気象衛星ひまわり8号が捉えたオーストラリアの山火事と煙雲。2020年1月2日。
RAMMB/CIRA/CSU; Business Insider
- 9月に発生したオーストラリアの山火事は、何カ月にもわたって燃え広がり、多くの地域で非常事態に陥っている。
- 新年の時点で、炎は1400万エーカー以上の土地を焦がし、約5億頭の動物を殺し、数十万人を避難させた。
- 炎は非常に広範囲に広がっているので、人工衛星の軌道上からの写真で見ることができる。
- 濃い煙の中を見ることができる衛星の特殊なセンサーが、山火事の広がりを記録している。
オーストラリアの荒れ狂う山火事は最悪の状態で、上空の人工衛星から、火炎や煙を容易に見つけることができるほどだ。
この火災は自然発火した可能性が高いが、専門家は人為的な気候変動が炎の成長を促進する高温乾燥状態を悪化させたと考えている。現在の推定では、オーストラリア東部で、1400万エーカー(約5万7000平方km)以上の土地が焼け、約5億頭の動物が死に、数十万人が避難した。
上の写真は1月2日に日本の気象衛星「ひまわり8号」から撮影されたもので、ヨーロッパのほぼ半分に当たる広さで煙が噴出し、ニュージーランドの空まで黄色い煙で暗くなっている。
「ひまわり8号」は2014年10月に打ち上げられ、高度約3万5786kmの静止軌道にある。さまざまなセンサーを搭載したこの「ひまわり8号」に加え、アメリカの気象衛星 「スオミNPP」 などが、オーストラリアの悲惨な状況を示す画像を送ってきている。
ここでは、危機的状況を示す宇宙からの写真、アニメーション、イラストを紹介する。
気象衛星ひまわり8号は、10分ごとに地球の西半球を撮影する。オーストラリアの山火事とその煙がよく見える
ひまわり8号が捉えた地球。2020年1月2日。
NICT Science Cloud/CEReS/Kpchi University/Nagoya Science Museum
高度約800kmの軌道を回るアメリカの気象衛星スオミNPPはより近い画像を提供するが画質は劣る。ひまわり8号のこの画像は11月のオーストラリアの山火事を捉えている
11月6日から11日までのオーストラリア東部の山火事を捉えた、ひまわり8号の写真によるアニメーション。
RAMMB/CIRA/CSU
近赤外線などの波長の長い光は、煙を通して地面に燃えるようなホットスポットを示すことがある
ひまわり8号によるオーストラリア東部の画像。2019年11月7日。
RAMMB/CIRA/CSU
2020年9月に始まった火災は「異常に長く、乾燥した、広大な干ばつ」で容易に広がった
オーストラリアの山火事と煙雲を捉えたひまわり8号の画像。2020年1月2日。メルボルンは左下隅に見える。
RAMMB/CIRA/CSU
1月1日から2日までのこのアニメーションでは、赤外線で通常は見えない複数のホットスポットがわかる。 2つの特に大きな山火事(中央の左下にある)は、長さ数十kmに広がっている
ひまわり8号による2020年1月1日から2日のの画像。
RAMMB/CIRA/CSU
日中の衛星画像もかなり衝撃的だ。欧州宇宙機関の衛星「Sentinel-2」は、大晦日にベイトマン湾を通過する際、燃え盛る山火事の画像を撮影した
2019年12月31日にオーストラリアのベイトマン湾で発生した山火事の様子。
Copernicus EMS; Sentinel 2/ESA
Source: Twitter
火災の規模を知るのは難しい。ニューサウスウェールズ州だけでも、一直線に並べると、シドニーからインド洋を横切りアフガニスタンに至る広さで火災が発生した
2020年1月2日の衛星画像。
NASA Worldview
Source: Twitter
火災による煙は500万平方キロ(ヨーロッパの半分の広さ)以上に広がっていて、空を黄色く変えてニュージーランドまで1600km以上漂流している
ひまわり8号の画像。2020年1月2日。
RAMMB/CIRA/CSU
これまでのところ、火災は2019年にアマゾンの熱帯雨林火災で燃えた地域の2倍以上になっている
ひまわり8号による2020年1月2日の火災と煙雲。
RAMMB/CIRA/CSU
Source: Queimadas
これまでに少なくとも17人が行方不明になり、8人が死亡し、数十万人が避難した(2020年1月3日現在)。ボランティアの消防士は24時間体制で消火に当たっている
オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州で。
Brett Hemmings/GettyImages
[原文:Stunning images from space reveal the shocking extent of Australia's bushfire crisis]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)