1月19日、内戦が続くリビアの和平に向けた国際会議が開かれた。世界で最も「強い」国々の首脳も多数集結。
Kay Nietfeld/Pool via Reuters
米誌「USニューズ&ワールドレポート」が、世界で最も「強い」国のランキングを発表した。
アメリカやロシア、中国など上位は不動だったもの、ランキング10位以下の順位は、世界の不安定化や政治的変化を背景に入れ替わった。
「世界で最も強い国ランキング」は、USニューズ&ワールドレポートが毎年発表している「ベストカントリー(最高の国)」ランキングの一部。世界の約2万1000人を対象に行ったアンケート調査の結果から、政治力、経済力、軍事力、国家としての影響力を総合して決定される。
同誌の評価コメントと合わせて見てみよう。
第25位 エジプト
首都カイロの街並み。
Prin Adulyatham/Shutterstock.com
USニューズ&ワールドレポートは同国を「世界で最も早く成立した、偉大な文明」と評する。2019年の29位から4ランクアップ。
第24位 ブラジル
ブラジルの首都ブラジリアにて。支持者が指差すポスターの人物が、ジャイル・ボルソナロ大統領。
REUTERS/Ueslei Marcelino
2019年の30位から一気に6ランクアップ。国土が広く、旅行者にとっても魅力的な国だが、いろいろ物議を醸(かも)しているジャイル・ボルソナロ大統領のもと、貧困や不平等、ガバナンスの欠如や環境の悪化など、混迷を深めている感もある。
第23位 ノルウェー
首都オスロの夕景。ノルウェーは中世に海洋交易で存在感を発揮した。
William Perugini/Shutterstock.com
2019年の27位から5ランクアップ。
第22位 シンガポール
観光客に人気の巨大植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」。
Kanuman/Shutterstock.com
2019年の20位から2ランクダウン。東南アジアの活気にあふれる主要都市。少ない雇用者数から高い国内総生産(GDP)を生み出すことで、シンガポールは世界で最も裕福な国の1つたり得ている。
第21位 オランダ
首都アムステルダムの街並み。
Harry Beugelink / Shutterstock.com
2019年の26位から5ランクアップ。
第20位 スウェーデン
首都ストックホルムの街並み。
Mistervlad / Shutterstock.com
2019年の21位から1ランクアップ。実はEU内では広い国土面積をもつ国の1つ。
第19位 スペイン
バルセロナの風景。右手にサグラダ・ファミリアが見える。
DaLiu / Shutterstock.com
2019年の23位から4ランクアップ。USニューズ&ワールドレポートは、植民地時代以降の世界(のスペイン語圏)への影響力の大きさを特記している。
第18位 カタール
首都ドーハのペルシャ湾沿岸にある人工島「ザ・パール・カタール」を空撮。
Leonid Andronov / Shutterstock.com
2019年は24位、6ランクアップ。国土の狭さに対して大きな資産を抱える国。石油と天然ガスのおかげで、世界で最も裕福な国の1つだ。
第17位 イタリア
首都ローマの夕暮れ。
Luciano Mortula-LGM / Shutterstock.com
2019年は18位、1ランクアップ。年間約4000万人の観光客が訪れる国。
第16位 トルコ
トルコのエルドアン大統領。2003年から首相を3期、続いて2014年から大統領に就任して現職。「独裁者」と評する声もある。
REUTERS/Bernadett Szabo
2019年は16位、順位に変動なし。USニューズ&ワールドレポートは、「アジアとヨーロッパをつなぐ、他にはない文化の交わりがある国」と評する。ただし、「軍部を味方につけた世俗主義政権と、拡大を続ける宗教的勢力との間で権力闘争が10年以上続いており、政治的安定性に不安がある」。
第15位 オーストラリア
世界第15位の強国だが、足もとの森林火災の影響が不安視される。
REUTERS/Tracey Nearmy
2019年からの順位に変動なし。1つの大陸(オセアニア)を1国家が専有するのは、世界でも稀なケース。森林火災の深刻化・長期化による緊急事態が続く。
第14位 インド
世界の人口の約6分の1が集中する。
REUTERS/Anindito Mukherjee
2019年は17位、3ランクアップ。人口14億人は中国に続く第2位で、世界の人口のおよそ6分の1を抱える。
第13位 スイス
ジュネーヴの街並み。
Samuel Borges Photography / Shutterstock.com
