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「FoodTech Live2020」で食の最新テクノロジーを見てきた。スマート調理家電から昆虫食まで

foodtechlive2020

Business Insider Japan

米ラスベガスで1月7〜10日に開催されたテクノロジー展示会「CES2020」。会期中はラスベガスのホテルのあちこちで、CES運営団体とは無関係の、さまざまなテクノロジーイベントが同時多発的に開催されるのが恒例となっている。

その中で、「食」に関するテクノロジー(フードテック)企業を集めた1ナイトイベントが「FoodTech Live2020」。2019年に続いて、2回目の開催だ。

会場となったラスベガスの目抜き通りのホテルの1つ、トレジャーアイランドのイベント会場には30を超えるフードテック企業が集結した。

会場に並んだのは、食材を入れるだけで手軽に調理ができるスマート調理器や、スマートフォンやクラウドと連携して食材を管理できるスマート保存容器、スマートエスプレッソマシンなどの調理器具から、コオロギの粉末を利用したフレーバーパウダー、完全食として食べられるパスタ「BASE FOOD」などの食材まで多彩だ。

コーヒーをスマートに高圧抽出する「Spinn」

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サンフランシスコに拠点を置くSpinn Inc.のスマートエスプレッソマシン「Spinn」。

撮影:コヤマタカヒロ

サンフランシスコに拠点を置くSpinn Inc.の「Spinn」は、銘柄により毎分500~6000回転で豆を挽き分け、高い圧力をかけながらゆっくりと抽出してくれるスマートエスプレッソマシン。スマートフォンアプリ上でコーヒー豆の銘柄や飲み方などを設定でき、好みに合った最適なエスプレッソが楽しめる。

Spinn Inc.自体、コーヒー豆の販売を手がけており、全米のコーヒーロースターの豆を取り扱っている。月額5ドルからのサブスクリプションを用意するなど、安定したコーヒービジネスを構築している。

食材の保存状態をスマホで管理する

フードテックの目標の一つに食品ロスの低減がある。そこで出てくるのがスマートフォンによる食材の管理だ。

保存容器の保存期間を追跡できるスマート容器「ovie」

スマート保存容器

スマート保存容器「ovie」。

撮影:コヤマタカヒロ

ovie」は食材の保存容器に取り付けることで、保存期間をトラッキングできるスマートタグ。スマホアプリ上から保存する食材を選んで、タグを容器に取り付けることで、その食材に合わせたスマートタグのライトリングの色が緑から黄色、赤へと変わり、状態を知らせてくれる。

リングの色が黄色になるとスマートフォンに食材の有効活用についての提案が通知され、食品をロスすることなく食べられる仕組み。また、冷蔵庫を開けると、リングライトの色で優先的に消費すべき食材が視覚的にわかる。

後付けできる冷蔵庫内カメラ「Smarter FridgeCam」

後付けできる冷蔵庫内カメラ「Smarter FridgeCam」の本体写真

価格はイギリスで99ポンド、北米は129.39ドル。日本市場での発売も予定しているそうだ。

撮影:コヤマタカヒロ

Smarter FridgeCam」は冷蔵庫内に設置できる後付けのカメラ。外出先から冷蔵庫の中身を確認できるため、無駄な買い物を防いだり、賞味期限をトレースして食材を有効活用できる。

音声AIのAlexaやSiriに対応しており、連携することで冷蔵庫の中身を音声で確認したり、買い物リストに商品を追加したりすることが可能だ。

ニオイや雑菌を検出する衛生デバイス

飲食業界において最も注意を払う必要があるのが、食品の安全対策だ。飲食店向けの衛生機器も、フードテックの1ジャンルとしていくつかの製品が並んでいた。

臭気センサーで匂いをデジタル管理する「aryballe」

臭気をデジタル化して管理する「aryballe」の写真

臭気をデジタル化して管理する「aryballe」。

撮影:コヤマタカヒロ

aryballe」は内蔵の臭気センサーによって匂いを検知し、デジタル管理することができるハンディツール。匂いの強弱だけでなく、ハーブなど匂いの種類も判断することが可能。収集した臭気データはクラウドで管理され、視覚的に表示できる。

匂いを視覚的にデジタル化することで、例えば飲食店などでは食品の劣化などをデジタルデータで管理でき、どの段階で処分するといった判断ができるようになるという。

調理過程や飲食飲料などに活用できるほか、自動車産業での利用も視野に入れているそうだ。

手をスキャンして“雑菌の付着”をチェック「PathSpot」

手の雑菌をスキャンする

手の雑菌をスキャンして計測する「PathSpot」。飲食業で欠かせない衛生問題に向き合うフードテック。

撮影:コヤマタカヒロ

PathSpot」は手を洗ったあと、危険な雑菌などが付着していないかを調べるハンドスキャナー。本体の下に手をかざし、手のひらと甲を向けて2秒スキャンするだけで衛生状態が表示できる。待ち時間が少ないため、業務への負担もなく、手軽に使える。

また、個人の衛生状態を確認するだけでなく、チーム全体の衛生状態もリアルタイムで表示できるなど、飲食ビジネスをサポートしてくれる。

「フードテック」の概念は幅広い

「FoodTech Live2020」には、スマート調理家電のほか、食そのものを手掛ける企業も複数参加していた。

本家CES2020では、代替肉食品を手がけるインポッシブルフーズが、新たに豚肉を模した植物肉を発表し、ブース展示もするなど、従来のテクノロジーショーとは異なる方向性の展示も出てきつつある。今後、CESの1テーマとして成長する可能性も感じられた。

自動調理家電「Thermomix」最新モデル

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22種類のツールが付属し、自動で多彩な調理ができるスマート調理器「thermomix」の最新モデル。レシピのダウンロードにも対応する。

撮影:コヤマタカヒロ

スマホ対応の圧力鍋「CHEF IQ」

スマートフォン操作に対応した電気圧力鍋「CHEF IQ」

スマートフォン操作に対応した電気圧力鍋「CHEF IQ」。

撮影:コヤマタカヒロ

昆虫食系調味料「ORCHESTRA PROVISIONS」

「ORCHESTRA PROVISIONS」

「ORCHESTRA PROVISIONS」のフレーバー調味料。栄養素としてコオロギが含まれている。昆虫食の入り口として最適とのこと。

撮影:コヤマタカヒロ

味付けを簡単に!?「Vispice」

「Vispice」の写真

スパイスのついたプラスチックフィルムに食材を挟むことで簡単に味付けができる「Vispice」 。

撮影:コヤマタカヒロ

フルーツを薬のように摂取するマイクロフード「JOURNEY FOODS」

マイクロフード「JOURNEY FOODS」

フルーツをキューブ状に加工したマイクロフード「JOURNEY FOODS」。効率よく栄養素を摂取できる。

撮影:コヤマタカヒロ

(文、写真・コヤマタカヒロ)

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