武漢の新型肺炎重症患者が「ただの風邪ではない」と気づいた症状を証言

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王さんが入院中に撮影した病院内部の写真。

動画サイト梨視頻より

中国など300人以上の患者が出ている新型コロナウイルスによる肺炎に関し、中国国家医療保障局は1月21日夜、検査や治療にかかる費用を国が負担する方針を表明した。費用の問題で国民が病院に行くのをためらうのを防ぎ、また、患者を受け入れる病院の負担も軽減する狙い。交通当局も武漢への旅行を予定している人の航空チケットや列車のチケット、宿代などのキャンセル料を免除すると決定。春節を前に、感染拡大防止策を本格化させている。

また、新型肺炎の重症患者だった王康さん(23歳)が退院後、人民日報や中国青年報などの取材に応じ、症状の詳細が明らかになった。報道によると、王さんは重症患者の中で最初に退院できたという。

12月24日に異変、1月2日に肺炎と確定

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王さんが入院中に撮影した病院内部の写真。

動画サイト梨視頻より

王さんは、新型肺炎の感染源と推定される武漢市の華南海鮮市場から数百メートル離れた駅で働いている。海鮮市場には行ったことはない。

王さんが体調に異変を感じたのは2019年12月24日。仕事が終わり、めまいや頭痛、節々の痛みを感じたため、どこにも寄らずにまっすぐ帰宅した。

翌25日、体調がさらに悪化したため仕事を休んで病院に行った。王さんは22日に果物市場に行った際に雨に降られて体が冷えたことから、風邪をひいたと考えたという。病院では2種類の抗生物質を投与され、点滴を受けた。27日まで毎日通院し、点滴を受けた。病状が落ち着いたら仕事に戻るつもりだったが、移動のバスの中で意識がもうろうとし、39度の高熱に襲われた。

体がだるく、息をするのも苦しくなり、王さんは、「ただの風邪じゃない。毎日点滴を打っているのに、よくなるどころか悪化している」と、病院で血液検査を受けた。血液検査では異常が出なかったが、続いて行った肝機能検査で異常が発見され、数日家で休んでから2020年1月1日に別の大病院に行った。

その病院ではすぐに「肺炎の疑いが濃厚」と言われ、2日に診断が確定した。医師は王さんの生命に危険があると判断し、家族に連絡をしたり、うとうとと眠るのを妨げたりした。間もなく、住まいや職場、通勤ルートを聞かれるなど原因の調査が始まった。

2日、専門家による会議によって、王さんは別の専門医療機関に移ることとなった。王さんの母親は、肺炎と聞いて「受け入れてくれる病院がなかったらどうしよう」と非常に狼狽したという。王さんはその日の夜、専門医療機関に転院し、集中治療室(ICU)に入った。

発熱、呼吸不全、吐き気……

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王さんが新型肺炎で入院した武漢専門病院では、緊迫した状況が続いている。

REUTERS/Stringer

王さんは「周囲の患者はみな同じような状態だった。呼吸不全で酸素ボンベをつけていた」と話した。

王さんは自力で水を飲むこともできず、見舞いに来た姉が、医者の制止を振り切って、王さんの病室に入り世話をした。

王さんの姉はマスクをつけて十数日、王さんの介護を続けたという。

治療の甲斐あって王さんは3日ごろ熱がひき、10日には自分のことを自分でできるまで快復した。その後、4人部屋に移された。4人の中では最も若かった王さんが最初に快復した。

姉は肺炎の検査を受けた後、家に帰り、以降は病院への出入りを許されなかった。王さんの両親は年齢が高いため、専門医療機関への出入りを止められた。

13日には退院に向けた検査が始まり、15日の退院が決まった。

退院時、王さんの体重は10キロ減っていたという。運動はできるが、胃が弱っていて何か食べると吐き気がする。

王さんは「闘病中、看護師がずっと励ましてくれ、主治医も病院に泊まり込んでいた。病院スタッフは朝8時から夜11時まで、ずっと治療や看病に追われていた」と話し、病院関係者にも感染者が出ていることに心を痛めたという。

王さんは医者から「なるだけ外に出ずに、人込みを避けること」と言われており、「みんなもそうしてほしい。外出するときはマスク着用を」と呼び掛けている。

(浦上早苗)

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