ゴーン被告の会見、東京地検が異例のコメント「到底受け入れられない」(全文)

会見で汗を拭うゴーン被告。

会見で汗を拭うゴーン被告。

REUTERS

保釈条件に違反して中東のレバノンに逃亡した日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告が1月8日夜(日本時間)、逃亡後初めて、同国首都ベイルートで記者会見を開いた。

ゴーン被告は、長期におよぶ身柄拘束、家族との接触が禁じられたことなどを挙げ、日本の司法制度、特に検察について「基本的人権に反する」と批判した。

東京地検は1月9日午前0時過ぎ、斎藤隆博・次席検事名で日本語英語による異例のコメントを発表した。

コメントでは「会見内容も自らの行為を不当に正当化するものにすぎない」「我が国の刑事司法制度を不当におとしめるもの」と強い言葉でゴーン被告を批判した。

その上で、「主張は不合理であり、全く事実に反している」「被告人ゴーンに我が国で裁判を受けさせるべく、関係機関と連携して、できる限りの手段を講じる」とした。

全文は以下の通り。


令和2年1月9日 東京地方検察庁 次席検事

被告人カルロス・ゴーン・ビシャラの記者会見について(コメント)

被告人ゴーンは、犯罪に当たり得る行為をしてまで国外逃亡したものであり、今回の会見内容も自らの行為を不当に正当化するものにすぎない。

被告人ゴーンが約130日間にわたって逮捕・勾留され、また、保釈指定条件において妻らとの接触が制限されたのは、現にその後違法な手段で出国して逃亡したことからも明らかなとおり、被告人ゴーンに高度の逃亡のおそれが認められたことや、妻自身が被告人ゴーンがその任務に違背して日産から取得した資金の還流先の関係者であるとともに、その妻を通じて被告人ゴーンが他の事件関係者に口裏合わせを行うなどの罪証隠滅行為を現に行ってきたことを原因とするもので、被告人ゴーン自身の責任に帰着するものである。

このような自身の犯した事象を度外視して、一方的に我が国の刑事司法制度を非難する被告人ゴーンの主張は、我が国の刑事司法制度を不当におとしめるものであって、到底受け入れられない。

また、当庁は、被告人ゴーンによる本件各犯行につき、適正に端緒を得て我が国の法に従って適法に捜査を進め、訴追に至ったものである。

本件の捜査により、検察は被告人ゴーンの犯した犯行について、有罪判決が得られる高度の蓋然性が認められるだけの証拠を収集し、公訴を提起したものであって、そもそも犯罪が存在しなければ、このような起訴に耐えうる証拠を収集できるはずがなく、日産と検察により仕組まれた訴追であるとの被告人ゴーンの主張は不合理であり、全く事実に反している。

当庁としては、適正な裁判に向けて主張やそれに沿う証拠の開示を行ってきたところ、被告人ゴーンは、我が国の法を無視し、処罰を受けることを嫌い、国外逃亡したものであり、当庁は、被告人ゴーンに我が国で裁判を受けさせるべく、関係機関と連携して、できる限りの手段を講じる所存である。

(文・吉川慧)

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