新型肺炎「中国に帰りたくない」滞在延期する観光客も。相次ぐ宿泊キャンセルの一方で……

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国内の新型コロナウイルス感染者の発表をする厚生労働省の担当者。感染者の数は日々、更新されている。

撮影:横山耕太郎

中国人観光客で例年にぎわう日本の観光地で異変が起きている。

毎年、春節休み中の1月24日~30日(現在は2月2日まで延長)は中国からの旅行者で観光地がにぎわっていたが、今年は新型コロナウイルスの影響で観光客が激減している。

特に中国人観光客が多く宿泊するホテルではキャンセルが続出。他の国からの観光客が、中国人の宿泊するホテルを敬遠する例が出ている一方、「中国に帰りたくない」との理由から滞在を延期する中国人も増えているという。

「中国人の方は泊まっていますか?」

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中国人観光客に人気の富士山。河口湖には多くの外国人旅行者が訪れる。

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富士山の麓にある観光名所の河口湖エリアも、中国人観光客減少の影響を受けている。

『今日、中国からの旅行客は宿泊していますか』と日本人観光客から尋ねられ、いますと答えたら、『じゃあ結構です』と言われたと報告があった。どのホテルも2割程度は中国人旅行客。団体客を受け入れているホテルでは、2月の予定がほぼキャンセルになったところもある」

観光協会の関係者はそう話す。中国人観光客を主なターゲットにしているホテルや、免税店は特に影響が大きいという。

同エリアの観光案内所によると、「例年の春節に比べると2~3割は中国人観光客が減っている印象」と話す。

「案内所の入り口にマスクの着用をお願いするイラスト付きのビラを掲示しました。こまめな消毒を行って感染の予防に努めています」(観光案内所担当者)

「中国に帰りたくない」

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マスクを着けバンコクを観光する中国人旅行者。

REUTERS

中国人観光客は減っているものの、帰国後の感染を恐れて、日本での滞在を延長する観光客もいるという。

河口湖エリアのホテルに勤める50代の従業員はこう話す。

「今日から全従業員、マスク着用必須ということになりました。中国政府が1月28日に渡航自粛を促したことから、キャンセルが出はじめています。

ただ、お客様の中には『中国に帰りたくない』という方々がいて、日本での滞在を延長する向きもあり、キャンセルで空きのあった部屋が埋まってきています

京都でもホテルキャンセル相次ぐ

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京都のホテルを、予約サイトで「1月29日〜31日、2人部屋」で検索した結果、三つ星、四つ星ホテルでもこの価格だった(一部、編集部で画像を加工しています)。

Twitterでは京都のホテルの価格が「だいぶ安くなっているのではないか」と話題になった。

旅行予約サイトを見ると、1月末や2月上旬は、春節休みやその直後で中国人観光客によるホテル需要がまだ高い時期なのに、ビジネスホテル、三つ星、四つ星クラスのホテルが1泊1人3000円、4000円ほどで予約できる。

一般的には、近畿地方のホテルではお正月を過ぎると、国内観光客も含めて春先までは閑散期を迎える。ただ、その中にあっても春節期間だけはかき入れ時のはずなのに、この価格だ。

京都のホテル関係者はこう話す。

「新型コロナウイルスの報道が始まり、春節期間中に130件のキャンセルがあった。キャンセル分を埋めるために2〜3割が価格が下がっているのは事実。それでもキャンセルになった部屋分が埋まってない。いつまで続くか不安です」

キャンセル料はどうなる?

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日本でもマスクを着ける人の姿が目立つようになってきた(写真はイメージです)。

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今回のようなケースではキャンセルした際の費用はどうなるのだろうか。

ホテルによってキャンセルポリシーは異なるものの、多くは1カ月前、2週間前までと期間を定め、宿泊予定日が近づくほどキャンセル料のパーセンテージが上がることが多い。

前節とは別のホテル関係者は、あくまで一般論と前置きした上でこう説明してくれた。

一般的には、今回のように中国政府側が渡航中止を促すという特殊なケースの場合、個人のお客様に負担は発生しません。ただ、旅行会社を通じて予約しているお客様もおり、その場合は旅行会社との契約に沿った形になります。その場合でも、恐らくキャンセル料が必要ないことが、ほとんどだと思います」

突然のキャンセルに対してキャンセル料を取れないとなれば、宿泊施設の経営に与える影響は少なくないだろう。

「感染者を出したら誰も来なくなる」

コロナウイルスにより思わぬ影響を受けている観光地だが、全ての関係者がいま最も恐れているのは、やはり感染者を出してしまうことだ。

河口湖で観光業に携わる男性は、複雑な心情を説明する。

「河口湖で新型肺炎が出たとなったら、取り返しがつかない大混乱になる。中国だけでなく、他の国からも、もちろん日本人も来なくなる。

ただ、河口湖の観光客は半分がインバウンド。中国からの観光客に対しては、正直少し不安もあり複雑な気持ちではあるけれど、とはいえ、来てもらわないと経営が成り立たないのも事実です

(文・横山耕太郎、大塚淳史)

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