2019年12月、レイプ被害を訴えた23歳の女性が、レイプ犯を含む男性たちに襲われ、体に火をつけられて死亡した。インド各地で抗議活動が相次いでいる。
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インド国家犯罪記録局(NCRB)は1月13日、2018年に確認されたレイプ事件のうち94%が、知人や友人、家族など被害者の知っている人間の犯行だったと、最新のレポートで明らかにした。タイムズ・オブ・インディアなど複数の地元メディアが報じている。
同レポートによると、2018年に発生したレイプ事件は3万3356件。加害者の内訳は以下のとおり。
- 被害者の知人(近所、家族の友人、雇用人) 1万5972件
- 被害者の友人(ネット経由含む)、結婚を口実とした同棲相手、離婚した元夫 1万2568件
- 家族 2780件
- 無関係の他人あるいは不明 2036人
被害者の知っている人によるレイプ事件が多発したエリアは、以下のとおり。
- マディヤ・プラデーシュ州(首都ニューデリーの南) 5209件
- ラジャスタン州(同西) 3748件
- ウッタル・プラデーシュ州(同東) 3718件
- マハーラーシュトラ州(インド中西部) 2124件
首都ニューデリーを含むデリー連邦直轄地内でも1215件のレイプ事件が発生しており、うち1194件(98.3%)は被害者の知人による犯行だった。
18歳未満を対象とするレイプが3割
2019年12月、首都ニューデリーにて。レイプ事件に対する抗議デモをくり広げたインド野党の若手議員たち。
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レイプ被害を受けた女性の年齢層も公表された。18歳未満の少女を対象とする犯行は3割近くを占めた。
- 18歳未満 9433件(27.8%)
- 18歳以上30歳未満 1万7636件(51.9%)
- 30歳以上45歳未満 6108件(18.0%)
- 45歳以上 800件(2.3%)
インドでは1日平均90件超のレイプ事件が発生している。直近の2019年12月には、レイプ被害を訴えていた23歳の女性が裁判所に向かう途中で襲われ、体に火をつけられ重度のやけどで死亡する事件が起きるなど、問題は深刻化の一途をたどっている。
夫や近親者による虐待はレイプの3倍
なお、インドで2018年に確認された、女性を対象とする(レイプ含む)犯罪の主な内訳は、以下のようになっている。
- 夫やその近親者による虐待 10万3272件
- 「慎み深さを侮辱する」意図をもった暴行 8万9097件
- 誘拐および拉致 7万2751件
- レイプ 3万3356件
- 不十分な持参金を理由とした新婦殺害 7166件
(文・川村力)