アメリカがイランに警告していた、米軍による反撃の条件となる"ある行為"とは【再掲】

空母

ニミッツ級空母「エイブラハム・リンカーン」。

REUTERS/U.S. Navy/Chief Mass Communication Specialist Eric S. Powell/Handout

  • アメリカのマイク・ポンペオ国務長官はイランに対し、米兵が1人でも命を落とすようなことがあれば、軍事的な反撃を招くだろうと警告するメッセージを内密に伝えていた。ワシントン・ポストが6月18日の夜(現地時間)に報じた。
  • ポンペオ国務長官とジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、イランに対し、「最大限の圧力」 をかける戦略をリードしている。

(※本記事は、2019年6月20日に公開した記事の再掲です)

アメリカが中東に米兵を追加派遣する中、アメリカの外交トップはイランに対し、イランもしくはイランが支援する武装勢力の手によって、米兵が1人でも命を落とすようなことがあれば、軍事的な報復を招くだろうとの警告を内密に伝えていた。ワシントン・ポストが6月18日の夜、米政府高官への取材をもとに報じた

アメリカは5月、中東に展開している米軍に対して、イランによる攻撃の兆候があるとし、空母エイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群と爆撃部隊を中東に派遣した。

ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は5月5日、中東に展開している戦力は「アメリカの利益もしくはその同盟国の利益へのいかなる攻撃も、容赦しない武力に遭遇することになるだろうという、明確かつ間違えようのないメッセージをイランに送る」ことを目的としていると述べた。

その2日後、ポンペオ国務長官はイラクの首都バグダッドを予告なしに訪問し、ここで1人でもアメリカ人に犠牲が出れば、反撃には十分だとの警告を与えたと、ワシントン・ポストは報じている。米陸軍に所属していたこともあるポンペオ国務長官は、ボルトン大統領補佐官とともに、アメリカのイランに対する「最大限の圧力」戦略を推し進めている。

これ以降、アメリカは中東地域に戦力を追加し、ホルムズ海峡に近いオマーン湾のイラン沖で、日本関連のタンカー2隻が攻撃されたことで(アメリカはイランの仕業だと主張している)、さらに多くの戦力を中東へ向かわせている。米軍は6月18日、アメリカはタンカー攻撃に対して、単独で軍事行動を取るつもりはないと明かした。

統合参謀本部のポール・セルバ副議長は、タンカー攻撃に対するいかなる軍事行動も「国際的なコンセンサスを必要とする」と述べた。米軍は、攻撃はイランのせいだとする証拠を示すことで、このコンセンサスを取り付けようとしている。

「イランがアメリカ人を狙うなら、アメリカの資源もしくは米軍には軍事行動で対抗する権利がある。彼らはそれを理解しておくべきだ」と、セルバ副議長は報道陣に語った。「イランは我々が何もしないと考えているのだろう。だからこそ、我々のメッセージは明確だ」という。

その上で、イランは「国際社会に難癖をつけている」が、「イランの直接の関与を指摘できるようなあからさまな攻撃で、アメリカの資産に触れてはいない」と付け加えた。

トランプ政権のある高官はワシントン・ポストに対し、「アメリカ人が殺されたら何が起こるか? それは全てを変えるだろう」と語った

国防総省のトップが代わる中、イランとの膠着状態をリードするのはポンペオ国務長官のようだ。ポンペオ国務長官は、シャナハン国防長官代行が長官指名を辞退した18日、米中央軍(CENTCOM)を訪れている。

「侵略を思いとどまらせるために我々はいる。トランプ大統領は戦争を求めていない」と、ポンペオ国務長官は言う。「我々はこのメッセージを伝え続けるとともに、中東地域でアメリカの利益を守るために必要なことをやっていく」

[原文:The US has been privately telling Tehran that it will attack if Iran makes this one wrong move]

(翻訳、編集:山口佳美)

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