米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ。Netflix(ネットフリックス)では、彼の脳内に迫る「二度とこんな取材はできない」ドキュメンタリーも公開中だ。
Mike Cohen/Getty Images
- Netflix(ネットフリックス)のドキュメンタリー番組がビジネスの世界で話題を呼んでいる。
- デトロイトで起業する新卒の若者を追った「ジェネレーション・スタートアップ」から、「二郎は鮨の夢を見る」まで、さまざまな教訓を得られるドキュメンタリーが幅広く揃っている。
時間に余裕ができたけど、最新のテレビドラマとかには別に興味ないな、という人に、ネットフリックスのドキュメンタリーがオススメだ。
ネットフリックスは面白くて役に立つドキュメンタリーの宝庫。ファッションブランドが成功するまでの軌跡、世界で最も有名なパフォーマンス・コーチが考える成功の本質、オリンピック選手になるというのはどういうことなのか……そこには多様な学びがある。
ビジネスに役立つドキュメンタリーのオススメ10作品を紹介しよう。
『二郎は鮨の夢を見る』(2011年)
『二郎は鮨の夢を見る』予告編。
Cinema Today
寿司職人として腕前はもちろん、「おまかせ4万円〜」の寿司を世界中が崇める、東京・銀座「すきやばし次郎」の店主・小野二郎を追ったドキュメンタリー。
2020年に95歳になる匠が、仲卸業者と交渉して最高級の食材を手に入れたり、店を運営したり、スタッフを教育したり、自分が退いた後、跡を継げるようにと息子を指導する様子が描かれる。小野を熟達した最高の寿司職人へと至らしめた献身やこだわり、何十年にもおよぶ努力が垣間見られる作品。
『ホットガールズ・ウォンテッド』(2015年)
『ホットガールズ・ウォンテッド』予告編。
Netflix Philippines
女優のラシダ・ジョーンズが製作したドキュメンタリー。ポルノ業界で働く若い女性たちの生活に焦点を当てている。女性が迫られる厳しい選択や、経済的に独立して足抜けしたいと思いながらも、潜在的に搾取される構造のポルノ産業で働く女性の現実が描かれている。
現在同タイトルで配信されているドキュメンタリー・シリーズは、本作にヒントを得て製作されたものだ。
『アイボリー・ゲーム』(2016年)
『アイボリー・ゲーム』予告編。
Netflix
絶滅の危機にさらされているアフリカゾウ。このドキュメンタリーの製作チームは象牙の密輸問題を徹底調査。背後にいる人物たちと、密輸の撲滅に取り組む活動家たちの双方に取材して、中国経済が象牙貿易にいかに深く関与しているかを明らかにし、問題にどう向き合うべきか問い続ける。
『アイ・アム・ボルト』(2016年)
『アイ・アム・ボルト』予告編。
FilmIsNow Movie Trailers International
オリンピックの金メダリストを駆り立てるものとは何か?このドキュメンタリーを観れば、人類最速の超人、ウサイン・ボルトの真の姿が見えてくる(※日本では未配信)。
ボルト自身がナレーションを担当した本作品は、厳しいトレーニングをしたり、チームメイトと談笑したり、一人のときには私たちと同じ普通の人間だったり……さまざまな彼の姿をとらえている。
『目標株価ゼロ』(2017年)
『目標株価ゼロ』予告編。
Movieclips Indie
テッド・ブラウン監督・脚本。製品の再販で多額の収入を得られるという虚偽の説明で会員を勧誘して訴えられた、栄養食品販売ハーバライフの内情を暴き出した作品。取り引きの詳細や、健康産業に足を踏み入れる際に絶対にしてはいけないことを学べるドキュメンタリー。
『マッドマン:スティーブ・マデン・ストーリー』(2017年)
『マッドマン:スティーブ・マデン・ストーリー』予告編。
STEVE MADDEN Official YouTube Channel
世界を代表するシューズデザイナーのスティーブ・マデンは、若いころから10億ドルの帝国を築くには勇気がいることを知っていた。マデンが大きな経済的成功をつかむまでの軌跡を追ったのが本作。2000年代に投資詐欺スキャンダルで刑務所行きとなった彼が、失脚を乗り越えて復活するまでの道のりを丁寧に追う。
『幸福の探求』(2019年)
『幸福の探求』予告編。
The Pursuit Movie
著名な経済学者で、米紙ワシントン・ポストの寄稿家でもあるアーサー・ブルックスが、世界中を巡って自由市場経済のさまざまな姿を見せてくれるドキュメンタリー。
自由市場経済のもとでは、政府の介入に頼ることなく、すべて消費者によって調整が行われる。そうした経済のあり方が、アントレプレナーシップや経済的、精神的豊かさを増大させることを教えてくれる(日本未配信)。
『天才の頭の中<ビル・ゲイツを解読する>』(2019年)
『天才の頭の中<ビル・ゲイツを解読する>』
Netflix
『不都合な真実』(2006年)でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したデイビス・グッゲンハイム監督の新作ドキュメンタリー。
米マイクロソフト創業者で、世界の億万長者のひとりでもあるビル・ゲイツに密着取材し、その思考回路の本質に迫る。彼が人生の初期に内外から受けた影響、設定した目標も明らかにしている。
『日の当たる産業』(2015年)
『日の当たる産業』予告編。
7th Empire Media
クリーンエネルギー市場へと次々参入する起業家たち。本作に登場する失業者、活動家、起業家たちはみな、競合に対する優位性を探そうと躍起だ。太陽光発電産業の成り立ちを垣間見ることのできる作品。
『プリント・ザ・レジェンド』(2014年)
『プリント・ザ・レジェンド』予告編。
Netflix
ルイス・ロペス/J・クレイ・トゥイール監督。3Dプリンターでひと山当てようという起業家たちを取材したドキュメンタリー。時代の寵児となった業界の先駆者たちのディープスロート的ノウハウに触れたり、(銃器を3Dプリンターで製造するなど)物議を醸す分野でビジネスをくり広げる起業家たちの実情に迫ったり、学べることの多い作品だ。
[原文:11 Netflix documentaries you can stream this weekend that will make you smarter about business]
※この記事は2020年2月7日初出です。
(翻訳:Miwako Ozawa、編集:川村力)