3分で分かる男性育休。実は“世界一”収入カバーされる日本

KOIZUMI

撮影:横山耕太郎

小泉進次郎環境相が滝川クリステルさんとの第一子誕生で育児休業を取得する意向を示したことで、これまでになく男性育休への関心が高まっています。日本の男性の育児休業取得率は、女性の8割超に対して6.16%(2018年)と低いことで“有名”ですが、実は世界でも非常に恵まれた制度として、評価されていることをご存知ですか。

こんなに恵まれた制度であることを知ってから育休を取らない=「権利放棄」することを決めても遅くはないはず。意外と知らない育休制度も、これさえ読めば分かる7つのポイントをお伝えします。

1. 産休と育休は別モノです

新生児

撮影:今村拓馬

初歩的ながら混同されやすいのですが、産休と育休は全く別の制度。

  • 育休…原則子どもが1歳(最長2歳)まで、育児のために仕事を休めます。

男女ともに対象です。

産休は、

  • 産前休業…「出産予定日」前の6週間
  • 産後休業…出産の翌日から8週間(本人希望と医師が認めれば産後6週間)

出産した女性が対象です。

ただし産休・育休は「雇用されている」ことが条件なので、フリーランスや自らが経営者の人は、産休も育休も対象外なのが実情です。国会議員にも認められておらず、小泉環境相も自主的に「育休」を取るのであって、法定制度は「対象外」です

2. 休業中は給付金がもらえて、実質収入の8割カバー

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気になるのが、休業期間中の収入法律で定める育休制度では、休業開始時の賃金の67%(開始から7カ月以降は50%)が、ハローワークから支給されます(手続きは人事担当者がやる企業が多いです)。

けっこう手取りが減るな……と思うかもしれませんが、これに加えて大きいのが、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料が免除されること。社会保険料の負担はおおよそ収入の10数%とされていて、合わせれば実際は収入の8割程度が育休中も保障されることに。

ただし、支給額には上限があり、最初の6カ月では約28万円、7カ月以降では約21万円まで。さらに育休に入ってすぐではなく、2カ月後の支給になることも要注意です。そのあとは2カ月ごとにまとめて指定の口座に振り込まれます。

3. 保育園に入れない?実は2歳まで延長できる!

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撮影:今村拓馬

育休は原則、子どもの1歳の誕生日までですが、都市部では年度途中で保育園に入れないことがほとんど。その場合「保育園に申し込んだが入れなかった」ことを示す書類を提出するなどで2歳までの延長が可能です(2017年の改正育児休業法)。育児休業給付金の延長も、認められるようになりました。

欧州は収入保障が充実している国が目立ちますが、公的な育休制度のないアメリカは育休中は無給の人も多く、2歳まで収入の保障のある日本の育休は、諸外国と比べても手厚いのです。

4. 男性の育休だけに認められている「あること」

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出典:厚生労働省

父母ともに育休を取得することでメリットある制度になっています。育休は夫婦共に取得すれば、原則1歳の育休が、1歳2カ月まで取得可能になります。給付率も1年間ずっと「67%」となります。また、産後8週間内に父親が育休をとった場合は、申し出ればもう一度育休が取れる、パパ休暇制度もあるのです。

5. 正社員ではなくてもオッケー

育休は正社員だけの制度ではありません。契約社員や派遣社員、パートタイムで働く人でも「雇用」されていれば、取得する権利があるのです

ただし、条件として

  1. 1年以上今の職場で働いている
  2. 1歳以降も継続して雇用される見込み
  3. 週3回以上の勤務

などが必要のため、非正規の人に育休が浸透しているとは言い難いのも現実です。

6. 実はユニセフで父親の育休制度ナンバー1評価、お隣のあの国も

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収入保障ありで取得できる育児休業期間の長さの比較ランキング。

出典:ユニセフ調査

国連児童基金(ユニセフ)の調査(2019)ではOECD加盟国など41カ国のうち、給付金が出る育児休業の長さでは、日本の制度は男性では1位の評価を得ています。

有給でこれだけの長さ(給付率も加味)を取得できる育休制度は世界でも突出していると、ユニセフのお墨付きなのです。ただし「実際に取得する父親は非常に少ない」と、ねじれた実態も合わせて指摘されています

ちなみに男性の育休評価で2位にランクインしたのは韓国。日本、韓国とどちらも深刻な少子化国で、制度とはうらはらに、男性の育児参加が低いことで知られているのも、皮肉な話です。

7.それでも男性の取得率は6.16%の国

日本男性の育休取得率は、2018年度で前年度比1.02ポイント上昇の6.16%(政府目標は2020年までに13%。北欧諸国の70〜80%と比べるまでもなく、一部の人の取得にとどまっています。 実際は有給休暇などを妻の出産に合わせて取得し、法定の育休制度を取る権利を放棄している人が大半なのが実態なのです。

男性の家事育児参加時間が長いほど、第二子のいる確率が高いことがデータに現れています。世界一の少子高齢社会になるのも無理がないのかも。

制度は宝の持ち腐れ?

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撮影:今村拓馬

育休を取得したい男性は多いながらも、取得できないのは「育休を男性が取るなんて」という風土やカルチャーが背景にあると、指摘されてきました。小泉環境相の育休宣言は、世代を超えた社会の意識の変化を呼び込むことが期待されています。

「どうせ育休なんて取れない」「取るつもりもない」と思ってきた人も、現行制度を知ってから「利用するか」「放棄するか」を考えてみてはどうでしょうか。

(文・滝川麻衣子)

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