どういう観光を求めるか? 観光公害は地元のコントロールと旅行者への教育で解決できる —— 専門家が議論

ベネチア

観光客でいっぱいのベネチア。

Reuters

  • 旅行業界の専門家たちは1月下旬、ニューヨークで開催された第17回ニューヨーク・タイムズ・トラベル・ショー(New York Times Travel Show)に集まった。
  • ニューヨーク・タイムズ・トラベル・ショーは、北米最大のトラベル・ショーだ。
  • その基調講演では、パネリストたちがオーバーツーリズム(観光公害)や持続可能性といった旅行業界の課題について議論した。
  • VirtuosoやIntrepid Travel、フッティルーテン(Hurtigruten)の幹部たちは、こうした課題を解決するにはコミュニティーが自分たちにとって観光がどうあってほしいのかを決め、旅行会社が旅行者に対して、どうすれば礼儀正しい客になれるか教育する必要があるとの意見で一致した。

ニューヨーク・タイムズ・トラベル・ショーでの注目ワードは、「サステナビリティ(持続可能性)」だった。

今年で17回目となるこの北米最大のトラベル・ショーは、1月24日から26日までニューヨーク市で開催された。約750社が出展し、280人が講演、3万5000人以上が会場を訪れた。

セミナーやパネルディスカッションの多くは、どうやってサステナブルな旅行をするか、いかにしてオーバーツーリズムの被害を最小限にするかといった、旅行業界が直面する課題に取り組むものだった。

業界関係者や報道陣向けに24日に行われた基調講演では、パネリストらは業界の課題解決能力について楽観的だった。ラグジュアリーな旅のアドバイスやサービスを提供するVirtuosoの会長兼CEOのマシュー・アップチャーチ(Matthew Upchurch)氏や、ノルウェーに拠点を置くクルーズ・ライン、フッティルーテンのCEOダニエル・シェリダン(Daniel Skjeldam)氏、少人数での冒険旅行を手掛けるIntrepid Travelのチーフ・カスタマー・オフィサー、リー・バーンズ(Leigh Barnes)氏がパネリストとして登壇し、Insider Travel Reportの編集長で創業者のジェームズ・シリングロー(James Shillinglaw)氏がモデレーターを務めた。

ショーのためにオーストラリアから来たバーンズ氏は、アメリカではこれまでにないほどサステナビリティが議論されるようになったと認めた。「パネリストの1人としてここに座り、全員がそれぞれサステナビリティについて触れたというのは素晴らしい」とバーンズ氏は語った。「ここ8年、わたしはアメリカに来て、サステナブルな体験について話してきました。そしてパネリストとしてここに座り、それぞれが『これは現実だ。わたしたちは何がしなければならない』と言うのは、恐らくこれが初めてのことです」

「わたしたちは、あらゆる企業が『誰かにとって住むのに最高の場所は、旅をするにも最高の場所だ』というのを目にしています」とバーンズ氏は付け加えた。

サステナビリティは、地球の健全さだけを意味するものではないとアップチャーチ氏は指摘する。「それは地球、地域経済の利益、自然遺産や文化遺産の保護を意味する」と同氏は言う。

オーバーツーリズムの問題をどうすれば解決できるか

アップチャーチ氏によると、その先にあるのがコミュニティーと旅行会社の間の健全な対話だという。そして、この対話はコミュニティーがどれだけの観光を求めるかを決め、コミュニケーションを取ることから始まる。「彼らにとって何が正しいか、何が間違っているか、わたしたちに言うことができるだろうか? 」と同氏は言う。

「自己決定と礼儀正しい観光 —— 訪問者に何が期待されているかなど —— の間にあるバランスを旅行者に教えることも、わたしたちの責任の1つだと思っています。あなたたちは客、あなたたちはその土地の訪問者なのです」とアップチャーチ氏は語った。

シェリダン氏もアップチャーチ氏と同意見だ。「コミュニティーが自分たちがどういった観光を求めるのかコントロールし、雇用を生み、その場所を傷つけないようにするのは観光客です。コミュニティーによる規制は今後、増えるでしょう」とシェリダン氏は言う。

世界中の都市がすでにオーバーツーリズムを撲滅し、エコロジカル・フットプリントを減らすための対策を取り始めている。クロアチアでは2019年の秋、観光客の数を制限するため、レストランの新規出店の禁止が提案された。イタリアのベネチアは、2022年から大型クルーズ船がカナル・グランデに入るのを禁止する。

「重要なのは、コミュニティーが自分たちの全ての財産 —— 彼らの土地、場所、彼らを囲む美しい自然 —— をコントロールする必要があるということです」とシェリダン氏は語った。

"サステナブルな旅行"の次に来るのは?

「ブランドはサステナビリティから積極的な行動へ移行するでしょう。より多くのブランド、旅行会社が彼らの信じるものに取り組むようになるのを目にすることでしょう」とバーンズ氏は言う。

2019年に世界初のハイブリッドのクルーズ船を導入したフッティルーテンもその1つだ。シェリダン氏によると、同社の次の挑戦は、世界初のゼロエミッションのクルーズ船になるという。その公式サイトで、フッティルーテンは自らの社会的責任とサステナブルな観光に対する姿勢を示している。

「わたしたちの目標は、価値ある場所をハイシーズンには殺到し、そうでない時期はひっそりさせておくのではなく、サステナブルな1年を通じたアクティビティーを開発、促進、維持することです。これが、サステナブルな観光地をつくり、コミュニティーを繁栄させ、ユニークな体験を育てるカギなのです」

アフリカの7つの国でラグジュアリーなサファリ・ツアーをカスタマイズしているWilderness Holdingsも、エコロジカル・フットプリントをできる限り抑えるために積極的に取り組んでいる企業の1つだ。ビジネス・デベロプメント・ダイレクターのクリス・ロシュ(Chris Roche)氏は、ラグジュアリーな旅行をする人々は、自分たちが訪れた場所にポジティブな影響を与えたいと考えていると、Business Insiderに語った。「彼らは本物であること、本当の関わりを求めています。自分たちが意味ある貢献をしていると実感し、インスピレーションを得たいのです」とロシュ氏は言う。

[原文:Overtourism can be solved, and it will start with locals 'taking control' of how much tourism — and what kind of it — they want, according to travel experts

(翻訳、編集:山口佳美)

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