大手テック企業が理想の就職先だと考えている人は多いはずだ。
Peter Summers/Getty Images
- 2020年に大手テック企業に就職したいなら、ヒントはここにある。
- Microsoft、Twitter、LinkedInなど著名テック企業の人事トップに、どうやって面接試験を突破し、昇進していったのか、Business Insiderが聞いた。
大手テック企業が理想の就職先だと考えている人は多いはずだ。だが、その足がかりを得るのは容易ではない。よしんば就職できたとしても、優秀な人材のなかで昇進していくのはさらに難しいだろう。
成功の秘訣を知る人がいるとしたら、それは大手テック企業の人事トップだ。彼らは人材の募集から選考、昇進までのすべてを統括している。Business Insiderが彼らを直撃取材した。
マイクロソフト(Microsoft)
キャスリーン・ホーガン(最高人事責任者)
Courtesy of Microsoft
【マイクロソフトで採用されるために必要な特性を1つあげると?】
当社の企業文化は「グロース・マインドセット」(=経験や努力によって能力を向上させられるという信念)に基礎を置いています。そのため、応募者の好奇心、学んで成長したいという熱意を重視しています。
スキルや適性以上に、「人々がより多くのことを達成できるようにする」という当社のミッションに対する情熱が何よりも重要です。これはすべてのポジションやチームに言えることです。
【管理職を目指す人への最も重要なアドバイスは?】
管理職を志望する人には、「他の人に力を与えたいから管理職になるのだ」と確認するところから始めるべきだとアドバイスしています。管理職は従業員の職務体験と切り離せない存在で、仕事への満足度やキャリアアップの機会に大きく影響します。
当社の管理職にはこんなアドバイスを送っています。当社の文化や価値観のロールモデルとなること。チームが多様性を受け入れて高い業績をあげられるように導くこと。そして、チームの一人ひとりを気遣うこと、つまり彼ら彼女らが学び、成長し、仕事で成功できるようにサポートすることです。
【仕事で充足感が得られていない従業員へのアドバイスは?】
充足感は個人に大きく依存するものです。ある人を満足させるものが別の人を満足させるとは限りません。そして人生やキャリアの目標が同じ人はひとりとしていません。最近、従業員満足度に関する5つの「P」についての文章を書きましたが、5番目のPは「目的(Purpose)」です。
充足感が得られないと感じる人には、視野を広げて自分の目的について考えることを勧めます。もしかしたら自分のキャリアパスから少し外れているだけで、同じ仕事のなかで微調整すれば軌道修正できるかもしれません。または、ストレッチ目標(=従来のやり方だけでは到達できない挑戦的な目標)の達成や特別なプロジェクトを担当することが必要なのかもしれません。
誰にでも当てはまる唯一の答えはなく、自分をふり返り、よく考えてみることが必要です。
フールー(Hulu)
シャノン・サリバン[人材・組織担当上級副社長]
Courtesy of Hulu
【フールー(Hulu)で成功するために必要な特性を1つあげると?】
当社で成功するのは、変化を効率的に切り抜けられる人材です。プロセスや手法が変わることもあれば、コアビジネスに対するアプローチが突然変わることも考えられます。テック産業は急速に進化しており、変化を取り込まないと成功できません。
【応募者からの最も印象的な質問は?】
応募者が(私たちフールーの)答えに強い関心を寄せていることが伝わってくる質問です。その答えが、採用通知を出したときの応募者の就職意欲を左右します。
最近の例をあげると、人材・組織担当部門の戦略について、どの部分が未達成なのか、達成できていないのはなぜなのか、たずねてきた応募者がいました。
その応募者は、自分が働く企業の人事部門リーダーとして私が望ましいか、未達成の目標を達成するために自分に何らかの貢献ができそうかを判断しようとしていたのです。
【仕事に充足感が得られなかった時期をどう乗り越えた?】
私はフール―で働き始めてからも、充足感が得られず、満たしてくれるものを求めて外に目を向けるという悪循環に陥っていた時期がありました。
自分の内面にじっくり向き合った結果、やる気を失った原因が見えてきました。効率性という私の大事にしている価値観が損なわれていたのです。手作業で効率が悪く、測定不能だと感じるプロセスに関わるたびに、不満をかき立てられました。
しかし、そのことが特定できてからは、変化を起こすために行動し、自分の責任を果たせるようになりました。
そのときは、自分が不満を覚えるきっかけを記録して、そのたびに改善に向けて次にどう動くべきか明確にすることが解決策となりました。そうすることで当事者意識が生まれ、自分の仕事が人を力づけ、同時に自分も充足感を得られるものになるよう、有意義な行動に踏み出せるようになったのです。
ツイッター(Twitter)
ジェニファー・クリスティー[最高人事責任者]
Courtesy of Twitter
