会社の電話はなくならない?あえて「固定電話」に挑戦するベンチャーが強気な理由

shutterstock_332076824

shutterstock

「電話は相手の時間を奪う」などの理由から広まった電話不要論。実際、会社に固定電話を置かないベンチャーも出てきていて、「脱電話化」が注目されている。

とはいえ、「仕事において固定電話が必要」と9割の人が答えたアンケート調査もあり、すぐに企業から固定電話をなくす流れにはならなさそうだ。

一方で、そんな固定電話に注目し、新たなサービスを展開するベンチャー企業も登場している。

音声の役割「ますます増える」

DSC_0379

シンカの江尻高宏氏は「まだまだ電話を効率的に使うことができる」と話す。

撮影:横山耕太郎

「『固定電話の時代はもう終わった。なんでそこにベンチャーが飛び込むのか』とずっと言われてきた。それでも、今も企業の電話は鳴り続けている。これから音声コミュニケーションの役割はますます増えていくと思います」

電話の着信時に顧客情報をパソコンに表示して情報を共有できるクラウドサービス「カイクラ」を運営する、シンカの代表取締役・江尻高宏氏は語る。

シンカは2014年に設立されたベンチャー企業。2016年にはサービス導入企業は190社だったが、2019年3月には1100社、1600拠点に導入されるなど売り上げを伸ばしている。

「このサービスを使えば、固定電話が鳴った時点で、相手の名前と前回までのやり取り、自社の担当者が表示され、スムーズに対応できる。音声は録音されてテキスト化されるため、言った言わないという問題も起きない。今後は蓄積された音声データをAIで解析することで、新しいサービスにもつなげていきたい」

「電話がストレス」若い世代で7割

teltinka

出典:シンカ「企業における固定電話の活用調査」

実際には、会社の固定電話の必要性を感じながらも、電話対応を負担に思う人は少なくない。

シンカでは2019年12月、インターネット調査「企業における固定電話の活用調査」を実施。直近1年以内に会社にかかってきた固定電話の対応をしたことがある1064人が回答した。調査によると、「固定電話は必要な存在か」という質問には、「不要」はわずか8%のみで、「必要」または「しばらくは必要」と答えた人が9割を超えた

また「会社の固定電話にかかってきた電話をとるのは、嫌だ・ストレスだと感じるか」については、6割以上が「感じる」と回答。20~34歳の若い世代では7割が「感じる」と答えており、若い世代が特に、電話対応に苦手意識を持っていることが分かった。

電話代行サービスも人気に

GettyImages-627616921

電話対応に追われることで、特にバックヤードで働く社員の仕事の効率が落ちてしまうという(写真はイメージです)。

GettyImages

電話対応そのものを外注するサービスも注目されている。

クラウドソーシング事業などを手がける「うるる」では2019年2月から、会社にかかってくる電話の応対をアウトソーシングするサービス「fondesk(フォンデスク)」を開始した。

同サービスでは、会社にかかってきた電話が外部に転送され、オペレーターが代わりに電話対応。相手の名前や用件をテキスト化し、「Slack」や「LINE」「Chatwork」、「Microsoft Teams」などのチャットサービスで情報共有する。サービスの利用者は電話の用件をチャットで確認できるので、必要な相手にだけすぐに折り返しの電話ができるという。

fondesk事業部の脇村瞬太部長は、電話代行が求められる理由をこう語る。

「会社にかかってくる電話は、不要な営業電話も多い。ただ何本かに1本は大切な連絡もあり、なかなか固定電話をなくせない現状があった

ベンチャー企業などでは、電話を受けるバックヤードの社員が電話対応に忙殺されてしまいがちだったが、代行サービスを使えば効率的に仕事ができるようになる。会議中や食事中のみ電話代行を使うなど、業務に集中するという意味でもサービスが求められている」

集中切れる原因の1位は「電話」

tel

出典:うるる「会社での集中力に関するインターネットリサーチ」

うるるが実施した「会社での集中力に関するインターネットリサーチ」(440人が回答)では、「デスクで仕事をしている時、集中力を切らす要因」について、複数回答を求めたところ、「デスクの固定電話が鳴って対応する」が66%と最も多かった。「同僚や上司に話しかけられる」(51%)、「同僚や上司の会話の声が聞こえること」(33%)と続いた。

直接自分あての電話ではなく、別の人にかかってきた電話を取り次がないといけないことも多い。

自分のデスクの固定電話にかかってくる電話のうち、自分あての電話の割合は「1~2割」と答えた人が全体の4割で、「3~4割」も2割。自分あての電話よりも、他の人あての電話を取らなければならない人が6割に上った。調査では、自分ではない相手にかかってきた電話を取るため、仕事の集中が途切れてしまっている現状が浮かび上がった。

会社に電話は必要か?と言われれば、「ない方がいいけれど、実際には……」と答える人が多いのが現状だろう。

微妙な立場に立たされている固定電話だが、新たなサービスも生まれ、これまでの電話文化は確実に変化している。電話対応を苦手に感じる一人としては、この変化がさらに進むことを期待したい。

(文・横山耕太郎)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

あわせて読みたい

Popular

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み