く車載アプリも開発可能にしていく。
(文・伊藤有)