「日本のテレビ局取材班の乗船を拒否」ヘンリー王子とメーガン妃を守った水上タクシーに賞賛の嵐

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パパラッチに悩まされ続けるヘンリー王子とメーガン妃。ダイアナ妃の悲劇と重ね合わせて不安視する声も多く出ている。

Chris Jackson/Getty Images

  • ある水上タクシーの運転手が日本のテレビ局のクルーの乗船を拒否したことが大きな話題を呼んでいる。行き先が、ヘンリー王子とメーガン妃の住まいがあるとされるカナダ・バンクーバー島だったからだ。
  • テレビ局クルーを乗せていれば相当の料金を受け取れていたはずだが、その運転手はヘンリー王子とメーガン妃のプライバシーには釣り合わないと考えた。
  • カナダの法律専門家によると、同国のブリティッシュ・コロンビア州にはプライバシーの侵害から個人を守る法律があるものの、王室に適用されたことはなく、「新たな領域だ」という。

カナダ・ブリティッシュコロンビア州の水上タクシー運転手マイルス・アルセノーは1月23日(現地時間)、カナダ公共放送のラジオ番組に出演し、ヘンリー王子とメーガン妃の住まいがあるとされる場所に向かおうとした日本のテレビ局クルーの乗船を拒否したことを明らかにした。

アルセノーは元カメラマンで、半年前にブリティッシュコロンビア州ノースサーニッチで水上タクシー会社を立ち上げたばかり。

同州のバンクーバー島には、イギリス王室からの離脱を発表したヘンリー王子とメーガン妃が越してくると言われている。

「決定的瞬間を撮りたい?悪いが他でやってくれ」

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日本のテレビ局クルーの乗船を拒否したマイルス・アルセノー。自身、1985年から2012年までカメラマンとして活躍した経歴をもつ。

Screenshot of Bay to Bay Charters website

アルセノーはラジオ番組で、日本のテレビ局クルーが乗せてほしいと言ってきたとき、最初は何の疑いも抱かなかったと話した。

「実際のところ、ものすごく興奮したよ。電話を鳴らして船に乗せてほしいってことは、つまり銀行口座に金が入るってことだからね」

マリーナで取材クルーたちと初めて顔を合わせたとき、アルセノーは彼らの渡航先がヘンリー王子とメーガン妃に何か関係あるのかたずねた。

「そのときはヘンリー王子とメーガン妃の住まいがあるなんて全然知らなかったんだ。でも、話してみると彼らはあっさりそのことを認めた。だから言ったんだ。『他の水上タクシーをあたってくれないか』と」

アルセノーはカメラマンの経験が長く、レポーターやジャーナリストたちがネタとなる写真を撮影するための距離感がよく分かっていた。それでも、彼は取材クルーを船に乗せようとはしなかった。

「もちろん、分かっていたよ。『決定的瞬間』を押さえたいんだ。レポーターもカメラマンも食い扶持を稼がないと生きていけない。でも、そいつをウチの船を使ってやるのは御免だ、ってことさ

水上ボートの乗船料金は2時間300ドル。アルセノーにとって、ヘンリー王子とメーガン妃のプライバシーをさらすのには釣り合わない金額だったという。

カナダのプライバシー法は詳細な規定を欠く

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2020年1月、在英カナダ高等弁務官事務所を訪れたヘンリー王子とメーガン妃。カナダ訪問時の心温まるもてなしに礼を伝えたという。

DANIEL LEAL-OLIVAS - WPA Pool/Getty Images

1月20日(現地時間)、パパラッチの隠し撮り写真が「本人の許諾なく」英タブロイド紙に掲載された際、メーガン妃は法的措置を検討していると報じられた。

Business Insiderはその際、カナダ国内のプライバシー権に詳しいデイビット・フレイザー弁護士に取材している。

フレイザー弁護士によると、ブリティッシュコロンビア州は州独自にプライバシー保護法を制定していて、プライバシーの侵害を理由に訴訟を起こすことができるという。

「現行のプライバシー保護法には、要件や範囲が詳細に規定されていませんが、合理的と判断されるプライバシーの望ましいあり方は示されています」

カナダの裁判所は、保護法に紐づけられた具体的な要件が少ないため、プライバシーの侵害は状況に応じてそのつど判断しているのが現状という。

「カナダでは、公共の場におけるプライバシーはある程度制限されると考えられています。裁判所も、個人のプライバシーは保障されないと判断することこそないものの、具体的な状況に応じて判断すべきとの判決をくだすのが通例です」

カナダのプライバシー法にとって「未知の領域」

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カナダ・バンクーバー島の美しく静かな光景。

Marcel Vintan / Shutterstock.com

アルセノーはラジオ番組で、ヘンリー王子とメーガン妃についてこう語った。

「カナダ国民はスーパーのレジを待つ列で世間話をするとか、そんな普通のつき合いがしたいと思ってるんじゃないかな。特別なことは何も望んじゃいない。ふたりが新たな生活を最高の形で送ってほしい、それだけだと思うよ」

フレイザー弁護士も同様に、カナダは英王室のふたりを歓迎するか、少なくともネガティブにとらえてはいないとの見方を示している。

「国民はカナダにやって来るふたりを心配し、同情しているのだと思います。(パパラッチに追われ交通事故死した)ダイアナ妃の悲劇をくり返してはならないと、皆が考えているのでは」

メディア法とジャーナリズム倫理を専門とするキングス・カレッジ大学のディーン・ジョブ教授は、ヘンリー王子とメーガン妃を取り巻くパパラッチという文化に馴染みが薄いと指摘する。

「カナダでは王室をパパラッチが追い続けるといった話は聞かないし、日常風景でもありません。イギリスとは環境が異なります」

専門家の多くは、ヘンリー王子とメーガン妃がバンクーバー島に引っ越してくれば、カナダの裁判所にとっては、(民間にも王室にもほとんど適用されてこなかった)プライバシー保護関連の法律の運用を重点的に考える初の機会になるとみている。ディーン・ジョブ教授は言う。

「ヘンリー王子とメーガン妃の事例は、カナダのプライバシー保護法とメディア法の双方にとって未知の領域なのです」

[原文:A Canadian water taxi driver says he refused to take a Japanese television crew to Prince Harry and Meghan's rumored Vancouver Island property

(翻訳・編集:川村力)

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