「USニューズ&ワールドレポート」誌が発表した「世界最高の国」ランキングは4年連続でスイスが首位になった。
Flickr/Guillaume Baviere
- 「USニューズ&ワールドレポート」誌は、5年目となる「世界最高の国」ランキングを発表した。世界規模で集めた意見にもとに、73カ国に順位をつけたものだ。
- 同誌は、BAVグループ、ペンシルバニア大学ウォートン校と共同で、9つのサブランキングに分かれた65の指標をもとに各国を評価した。36カ国の2万人を超える人が調査対象になった。
- ランキングの決定にあたり、もっとも重視されたサブランキングは「起業のしやすさ」と「生活の質」だ。
- 上位17カ国中、10カ国がヨーロッパの国だ。スイスは4年連続で首位を守り、イギリスは初めてトップ5から転落した。北欧4カ国がいずれも上位に入った。
- 日本に代わってカナダが2位に入った。ヘンリー王子とメーガン妃にとっては朗報だ!
「USニューズ&ワールドレポート」誌は、5年前から「世界最高の国」ランキングを発表している。2020年版のランキングでは、世界規模で集めた見解にもとづいて、73カ国に順位をつけている。USニューズは、BAVグループおよびペンシルバニア大学ウォートン校と共同で、世界36カ国の2万人を超える人を調査。65の指標をもとに各国を評価した。2020年版ランキングの対象となるためには、2017年の国連人間開発指数(HDI)の上位150カ国に入っている必要がある。また、2017年の世界銀行のデータで、GDP、外国直接投資の流入金、国際観光収入という点でそれぞれ上位100カ国に入っていなければならない。この4つの基準を満たさない国や、当該データを報告していない国は除外される。USニューズは、「世界人口をおおむね代表している」調査参加者に調査票を送った。今回の調査参加者の出身地は、南北アメリカ、アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカの36カ国だった。国の評価に用いた65の項目は、9つのサブランキングに分かれている。具体的には、「冒険的要素(adventure)」「市民の権利(citizenship)」「文化的影響力(cultural influence)」「起業のしやすさ(entrepreneurship)」「文化的遺産(heritage)」「原動力(movers)」「ビジネスの開放度(open for business)」「総合的影響力(power)」「生活の質(quality of life)」だ。
そして、サブランキングごとに、最終ランキングに影響する比重が異なる。最も比重が大きいのは「起業のしやすさ」と「生活の質」で、それぞれ17.87%と16.77%だ。
それでは、トップ17に入った国を下位から順に見ていこう。
17位 イタリア
Shutterstock
注目点:文化的影響力の大きさ、歴史に包まれた国、巨大な観光産業、北イタリアの顕著な経済成長
サブランキングの最高位:文化的遺産(73カ国中1位)
2019年の総合順位:80カ国中18位
16位 シンガポール
Getty Images / Gavin Hellier
注目点:治安が良くて安全なことで有名、世界屈指の豊かな国、世界有数の賑やかな港、失業率の低さ、電子分野と製薬分野の好況
サブランキングの最高位:起業のしやすさ(73カ国中5位)
2019年の総合順位:80カ国中15位
15位 中国
Getty Images/ispyfriend
注目点:世界最多の人口、世界2位の経済と屈指の急成長、経済成長により貧困層人口が減少
サブランキングの最高位:総合的影響力(73カ国中3位)と原動力(73カ国中3位)
2019年の総合順位:80カ国中16位
14位 フィンランド
Karavanov_Lev / Shutterstock
注目点:教育の国際的リーダー、全体的な生活の質・市民の権利・報道の自由で高ランク、普通選挙を法制化した最初の国、国際貿易がGDPの3分の1を占める
サブランキングの最高位:市民の権利(73カ国中6位)
2019年の総合順位:80カ国中14位
13位 デンマーク
REUTERS/Bob Strong
