生活必需品となっているスマートフォン。そのアプリビジネスの動向について、調査会社App Annieがまとめた。
撮影:今村拓馬
アプリ市場のデータ分析を手がけるApp Annieは1月16日、2019年のモバイルアプリ市場および2020年の展望をまとめた「モバイル市場年鑑 2020」を公表した。
App Annieによる推定では、2019年の全世界ダウンロード数は前年比5%増の2040億件、アプリ購入および月額料金、アプリ内課金を合わせた「消費支出」は1200億ドル(前年比18%増)となり、全体としてモバイルアプリ市場は成長傾向にあるとしている。
2020のサマリー。
出典:App Annie
一方で、同社はアメリカ、日本、韓国は成熟市場としており、ダウンロード数に関しては横ばいと分析。ダウンロード、消費支出ともに最大の市場は中国となっている。
「FGO」「モンスト」はいまだ世界レベルで好調
消費支出ベースの世界ランキング。トップゲームの日本タイトルではドラゴンボールもトップ10に顔を覗かせている。
出典:App Annie
アプリマーケット全体の消費支出の72%はゲームアプリで、いまだゲームの持つ重要性は大きい。
同年鑑による世界ランキング(消費支出ベース)を見てみると、タイトル別ではソニー傘下のアニプレックスによる「Fate/Grand Order」(FGO)が首位、中国・テンセントによる「Honor of Kings」が2位、ミクシィ傘下のXFLAGによる「モンスターストライク」(モンスト)が3位となっており、日本製タイトルの健闘が見て取れる。
App Annie調べで、2019年に世界で最も課金されたスマートフォンゲームになった「Fate/Grand Order」。
撮影:伊藤有
一方で、パブリッシャー別のランキングは1位がテンセント、2位がNetEase(中国)、3位がActivision Blizzerd(アメリカ)で、日本のパブリッシャーは5位のバンダイナムコが最上位となっている(ソニーは8位)。
以前から指摘されているように、日本は現在はメガヒットタイトルに恵まれているが、上位に出て来ているものは長寿タイトルばかりだ。日本という観点では、「次のFGO」「次のモンスト」がまだ出て来ていない、という課題も浮き彫りになっている。
2020年はストリーミング、サブスク、5Gがキーワード
2020年のモバイルアプリ市場の予測。App Annieは広告支出が26%増えると見込んでいる。
出典:App Annie
App Annieはモバイルアプリの広告支出はさらに拡大すると見ている。
成長要素として、ストリーミングサービスの競争激化、アップルの月額600円でゲーム遊び放題の「Apple Arcade」や、グーグルの月額4.99ドルでアプリ使い放題の「Google Play Pass」(日本未上陸)という開発者にとっての新しい収益源、各国での5G本格化によるeスポーツ市場の活性化などを挙げている。
(文・小林優多郎)