政治家ジェンダー問題発言ワースト1位は麻生氏。女性より男性の方が怒ったその内容は

政治家によるジェンダー的に問題のある発言として、麻生太郎財務相の「子どもを産まなかったほうが問題」がワースト1位に選ばれた。2588票、投票総数の34%を占める“ぶっちぎり”だ。

しかも投票者の割合は女性より男性が多い結果に。投票理由からは、少子化の責任を個人に押し付けてきた政治への怒りがにじんでいた。

政治家のジェンダー問題発言に男性もおこ!

麻生太郎

麻生太郎副総理兼財務相。東京証券取引所にて、2020年1月6日撮影。

Reuters/Kim Kyung Hoon

投票は、上智大学の三浦まり教授ら「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」が主催。2019年の政治家の公的発言の中から、ジェンダー差別に該当するもの、またジェンダー格差を容認するようなものを8つ候補にあげ、インターネットで投票を募った(2019年12月30日~2020年1月9日)。

投票者数は3820人と、前回の2026人から1790人以上増加。うち女性2228人、男性1422人、その他・わからない169人などで、男性の関心の高さもうかがえる。

ワースト1位に選ばれたのは、麻生財務相の以下の発言だ。

「(日本人の平均寿命が延びたのは) いいことじゃないですか。素晴らしいことですよ。いかにも年寄りが悪いみたいなことを言って いる変なのがいっぱいいるけど間違ってますよ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」(2019年2月3日、福岡県内での国政報告会にて)

1人最大2票を投じることができる今回の投票。投票総数7593票のうち、麻生氏のこの発言は2588票と、投票総数の34.1%を集め、他を大きく引き離す結果となった。

子どもを産むか産まないか、決めるのは私だ

雑踏

GettyImages/d3sign

主催者によると、投票理由として多くの人があげたのは、以下の4つだったという。

・麻生氏が現副総理、過去には総理大臣も務めた政界で大変高い地位にある人物であり、その発言は非常に影響力が強い

・長い政治的キャリアを持ち、国の政策決定を行う高い地位にありながら、国の政策の失敗原因を「子どもを産まなかった人」だけに押し付けるのは、政治家としての責任放棄

・子どもを産む産まないは個人のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康・権利)に関わることであり、他人に指図されることでも、「国のためになる/ならない」で評価されることでもない

・過去に何度も問題発言を行って批判されているにもかかわらず、再び麻生氏が問題発言をしたことに対する「反省がない」「国民の批判の声を聞く気もない」という怒りや失望

主催者は「差別発言を繰り返し自浄能力もないように見える政治の世界の象徴とし て、麻生氏の発言がワースト投票の対象に選ばれた面もあるようだ」と分析している。

ちなみに麻生氏のワースト1位は、昨年に続き2年連続

昨年はテレビ朝日記者への財務省前事務次官のセクハラ事件に関する「こちら側も言われている人の立場も考えないと。福田の人権はなしってわけですか」「相手(被害を受けた女性記者)の声が出てこなければ、どうしようもない」「そんな発言されて嫌なら、その場から去って帰ればいいだろ。財務省担当はみんな男にすればいい。触ってないならいいじゃないか」などの一連の発言だった。

少子化は若い世代の意思表示

子育て

ちなみに2位は安倍晋三首相の2019年7月16日、新潟県内での参議院選挙の応援演説で「お父さんも恋人を誘って、お母さんは昔の恋人を探し出して投票箱に足を運んで」という発言。

GettyImages/a-clip

今回、麻生氏の発言に投票した人は、女性29.3%、男性31.3%と、女性より男性の方が多かった

当時この発言を報じたメディアの中には、麻生氏の発言を「子どもを産まない女性や、産めない事情を抱えた女性に対する配慮に欠けた発言」と伝えたものもあった。

いわゆる「少子化」問題は、「女性問題」として語られてきた過去がある。

今回の投票結果が浮き彫りにしたのは、そうすることで透明化されてきた政治の責任、ないがしろにされた個人の意思、それらに対する性別を超えた怒りだろう。

厚生労働省が2019年12月24日に公表した人口動態統計では、国内で2019年に生まれた日本人の子どもは86万4000人になり、統計を始めた1899年以降で初めて90万人を下回る見通しに。大きな衝撃を与えたのは記憶に新しい。

少子化は「こんな社会で子育てしたくない」という、若い世代の意思表示かもしれない。政治はどう応えるか。

(文・竹下郁子)

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