SUPER NINTENDO WORLDの開発を担当したアメリカのユニバーサル・クリエイティブ 副社長チーフ・クリエイティブ・オフィサーのティエリー・クー氏。SUPER NINTENDO WORLD専用のウェアラブルデバイスとスマートフォンアプリ機能を発表した。
撮影:小林優多郎
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが東京オリンピック・パラリンピック開催前のオープンを目指す「SUPER NINTENDO WORLD」は、任天堂のゲームの世界観を現実で体験できるものだ。2017年6月の着工以来、老若男女を問わないそのキャラクターの人気の強さから、世界でも注目の的となっている。
専用ギア「パワーアップバンド」は“ハリポタの杖”の進化版
SUPER NINTENDO WORLDは、ハテナブロックを叩くと音と共にコインがゲットできるなど、ゲーム感満載のパークとなる。
同社は1月14日にSUPER NINTENDO WORLDのグローバルキックオフイベントをUSJで開催。専用センサーバンド「パワーアップバンド」とスマートフォンアプリの連携機能を世界初披露した。パーク内のギミックやアトラクションと連動させることで、よりゲームの世界を現実化する新しい遊びを提案するという。
14日のイベントでは、「パワーアップバンドを装着した人が、ハテナブロックを叩くと音がしてコインが貯まる」という、スーパーマリオの世界観の現実化を試すことができた。
実際に筆者もパワーアップバンドを着けてみた。とても軽いが、筆者のフォッシル製スマートウォッチ(写真右)もそれなりの大きさ(ケース径44ミリ)だが、比べると割と大きい。
大きさは非公表とのことだが、体験会場にあったハテナブロックも近寄ってみると少し圧倒されるほど。下のMマークを叩くとコインの“チャリーン”という音が鳴り、ブロックが光る。会場では試せなかったが、パワーアップバンドを着けてない場合は「グニュ」という別の音がするという。
一方で、貯まったコインはアプリ内のランキング機能で、友だちや他の来場者と競い合うことができる。ただ、コインを何かに使ったり、何かのクリアー条件のようなものがあるかや、そもそもパワーアップバンドにはどんなセンサーが含まれているのか、いくらなのかといった詳細はまだ公開していない。
1つ予想できるのは、USJの先行事例の1つである「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」での魔法の杖と同様の製品になるのではないかということだ。
ハリー・ポッターの杖も有料で、購入するとエリア内のさまざまなギミックを動かしたり、発動させたりできる。一方で、杖を買わなくてもアトラクションを楽しんだり、パークの世界観に浸ることは十分に可能だ。
そういう意味ではパワーアップバンドは「ハリー・ポッターの杖の任天堂版」と言えなくもないが、SUPER NINTENDO WORLDではさらに踏み込み、アトラクションの何らかの実績と連動、スマートフォンアプリと連携することで他人との協力・競争要素を持っているのが、USJが語る“新しい遊び”の要素だ。
海外3拠点でもマリオの世界は広がる
世界展開について発表したUSJ 社長CEOのJ.L.ボニエ氏。
14日のイベントで、興味深かった点がもう1つある。それはSUPER NINTENDO WORLDの世界展開だ。
現状、世界で初めてオープンするのは任天堂の本社がある京都も近いUSJ(大阪)だが、アメリカの2つのユニバーサル・スタジオ(ハリウッド、フロリダ)およびシンガポールへの進出が決まっている。
そのため、USJとしては日本でのオープンを無事終えた後も、米国本社や任天堂とともにSUPER NINTENDO WORLDを世界に定着させる大事業が控えている。
その最初の1歩として、2月にSUPER NINTENDO WORLDのプロモーションイベントをニューヨークで開催する。ニューヨークは、アトラクションやギミックなどの開発拠点がある。
14日に公開されたミュージックビデオ。
出典:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
あわせて、アメリカなどで著名なプロデューサー兼DJのGALANTIS(ギャランティス)さんと、歌手のCHARLI XCX(チャーリーXCX)さんによるミュージックビデオも公開。幅広い世代、年齢、性別そして国籍を超えたPR活動を行なう方針だ。
USJのマーケティング部 部長の山本歩氏。
USJはその名の通り「ユニバーサル・スタジオ」の日本版だ。そのため、主要コンテンツは海外の版権を活用しているものが多い。
エヴァンゲリオンやモンスターハンター、進撃の巨人といった国内版権を活用した期間限定アトラクションなどもUSJにはあるが、海外のユニバーサル・スタジオに日本のキャラクターがこれほどの規模で進出した例はない。
USJのマーケティング部長を務める山本歩氏は、そんな今までにない今回の事例ついて以下のように語っている。
「まさに(SUPER NINTENDO WORLDは)グローバルプロジェクトだ。
(ニューヨークのプロモーションイベントで)日本が誇る任天堂のIP(版権)を世界に知らしめ、最新のテクノロジーを得て日本に返ってくきて、最初に日本で出せることに誇りを持っている。
日本のすごさ、誇りというものを体現したい」(山本氏)
山本氏はニューヨークイベント以降、実際のオープン日やいまだ明らかになっていないマリオカートを含めたアトラクションといった「詳細を順次披露したい」と話している。
(文、撮影・小林優多郎 取材協力・ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)