ダボス会議開幕…気候変動がテーマだが、主な交通手段はプライベートジェット

2016年のダボス会議への参加者を乗せた飛行機。2016年1月、チューリッヒの空港で。

2016年のダボス会議への参加者を乗せた飛行機。2016年1月、チューリッヒの空港で。

REUTERS/Arnd Wiegmann

  • 世界経済フォーラム(WEF)は、「持続可能な世界」を今年の年次総会(ダボス会議)の主要なテーマに設定した。
  • しかし、このイベントにやってくる経済界、政界の有名人たちは、大部分がプライベートジェットを使っていて、環境に大きな負荷を与えている。
  • WEFは、温暖化ガス排出量削減プロジェクトに資金を提供することにより、フライトから排出される炭素を相殺すると述べているが、大気中への炭素の排出を止めることにはならない。
  • 昨年、世界の指導者たちの多くが環境を犠牲にすることで利益を得ていると述べたスウェーデンの10代の気候活動家グレタ・トゥンベリさんが、再びここで演説する。
  • WEFは、電気自動車の導入、食品廃棄物の監視、再生可能エネルギーの使用など、他の手段を講じていると述べている。

世界経済フォーラムは、ダボス会議の開幕前日に「気候危機が主要テーマの一つになるだろう」と発表した。

そのウェブサイトには、スウェーデンのティーンエイジャーの活動家グレタ・トゥンベリさんが目立つように掲載されている。彼女は2019年のこの会議で世界の指導者たちを批判し、行動するように訴えたが、今年も登場する予定だ。

「地球を守る」は、7つの主要テーマの一つだ。そして、今年のイベントの全体的なテーマは「持続可能な世界のために結束するステークホルダー」。

しかし、問題は、世界の金融エリート、政治指導者、著名人たちがこの小さな町に降り立った時、彼らの移動手段の選択が、イベントと彼らが地球のために達成したいことに効果があるのものかどうかだ。

2016年のダボス会議への参加者を乗せた飛行機。2016年1月、チューリッヒの空港で。

2016年のダボス会議への参加者を乗せた飛行機。2016年1月、チューリッヒの空港で。

Marina Lystseva\TASS via Getty Images

世界経済フォーラムは、2019年のダボス会議では関連するフライトが600回以上あったが、この数字は「大統領や首相などの公人を考慮に入れて」はいない。「軍用機を使って軍事基地に着陸すると、フライトを把握することはできない」と関係者は述べた。

航空機は2050年までに世界の炭素排出量の22%を占めると予想されているが、世界の政治指導者、ビジネスリーダー、著名人たちは、彼女が昨年そうしたように、トゥンベリさんをまねて列車に乗ることはまずないだろう。

グレタ・トゥンベリさんは2019年1月、ダボスまで鉄道を使って移動した。

グレタ・トゥンベリさんは2019年1月、ダボスまで鉄道を使って移動した。

REUTERS/Arnd Wiegmann

変化を起こす意志がないことは、昨年のイベントでトゥンベリさんが非難した。彼女は、世界で最も力のある人々に、危機を解決する手助けをする力について指摘して、昼食会で驚かせた。

「気候危機は私たちが作り出したものだと言う人もいますが、しかし、それは真実ではありません、誰もが罪を犯しているなら、誰も責任を負わないからです。そして、誰かに責任があります」と彼女は言った

「一部の人々、一部の企業、特に一部の意思決定者は、想像を絶するほどの金額を稼ぎ続けるために、自分たちが犠牲にしてきた貴重なものの価値を正確に知っている。今日ここにいる皆さんの多くはそのグループに属していると思います」

世界経済フォーラムは、フライトから出るカーボンを相殺し、他の環境対策を講じると言う

WEFは「二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいる」と言っている

そのために「電車で来る参加者にインセンティブを与え」、「炭素クレジットを購入することで飛行を相殺する」ことを行い、排出削減プロジェクトに資金を提供するという。

CNNの報道によると、VIPを迎える車は現在、88%が電気自動車かハイブリッド車で、このイベントでは食品廃棄物の監視を行い、使い捨てプラスチックを排除し、自然エネルギーを利用するためにメインの会議センターを改装したという。

WEFによると「料理の材料は地元の食品供給業者から調達し、肉の消費量を減らすために代替タンパク源を導入する。電力は再生可能なものを使い、電気自動車の導入する。また、カーペットなどでリサイクルや再利用が容易でない材料の使用を削減または廃止する」という。

世界経済フォーラムの年次総会が開かれるスイスのダボス。

世界経済フォーラムの年次総会が開かれるスイスのダボス。

Associated Press

ダボス会議主催者は、2019年に1500機のジェット機が会議に集まったという報道に異議を唱え、この数字は一部のジェット機を複数回記録したものであり、2018年から2019年の間にジェット機の数は20%減少したとしている。

しかし、クリーン輸送を専門とする非営利団体、トランスポート&エンバイロメント(Transport&Environment)の専門家、ルーシー・ギリアム(Lucy Gilliam)氏は、このカーボン・オフセットの考え方を批判した

「飛行機が作り出した排出物を取り除いているわけではない。飛行機はその燃料を燃やし、炭素は大気中に放出された」

1月17日、スイスのローザンヌ。気候変動へ抗議する1万人以上が集まった。

1月17日、スイスのローザンヌ。気候変動へ抗議する1万人以上が集まった。

Dominika Zarzycka/NurPhoto via Getty Images

トゥンベリさんは、ダボスに向かう前に、1万人の抗議者とともにスイス・ローザンヌでデモ行進し、「あなた方はまだ何も見ていない」と警告した。

今年の会議は、オーストラリアでの壊滅的な火災、アメリカのトランプ大統領のパリ協定離脱発表など、我々のこの惑星の未来がますます切迫している中で行われていて、世界のリーダーを説得するためのトゥンベリさんの最新のアピールの場となる。

「私たちは新たな年を迎え、新たな10年を迎えましたが、これまでの10年の間に、気候変動に対する真の行動やそれを変わる兆候は見られません」とトゥンベリさんは1月17日に述べた。

2018年1月のダボス会議で、イスラエルのネタニヤフ首相と握手するアメリカのトランプ大統領。

2018年1月のダボス会議で、イスラエルのネタニヤフ首相と握手するアメリカのトランプ大統領。

Thomson Reuters

「世界の指導者や権力者たちに言いたいのは、あなた方はまだ何も見ていないということです。あなたは私たちの最後を見ていない。これがダボスで開催される世界経済フォーラムへのメッセージです」

[原文:Davos says it is focusing on the climate crisis, but its billionaires and world leaders are still arriving on private jets

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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