製造開始から70年。牛のマークがついた「台形の缶詰」として親しまれてきた。
撮影:吉川慧
加工食品などを展開する川商フーズは1月15日、「ノザキのコンビーフ」のパッケージをスチール製のいわゆる「枕缶」からアルミ箔を用いた新容器に変更すると発表した。これを受けて、メルカリでは「枕缶」のコンビーフが定価の約8割増しの高値で出品される事態となっている。
70年ぶりのパッケージ刷新で「くるくる」が消える
70年ぶりのリニューアルは大きなニュースに。
出典:ノザキのコンビーフ公式Twitter@nozaki1948
「ノザキのコンビーフ」は1948年に誕生。発売当初は瓶詰めだったが、1950年に現在の「枕缶」が登場。枕のような台形の缶の一部を、くるくると巻き取って開ける仕組みで親しまれた。
「くるくる」と付属のカギで開ける。コンビーフの代名詞だ。
撮影:吉川慧
これまでの販売数は9億個以上。製造ラインの老朽化を受けて、2019年末で「枕缶」での生産は終了した。これによりカギで「くるくる」と開ける方法は姿を消す。
3月から登場する新容器は底部のシールをはがす方式に。開けづらさが解消され、賞味期限も常温保存で3年6カ月となり、現行より6カ月長持ちするという。
紹介文には「廃盤商品」「貴重なもの」 という文言も……
メルカリでは定価の約8割増での出品も…。(編集部で画像を一部加工しています)
メルカリのスクリーンショットをもとに編集部作成
SNSでは70年ぶりのリニューアルで「くるくる」ロスを嘆く声も。そんな中、メルカリでは定価よりも割高の価格で出品される例が出ている。
Business Insider Japan編集部が1月16日午後6時ごろに確認したところ、販売終了発表後に出品された「ノザキのコンビーフ」の「枕缶」は10件。個数と価格は以下の通りだった。
- コンビーフ5缶 3980円(1缶あたり796円)
- コンビーフ10缶 7700円(1缶あたり770円)
- コンビーフ4缶 2999円(1缶あたり約750円)
- コンビーフ6缶 3980円(1缶あたり約663円)
- コンビーフ8缶 5200円(1缶あたり650円)
- コンビーフ6缶 3800円(1缶あたり約633円)
- コンビーフ4缶 2444円(1缶あたり611円)
- コンビーフ5缶 3150円(1缶あたり630円)
- コンビーフ3缶 1777円(1缶あたり約592円)
- コンビーフ1缶 500円
いずれも送料込みの価格だが、1缶あたりの希望小売価格410円(税別)と比較すると明らかに割高だ。
商品紹介文では「廃盤商品と発表された」「売り切れ次第手に入らない貴重なもの」「最後に食べたいという方にお分けします」などと、飢餓感を煽って購入を呼びかける例もあった。
「ノザキのコンビーフ」はなくならない
きれいに開封できると、なんだか誇らしかった。
撮影:吉川慧
ここで再確認しておきたいが、「ノザキのコンビーフ」が生産終了になるわけではない。現行のパッケージは変更されるが、今後も私たちはノザキのコンビーフを楽しむことができる。
川商フーズの担当者はBusiness Insider Japanの取材に対し、「これまでの実績をもとに、リニューアルまでの在庫を準備しています。通常よりも販売ペースが加速する可能性はありますが、まだ在庫はあります。今日、明日になくなるわけではないので、安心してお買い求めいただければ……」と話した。
(文、撮影・吉川慧)