注目点:安定感があって透明性が高く進歩的と受けとめられている政府、国民皆保険制度、無料の高等教育、社会的流動性の高さ
サブランキングの最高位:生活の質(73カ国中2位)
2019年の総合順位:80カ国中13位
12位 フランス
Getty Images/Alexander Spatari
注目点:幅広い文化的影響力、豊かで収入の高い国、世界屈指の経済力、大規模な観光セクター
サブランキングの最高位:文化的影響力(73カ国中2位)
2019年の総合順位:80カ国中10位
11位 ニュージーランド
Michal Durinik/Shutterstock
注目点:非核地帯である、エベレスト初登頂者など多くの有名人の出身国、教育への大規模な投資、野外探検にうってつけの無人の原野
サブランキングの最高位:冒険的要素(73カ国中7位)
2019年の総合順位:80カ国中12位
10位 ノルウェー
Marius Dobilas / Shutterstock
注目点:国の豊かさ、世界有数の石油輸出国、高等教育がおおむね無料、豊かな文学の伝統
サブランキングの最高位:市民の権利(73カ国中3位)
2019年の総合順位:80カ国中9位
9位 オランダ
Nisangha/Getty Images
注目点:寛容さで知られる社会、同性婚を合法化した最初の国、世界最高の博物館密集地、活動的な生活を促進する2万マイル(約3万2000km)にのぼる自転車用道路、農産物輸出の世界的リーダー
サブランキングの最高位:市民の権利(73カ国中4位)
2019年の総合順位:80カ国中11位
8位 スウェーデン
canadastock/Shutterstock
注目点:持続可能性へのコミット、人権、公共サービスに注力、公平な富の分配、無料の医療と大学教育
サブランキングの最高位:市民の権利(73カ国中1位)
2019年の総合順位:80カ国中6位
7位 アメリカ合衆国
turtix/Shutterstock
注目点:経済的・政治的に世界で最も力のある国、広範な文化的影響力、トップレベルの大学が集まっている
サブランキングの最高位:総合的影響力(73カ国中1位)
2019年の総合順位:80カ国中8位
6位 イギリス
Songquan Deng/Shutterstock
注目点:大規模な銀行と観光産業、首都ロンドンは国際金融センター、芸術と科学への大きな貢献
サブランキングの最高位:起業のしやすさ(73カ国中4位)
2019年の総合順位:80カ国中5位
5位 オーストラリア
Getty Images/zetter
注目点:平均余命の長さ、複数の主要都市が住みやすさで高得点を獲得、豊かな国である、同性婚と環境に関する進歩的な法律
サブランキングの最高位:生活の質(73カ国中5位)
2019年の総合順位:80カ国中7位
4位 ドイツ
canadastock/Shutterstock
注目点:質量ともに高い労働力、世界有数の経済力、通信・医療・観光分野の繁栄、輸出と輸入の両方でリーダー的存在、多くの文化的著名人の出身国
サブランキングの最高位:起業のしやすさ(73カ国中1位)
2019年の総合順位:80カ国中4位
3位 日本
abydos/Shutterstock
注目点:識字率の高さと進んだ技術、世界3位の経済、自動車および電子機器の世界屈指の製造国
サブランキングの最高位:起業のしやすさ(73カ国中2位)
2019年の総合順位:80カ国中2位
2位 カナダ
Arlene Treiber Waller/Shutterstock
注目点:多文化主義政策、生活水準の高さ、ハイテク産業が盛んな国、世界5位の産油国
サブランキングの最高位:生活の質(73カ国中1位)
2019年の総合順位:80カ国中3位
1位 スイス
Flickr/Guillaume Baviere
注目点:世界屈指の豊かな国、法人税率の低い強力な経済国家、政治的中立性、多様な文化構成、ノーベル賞受賞者と特許登録数の多さ
サブランキングの最高位:ビジネスの開放度(73カ国中2位)
2019年の総合順位:80カ国中1位
(翻訳:梅田智世/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)