第77回ゴールデン・グローブ賞のドラマ部門作品賞にノミネートされた「マリッジ・ストーリー」。写真のスカーレット・ヨハンソンも主演女優賞にノミネートされたが、やはり受賞ならず。
提供:Netflix
- 2019年第4四半期(10〜12月)のネットフリックスは、前四半期(7〜9月)に比べて勢いを失ったようだ。
- 全世界のネットフリックスアプリの日間アクティブユーザー数(DAU)は前四半期比で3%減り、前年比でも成長が大幅に鈍化した。
- DAUは同社が戦略市場として重要視するブラジル、メキシコなどラテンアメリカで減少し、インドでの成長にも急ブレーキがかかった。
2019年の暮れにネットフリックスが放ったドラマシリーズ「ウィッチャー」は、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3に次ぐヒット作となった。
問題は、「ウィッチャー」ほか第4四半期にリリースした「アイリッシュマン」「マリッジ・ストーリー」「6アンダーグラウンド」などの作品が、2019年の業績に貢献したかどうかだ。
少なくとも、1月5日(現地時間)に発表されたゴールデン・グローブ賞で、それらの作品がネットフリックスに大勝利をもたらすことはなかった。映画部門とテレビ部門で合計34件ノミネートされながら、受賞はわずか2件。映画「マリッジ・ストーリー」で助演女優賞のローラ・ダーンと、ドラマ「ザ・クラウン」で主演女優賞のオリヴィア・コールマンだけだった。
ウェブマーケティング支援会社シミラーウェブからBusiness Insiderが独自に入手したデータによると、例年、第4四半期はネットフリックスにとって会員数を伸ばす“書き入れ時”だが、2019年はうまくいかなかったようだ。
ネットフリックスは2019年第4四半期、全世界の合計で有料会員数760万人増を予想。第3四半期に新たに獲得した会員数よりさらに13%多い数字で、うち700万人以上がアメリカ以外の会員と見込んでいた。
ネットフリックスの日間アクティブユーザー数(DAU)の推移。紫線が全世界の合計、赤線がアメリカ。
Shayanne Gal/Business Insider
ところが、第4四半期の日間アクティブユーザー数(DAU)は前四半期に比べて3%減り、とりわけインドやメキシコ、ブラジルでの減少が目立った。前年同期比では12%増だったものの、2018年の同四半期に41%増を記録したのと比べると、見劣りする結果となった。
(※シミラーウェブのデータはサンプル調査によるもので、ネットフリックスによる実数計測データとは異なる)
ブラジル、メキシコなどでユーザー減少
2019年第4四半期、ネットフリックスのDAUは、アルゼンチンやブラジル、メキシコなどを含む世界12カ国で前四半期比マイナス、あるいは前四半期並みだった。一方、ハンガリーやウクライナのような新興国市場ではDAUの成長が続いている。
ラテンアメリカ市場のDAUは前年同期比も下回り、アルゼンチンとメキシコでそれぞれ2%減、ブラジルでは5%の減少となった。
ラテンアメリカは2900万人(2019年11月30日時点)の有料会員を抱え、ネットフリックスにとって、アメリカ・カナダ、欧州・中東・アフリカに次ぐ第3の市場だ。しかし、この2年間の実績では、アジア太平洋や欧州・中東・アフリカほどの成長は実現できていない。
また、ラテンアメリカの会員が毎月支払う料金の平均額は、世界のすべての市場のなかで最も少ない8.63米ドル。逆に最も多く支払っているのはアメリカ・カナダで13.08米ドルとなっている。
ネットフリックス有料会員の毎月平均支払い額。市場別で、左からアメリカ・カナダ、欧州・中東・アフリカ、ラテンアメリカ、アジア太平洋。
Shayanne Gal/Business Insider
インドでの成長にも足止め
視聴者拡大のために低料金プランを導入したインドでもユーザー数は減り、DAUは前四半期比11%減となった。前年同期比では3%増えたものの、2017年から18年に400%増という驚異の伸びを記録したことを考えると、2019年第4四半期は“急ブレーキ”と言っていいだろう。
インドのネット配信動画サービスごとのDAUの推移。赤がネットフリックス、青はアマゾン・プライム・ビデオ、黄はホットスター。
Shayanne Gal/Business Insider
シミラーウェブによると、インドではほとんどの人がネット配信動画サービスをスマホで使うため、いくつかの通信キャリアが最近データプランの料金を大幅に引き上げたことが(ネットフリックスのユーザ数にも)ネガティブに響いたという。
ただし、競合のアマゾン・プライム・ビデオは第3四半期から第4四半期にかけてDAUを伸ばしている。
ネットフリックスの2019年通期決算は1月21日に発表される。
(翻訳・編集:川村力)