演説するトランプ大統領
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イランがイラク国内の米軍基地をミサイルで攻撃したことを受けて、アメリカのトランプ大統領が1月9日午前1時40分(日本時間)からテレビ演説に臨んだ。演説は9日午前1時(日本時間)に始まる予定だったが、40分ほど開始がずれ込んだ。
演説では、トランプ氏が軍事的な報復措置に言及するか、注目が集まっていた。
トランプ氏はイランの革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害を正当化する一方、「軍事力を行使したくはない。経済力こそ最大の抑止力だ」と発言。
さらに「アメリカは平和を希求する全ての人と平和を受け入れる準備ができている」と述べ、イランとの軍事衝突を望まない姿勢を明確にした。
演説の主な要旨は以下の通り。
- 私が大統領である間、イランに核兵器は保有させない。
- イランによるミサイル攻撃で、アメリカ人の犠牲者はいなかった。
- 軍施設への被害は最小限だった。米軍は、あらゆる準備ができている。
- ソレイマニ司令官は新たな攻撃計画を立てていたが、米軍が殺害したことで計画はなくなった。
- 軍事力を行使したくはない。経済力こそ最大の抑止力だ。
- イランには直ちに追加の経済制裁を科す。
- イランは攻撃の姿勢を緩め、身を引いているようだ。
- 北大西洋条約機構(NATO)は、中東の和平プロセスへの関与を深めてほしい。
- アメリカに中東の石油は必要ない。
- アメリカは平和を希求する全ての人との和平を受け入れる用意がある。
- IS(イスラム国)はイランの敵。アメリカとイランは協力しあうべきだ。
これまでの経緯を振り返る
イラン政府系ファルス通信が、イラク国内の米軍基地に向けて発射されたミサイルとされる写真をTwitterに掲載。
Twitter/@FarsNews_Agency
アメリカ軍は1月3日、トランプ氏の命令でイランの革命防衛隊(IRGC)の遠征部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官らをイラクの首都バグダッドで殺害したと発表した。
これを受けてイランやイランの影響下にある民兵組織などが報復を宣言。1月8日、イランはイラク国内の米軍基地をミサイルで攻撃した
これに対しトランプ氏は、Twitter上で報復にはさらなる攻撃で応じる意向を示すなど、両国間で緊張が高まっていた。
(文・吉川慧)