2019年の14位から1ランクアップ。1815年のウィーン議定書採択から200年以上、永世中立国であり続けているスイスは、世界で最も裕福な国の1つでもある。
第12位 カナダ
英サセックス公爵ヘンリー王子とメーガン妃も、カナダに拠点を半分移すという。
REUTERS/Toby Melville
2019年から順位に変動なし。国土面積の広さでは世界2位。移民受け入れに寛容なことでも知られる。
第11位 アラブ首長国連邦(UAE)
ドバイの高層ビル群。
hutterlk / Shutterstock.com
2019年から順位に変動なし。根本的には「保守」、しかし信教の自由を認める憲法を掲げ、アラブ諸国では最も「リベラル」な国の1つ。
第10位 サウジアラビア
安倍首相と2020年の年明け早々に会談したサウジアラビアのムハンマド皇太子。
Bandar Algaloud/Courtesy of Saudi Royal Court/Handout via REUTERS
2019年は9位、1ランクダウン。国土面積の広さ、イスラム教の中心としての重要性から、USニューズ&ワールドレポートは「中東の巨人」と呼んでいる。
第9位 韓国
首都ソウルの夕景。
TRAVAL TAKE PHOTOS / Shutterstock.com
2019年の10位から1ランクアップ。北朝鮮との関係が気がかり。
第8位 イスラエル
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のそれぞれにとっての聖地、エルサレム。
JekLi / Shutterstock.com
2019年から順位に変動なし。国土は狭いものの、国際問題に重要な地位を占めるという意味で、影響力が大きい。経済力も強い。
第7位 日本
2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される。
Sakarin Sawasdinaka / Shutterstock.com
2019年から順位に変動なし。USニューズ&ワールドレポートは、「世界で最も洗練され、技術発展の進んだ国の1つ」の評する。
第6位 フランス
マリでの過激派掃討作戦中に死亡した兵士たちの国葬。中央にマクロン大統領。
Thibault Camus/Pool via REUTERS
2019年から順位に変動なし。過去から現在に至るまで、フランスが世界に与えた影響の大きさははかり知れない。王政、帝政をへて共和制に移行し、世界で最も早く個人の権利を擁護した国の1つだ。
第5位 イギリス
ジョンソン首相と愛犬ディリン。EU離脱の先行き次第でイギリスの世界に対する影響力は大きく変わってくるとみられる。
REUTERS/Henry Nicholls
2019年から順位に変動なし。きわめて発展を遂げた国で、経済、政治、科学、文化……あらゆる分野で世界の国々に影響力を発揮してきた。EUからの離脱を決めた国民投票は、イギリスが世界でこれまでのような役割を果たせるか、不安を生じさせるものだ。
第4位 ドイツ
1989年11月9日、国境ゲートが開放され、ベルリンの壁は崩壊した。翌年10月3日、東西ドイツは統一。以後、経済成長とともにドイツの世界における影響力は徐々に大きくなっていった。
REUTERS
順位に変動なし。世界で最も強い経済をもつ国の1つで、東西ドイツの統一以降、国際社会の連帯を深める上での役割は着実に大きくなってきている。
第3位 中国
中国では2019年10月1日、建国70周年を祝う「国慶節」記念式典が行われた。
REUTERS/Thomas Peter
順位に変動なし。世界で最も古い文明を育み、現在では世界で最も人口が多い国であり、国土面積では世界で3番目に広い国。
第2位 ロシア
ドイツのメルケル首相と談笑するロシアのプーチン大統領。1999年の首相就任以来、強固な権力を維持している。
REUTERS/Axel Schmidt
順位に変動なし。北アジアから東欧まで広がる国土面積は世界1位で、続く2位カナダの2倍近い。12カ国以上と国境を接し、領海は日本とアメリカに接する。
第1位 アメリカ
世界最強の座を2020年も守ったアメリカ。11月には大統領選挙が行われる。
REUTERS
世界最強の国の座を2020年も守った。世界で最も強大な経済力と軍事力を誇る。映画やテレビ番組、音楽など文化面でも世界に大きな影響を与えている。
ただし、トランプ大統領の移民や貿易に関する閉鎖的なスタンスは、同盟国を含めた世界の国々から疑問視されている。
[原文:The most powerful countries on earth in 2020, ranked]
(翻訳・編集:川村力)