最古のクレーターは22億年前のものだった…大量の水蒸気を発生させて氷河期を終わらせた

小惑星が地球に衝突する様子の想像図。

小惑星が地球に衝突する様子の想像図。

Shutterstock

  • オーストラリア西部にある幅70kmのクレーターは、22億年前に隕石が衝突して形成された。
  • 新たな論文によると、このクレーターはこれまで発見された中で最古のものだという。
  • 地球に隕石が衝突した際、1000億トン以上の水蒸気が大気中に放出されたと研究チームは考えている。
  • 水蒸気の放出により、地球が温められ、氷河期は終わりを迎えた。

地球に衝突した隕石は、現在分かっているだけでも7万個に上る。だがその痕跡が衝突クレーターとして確認されているのはわずか190個だけだ。

英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された新たな論文によると、これまで見つかったクレーターで最古のものはオーストラリア西部、パースの北東500マイル(約800km)の位置にある。約22億年前に巨大な隕石が衝突し、幅43マイル(約70km)に及ぶクレーターが形成された。

その後、浸食や構造プレートの動きにより地形が変化し、現在ではクレーターはその形を留めておらず、ヤラババと呼ばれる赤く、埃っぽい大地が広がっている。

「ヤラババでは、鉱物の露頭はほぼ見られない」とNASAの研究者で論文の筆頭著者であるティモンズ・エリクソン(Timmons Erickson)はBusiness Insiderに語った。

だが、壊滅的な隕石衝突により生じた鉱物は、今も残っている。ヤラババの中央には、隕石衝突時の激しい熱と圧力の下で形成された鉱物だけでできた小さな丘があり、バーランギ・ロックと呼ばれている。

オーストラリア西部、ヤラババのバーランギ・ロック。ここにかつてクレーターがあった。

オーストラリア西部、ヤラババのバーランギ・ロック。ここにかつてクレーターがあった。

Graeme Churchard

エリクソンと論文の共同執筆者らは、これらの鉱物を調査し、ヤラババ・クレーターが形成された年代をかなりの精度で特定することができた。調査の結果、これまで発見されたどのクレーターよりも2億年以上古いことが分った。

これまで見つかったクレーターで最古

ヤラババは、オーストラリア西部の僻地にあり、最寄りの街であるミーカサラとは砂利道でつながっているが40マイル(約64km)離れている。2014年、エリクソンはヤラババから200ポンド(約90kg)の鉱物サンプルを採取した。

これらの鉱物が形成された年代を特定するために、サンプルを水に浸し、12万ボルトの電気エネルギーをかける。するとジルコン(ケイ酸塩鉱物)とモナザイト(リン酸塩鉱物)の微細な結晶に分裂する。これらの結晶はウランなどの放射性物質を含有するので、それによって年代測定が可能となる。

測定の結果、ヤラババの鉱物は22億2900万年プラスマイナス500万年前に形成されたことが分かった。

ヤラババ・クレーターの年代測定のために、ジルコンの結晶が用いられた。

ヤラババ・クレーターの年代測定のために、ジルコンの結晶が用いられた。

NASA/Nicholas E. Timms

ヤラババの次に古いのは、20億2000万年前に形成された南アフリカのフレデフォールト・クレーター。その次が18億5000万年前に形成されたカナダのオンタリオ州にあるサドベリー隕石孔だ。

氷河期の終わり

興味深いのは、ヤラババ・クレーターが最も古いということだけではないとエリクソンは言う。隕石が衝突したのは「より現在に近い環境へと移り変わった、地球の歴史上極めて重要な時期」でもある。

22億年前、地球は氷床などで覆われた「全地球凍結」と呼ばれる氷河期の終わりにあった。論文では、ちょうどその頃に、ヤラババの隕石が巨大な氷床に衝突したのだろうと指摘している。

「全地球凍結」の想像図。

「全地球凍結」の想像図。

Gene Kim

エリクソンのチームは、巨大な隕石が氷床に衝突すると、1000億トンもの水蒸気が大気圏上層部にまで放出されることを、シミュレーションで明らかにした。その水蒸気が、大気中により多くの熱を閉じ込めて地球を温め、氷河期を終わらせた可能性があるとエリクソンは言う。

「水蒸気は、二酸化炭素よりもずっと効率的に温室効果をもたらす」

隕石の衝突が、地球の気候を何度も変えてきた

地球の気候を変えたのはヤラババの隕石だけではない。6600万年前、現在のメキシコ、チクシュルーブに幅6マイル(約10km)の小惑星が落ちた際には、数百マイルにわたって火事が燃え広がり、高さ1マイル(約1600m)の大津波が発生し、大気中には膨大な量の硫黄が放出された。

ガス状のもやが太陽光線を遮断して地球を冷やし、恐竜を絶滅に追い込んだ。さらに酸性雨や衝突に伴う放射性降下物が、海を一瞬にして酸性化し、海洋生物の大量死を引き起こした。

現在のユカタン半島近く、硫黄の豊富な熱帯の浅い海に衝突する小惑星の想像図。

現在のユカタン半島近く、硫黄の豊富な熱帯の浅い海に衝突する小惑星の想像図。

Donald Davis/NASA

論文には、歴史を通して見ても、特定の場所にこのような「地球外からの物体が衝突」したことが、地球の発達に大きな影響を与えた可能性が高いと記されている。

「地球の気候が劇変するほどのインパクトは、特別な場所に隕石などが落ちた時に生じるようだ」とエリクソンは言う。

「例えば、ユカタン半島のチクシュルーブには膨大な塩と石膏が堆積していた。そこに小惑星が衝突したことで大量の硫黄が大気に放出され、ひどい酸性雨をもたらしたと考えられる」

[原文:Scientists pinpointed the oldest meteor crater ever found. When the space rock struck Australia 2.2 billion years ago, it ended a global ice age.

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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