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- 中国政府は1月23日、新型コロナウイルス流行の中心地である武漢を封鎖した。
- 武漢に残った人々は、食べ物の買いだめに必死だと話している。価格も上がっているようだ。多くの人が外出を控え、屋内にとどまっていると言う。
- 飛行機、バス、鉄道の運行はストップした。当局が住民に対し、特別な理由がない限り、武漢を離れないよう求める中、道路も封鎖されているようだ。
- 武漢では、人々が生活必需品の買いだめに殺到し、肉や野菜、インスタント麺などが店から消えている。当局はこうした買いだめを控えるよう求めている。
- ある人は中国のソーシャルメディアに「人々は今、生活必需品をめぐってケンカをしている。すぐにただケンカするようになるかもしれない」と書いている。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、当局が人口1100万人を抱える中国の武漢を封鎖した後、市内に残った人々は食べ物や燃料を買いだめし、外出を控えている。
2019年12月に最初に報告されたこのコロナウイルス(2019-nCoV)は、武漢から中国各地へ広まった。中国政府は1月24日、新型コロナウイルスによる肺炎の患者が830人に増え、25人が死亡したと発表している。
当局は1月23日、交通の要衝である武漢の公共交通機関の運行をストップさせた。数多くの人が移動する春節の連休中に、これ以上の感染拡大を防ごうと、当局は実質的に武漢市を封鎖している。
武漢に残った人々は今、生活必需品の買いだめに殺到していて、住民は店に長蛇の列ができていると話している。価格も高騰しているという。
「みんな買いまくってる」
一部住民はソーシャルメディアで、価格の高騰や商品が消えた陳列棚、買い物をするための長蛇の列に不満をもらしていると、ロイターは報じている。
ロイターによると、あるユーザーは中国版ツイッターとしても知られるWeibo(微博、ウェイボー)に、会計の長い列の写真を添えて「みんな買いまくってる」と書いた。
マスクを着けて、食料品を買い込む武漢の住民(2020年1月23日)。
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他にも複数の住民がロイターに、人々は生活必需品の買いだめに殺到していて、スーパーの肉や野菜、インスタント麺の陳列棚がからっぽになっていると話している。
ガーディアンによると、Weiboの別のあるユーザーは、自分たちが買った食料品の写真とともに「もう外出しない…… そうすれば病気にならずに済むだろう。武漢がすぐに何らかのサポートを得られますように」と投稿した。
ガソリンスタンドも「悲鳴を上げている」とガーディアンは報じている。予備燃料が底を突いたという誤った噂が広まっているという。ある住民はロイターに、給油のために1時間も並ばなければならなかったと語っている。
現地のドラッグストアでは、住民に現在、着用が義務付けられているマスクも売り切れになっているとガーディアンは報じた。
「感染した人がすぐ隣にいるかもしれない」
アルコールを使って消毒をする警備員(2020年1月23日、武漢)。
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マンションの消毒も進んでいる。多くの住民は、できるだけ家を離れないつもりだと話していると、ガーディアンは報じた。
ある教師は「朝起きてニュースを目にした時は、気が変になるんじゃないかと思いました。もう手遅れな気がします。政府の対応は十分ではありません」と同紙に語った。
この人物は19日以降、家を出ていないという。「感染した人がすぐ隣にいるかもしれない。分からないんです。それが余計に怖い」
「人が不安を感じている時、ひどいことが起きる」
こうした買いだめは、さらなる社会不安につながりかねない。
ガーディアンによると、武漢のある住民はWeiboに「政府は対処する必要がある。モノが高くなり過ぎれば、間違いなく人々はパニックになる。人が不安を感じている時、ひどいことが起きる」と書いた。
「人々は今、生活必需品をめぐってケンカをしている。すぐにただケンカするようになるかもしれない」
ガーディアンによると、武漢の疾病予防機関は23日、住民に対し、買いだめをしないよう求めた。その声明文は「現時点で、武漢の食料品、医薬品、その他の生活必需品の予備は全て十分にある」としているという。
武漢を離れるのを止めるため、警察官が入口と出口を封鎖
政府は23日、武漢の飛行機、鉄道、バスの運行をストップさせた。
一部住民は封鎖される前に武漢を脱出しようと急ぎ、公共交通機関に列をなしたと複数のメディアが報じている。
現地で撮影された動画には、こうした公共交通機関の入口と出口を警察官が封鎖している様子がとらえられている。
当局は住民に対し、特別な理由がない限り、武漢を離れないよう求めている。高速道路の通行もできなくなっていると、ロイターは中国国営メディアの報道を引用し、報じている。
前例のない隔離
世界保健機関(WHO)の中国代表を務めるガウデン・ガレア(Gauden Galea)氏は、武漢の封鎖は非常措置だと、AP通信のインタビューで語った。
「わたしが知る限り、人口1100万人の都市を封じ込めようとするのは科学的に未知のものだ。公衆衛生の手法として、これまでに試されたことがなく、現段階でわたしたちはこれが機能するともしないとも言えない」とガレア氏は述べた。
その上で「このような決断には間違いなく社会的、経済的インパクトがあり、その影響はかなりのものになるだろう」と付け加えた。
移動の規制は23日、武漢に隣接するの2つの都市 —— 黄岡市と鄂州市 —— にも拡大された。中国では実質上、合計1900万人が封鎖されている。
肺炎のような症状をもたらすこのウイルスは、これまでにない新しいウイルスだ。当局は、ウイルスが変異していると警鐘を鳴らしている。
科学者は22日、ウイルスの感染源はヘビの可能性があると述べた。
(翻訳、編集:山口佳美)