【採用されるために必要な特性とは?】
当社には、最大の影響力を発揮するために必要となる中核的な資質がいくつかあります。まず、自分が話すタイミングをうかがうのではなく、人の話に耳を傾ける能力が不可欠です。
また、好奇心を持ち、問題に対する答えを積極的に探して解決しようとする資質も、当社の発展を牽引している人材に共通しています。
変化に適応し、新たなデータが出たら方向転換できる能力や、優先順位を再検討する柔軟性も欠かせない資質。世界は急速に変化し、日々、私たちに新たな挑戦を突きつけてきます。そうした兆候を読み取り、変化を予想する能力が大きな影響をもたらします。
【面接で見えてくる応募者の最大の危険信号は?】
それまでまったく同じ仕事をしていた人は危険信号ですね。
同じ仕事をしていたわけだから、必要なスキルや経験を備えていることは確実ですが、それよりも自分の能力を高め、新しい仕事にチャレンジする意欲があるのかが大事なので、そこを確認する質問をします。コンフォート(快適な)ゾーンの外に出てリスクをとる意志のある人材のほうが、私には魅力的に映るのです。
いままでのキャリアを通じて、そうした人材がより大きな仕事をすることは分かっています。たとえ、あらゆる面で新しいポジションにふさわしい経験や専門性をもっていないとしても。
リンクトイン(LinkedIn)
クリスティーナ・ホール[上級副社長・最高人事責任者]
Courtesy of LinkedIn
【リンクトインで採用されるために必要な特性は?】
当社では高い業績を上げている他の企業と同じように、自己改革に長けている人材が最も成功しています。ダイナミックな企業は進化していくもので、それは優秀な人材にも当てはまります。当社に採用される人に不可欠な資質は「柔軟性」です。
柔軟性とは、新たなものごとを学ぶことを厭わず、自ら進んで同僚たちとフィードバックし合う姿勢です。広報から法務、さらに人事へと移った私自身のキャリアでも、新たなチャンスに合わせて自分のスキルやスタイルを順応させる能力は不可欠でした。
【初めて管理職になる人への最大のアドバイスは?】
初めての管理職にとって最も重要なのは人の話を聞くことです。
個人として組織に貢献する立場であれば、自分の可能性を最大限に生かすのが仕事です。しかし、管理職はチームのメンバーが可能性を最大限に生かす手助けをする責任があります。メンバーが何にモチベーションを感じ、何を懸念し、どんな希望や夢をもっているのかを100%理解していなければできません。
何よりも、チームメンバーを人間として理解する必要があります。1対1の面談では電話やパソコンは手もとに置かず、メンバーの話に耳を傾けること。それはメンバーと管理職の双方にとって最も有効に時間を使う方法です。
オスカー(Oscar)
ジェラード・オーヘン[人材採用担当副社長]
Courtesy of Oscar
【面接で必ずたずねる質問は?】
妥当性を証明する科学的根拠はありませんが、あらゆる応募者に対して最も効果的なのは、「あなたが最も誇りに思っていることについて話してください」というシンプルな質問です。
この質問への答えから多くのことが分かります。まず、どのようなプロジェクトがその人の自尊心を引き起こすのか。例えば、社内プロセスを改良する仕事は、その人にとって真に誇りに思う価値があるものか、それほど重要でないものか。
また、何かを誇りに思うその論理的な根拠に注目すると、その人が何に価値を見出すのかが見えてきます。単に認められたいから、報われたいからというのではなく、チーム全体に貢献し、影響を与える能力があることを示すような回答を私たちは期待しています。
【応募者からの最も印象的な質問は?】
非常に強い印象を受けた質問は、私を応募者の立場に立たせ、当社で何を学んだかを引き出すものでした。具体的に言えば、「もしオスカーの仕事に就くために面接を受ける機会が再びあったとしたら、いままでに得たオスカーに関する知識をもとに、どんな質問をしますか」という問いかけです。
【初めて管理職になる人に送る、一番のアドバイスは?】
当社でリーダーの役割を果たす人にとって、採用は非常に重要な仕事です。どんな企業でもそうでしょう。
管理職になる人には、どのような能力と特性の人材を採用しようとしているのか、時間をかけて正確に把握したほうがいい、とアドバイスしたい。つまり、現在と将来において、そのポジションで成功するためにはどのような能力が必要かを理解することが大事なのです。
人材募集している部署の管理職が、単に「賢い」人を求めていると言うのと、「機敏な学習能力」や「分析・問題解決能力」など必要としている特定の資質を示すのとでは、大きな差があります。資質を明確に特定することは、応募者に求めるスキルや特性を具体化でき、評価プロセスで生じるバイアスを取り除くのにも役立ちます。
(翻訳・山崎恵理子、編集・川村力)
[原文:HR chiefs reveal how to get hired at Microsoft, Facebook, Netflix, and other top companies in 2020]