ビジネス特化型SNSリンクトイン(LinkedIn)のジェフ・ウィナーCEO。
Chip Somodevilla/Getty Images
- ビジネス特化型SNSリンクトイン(LinkedIn)の女性ユーザーが、同社のジェフ・ウィナーCEO宛てに公開質問状とも言える投稿を行った。
- ユーザーは投稿のなかで、リンクトインのアカウントを通じてハラスメントや詐欺まがいの勧誘を受けたことを明らかにし、同社に対策の強化を求めた。
- ウィナーCEOは、対策への取り組みに「改善の余地がある」と応じた。
リンクトインのウィナーCEOは、同社のプラットフォーム上でのセクハラや詐欺行為に対してさらなる取り組みが必要だと語った。
ユーザーのひとりがウィナーCEO宛ての記事を投稿し、問題への対策強化を求めたことを受けての発言だ。
記事を投稿したユーザーは、米カリフォルニア州在住のエイミー・パーキンズ。1月17日、リンクトインのアカウントを通じてハラスメントや詐欺まがいの勧誘を経験したことを明らかにした。記事には1月末時点で、6600超の「いいね!」と1000件以上のコメントが寄せられている。
パーキンズが投稿した、リンクトインのウィナーCEOへの公開質問状。
Screenshot of LinkedIn/Amy-Perkins
記事によると、彼女は25年間続けた教育分野の仕事を辞めた経緯を語った動画をリンクトインにアップロードした。動画はあっという間に広まり、間もなく他のユーザーから不適切なコメントが届くようになった。
なかには「セクシーだね(Hey sexy.)」「電話で話そう(Call me.)」「そそられるよ(You're hot.)」といったコメントも含まれていた。また別のユーザーからは、うまいビジネスの話があるという詐欺まがいの勧誘も受けたという。
パーキンズは上の記事にこう書いている。
「私はそれなりに歳を重ねた二児の母です。動画を投稿したのは出会い系サイトではなく、ビジネス特化型のプラットフォームです。コメントにうろたえ、恐ろしくなりました。ひどく気分が悪くなり、アカウントを削除しようかとも思いました」
リンクトインのユーザー、とりわけ女性ユーザーたちはこれまで、サイト上でハラスメントを受けた経験を数年にわたってくり返し通報し続けてきた。パーキンズが記事で書いたようなできごとはリンクトインでは決して珍しいことではない。
ウィナーCEOのコメント。リンクトインのマネージャー、ディアナ・ヒゾンにパーキンズとの対話を続けるよう求めている。
Screenshot of LinkedIn/Amy-Perkins
ウィナーCEOはパーキンズの投稿にコメントし、リンクトインの問題への対応には「改善の余地がある」と答えている。その前段にはこんな記述がある。
「あなたに限らず、他のリンクトインユーザーに対しても、ハラスメントや詐欺は許される行為ではまったくない。コミュニティ内の交流に対する私たちの価値観や期待にも完全に反している。こうした行為をなくするために、私たちは人材とテクノロジーへの積極的な投資を続けていく」
パーキンズはBusiness Insiderの取材に対し、ウィナーCEOがコメントした「ほぼ直後に」リンクトインのマネージャーから連絡があったことを明らかにした。
同社はパーキンズの提案を受け入れ、ツイッターやインスタグラムのようなアカウント認証システムの導入も検討するという。
「リンクトインが私の話を真剣に受け止め、いずれセキュリティを強化してくれると信じています」(パーキンズ)
リンクトインはこの問題について声明を発表し、パーキンズに示したスタンスを再度強調している。
「私たちは悪質な行為を許しません。他のコミュニティメンバーへのハラスメントは決して容認されるものではありません。リンクトインはユーザーの安全を守る強力な監視システムを備えています。ハラスメントを経験したら必ず通報してください」
ハラスメントや不正排除のデータを公開
ハラスメント等の通報についてリンクトインが作成した説明動画。
LinkedIn "How to Report Content on LinkedIn"
リンクトインは2019年11月、サイト上でのハラスメントや不正を排除するための取り組みに関するデータを初めて公開。ユーザーからの通報の数には言及せず、実際に削除したコンテンツの数だけを示した。
データによると、同社は2019年上半期だけで「ハラスメント」にあたる1万6000件以上のコンテンツを削除した。
削除されたコンテンツのうち、最も多かったのは「ハラスメント」のカテゴリーで、以下に「成人向け」(1万1019件)「暴力または露骨な表現」(1933件)「ヘイトスピーチ」(1637件)「子どもに対する搾取」(22件)と続いた。
同じ2019年上半期にリンクトインが最も重点的に対応を行ったのが詐欺だ。
同社は「対象を限定せず、関連性なく、くり返されるコミュニケーションや勧誘で、金銭的利益を目的とする場合が多い」と指摘し、6050万件の詐欺関連コンテンツを削除。うち99.8%は自動検知によって発覚したもので、ユーザーからの通報を受けて削除されたコンテンツは約10万件だった。
削除された詐欺コンテンツのなかには、ほとんど働かなくても高給が得られる仕事をリクルーターがオファーする事例や、優良企業への応募に見せかけた人材募集などが含まれていた。
リンクトインが公開したデータではほかに、2100万件もの偽アカウントを削除したことが明らかになっている。その大半はユーザー登録の段階で検知されたものだという。
(翻訳:山崎恵理子、編集:川村力)