「毎週10億円還元」au PAYも狙う“スーパーアプリ”戦略。鍵は他キャリア利用者の取り込み

au PAY発表会

au PAYを強化し、拡大のために大型キャンペーンも実施するKDDI。中央はCMキャラクターの菜々緒さん。左はKDDIのパーソナル事業本部長・東海林崇氏、右はauフィナンシャルホールディングスの勝木朋彦社長。

撮影:小山安博

KDDIは、決済サービス「au PAY」を強化する。グループ会社のauフィナンシャルホールディングスによる金融サービスとの連携によって、単なるコード決済だけではない、スーパーアプリの実現を目指す。

2月10日から毎週10億円分の還元を行うキャンペーンを実施。au PAY利用可能店の決済で支払額の最大20%を還元する。ローソンでは追加キャンペーンも実施する。

7週間にわたり実施し、全期間で70億円。1人あたり最大7万円の還元という巨大キャンペーンによって、特にauユーザー以外に対するアピールをしたい考えだ。

au PAYはPonta統合でライバルとの差を縮める

au PAYと顧客満足度

スマートフォン決済に注力する理由の1つは、利用が増えるほどNPS(顧客満足度)が増加するから。タッチポイントとなるauショップは、機種変更をすると2年間来ることがないといった課題があり、日々の接点としてau PAYを位置づける。

撮影:小山安博

KDDIは、2014年の「au WALLETプリペイドカード」発行を皮切りに決済事業を提供。その後、クレジットカードの発行を開始し、2019年9月末で2700万会員を突破している。

au WALLETプリペイドカードはスマートフォン向けアプリでのチャージ機能を備え、パーソナル事業本部長の東海林崇氏は、自社を「スマートフォンを活用した決済のパイオニア」だとアピールする。

au PAYとPontaの統合

ポイント保有会員2800万のau WALLETと9300万超のPonta会員の統合で1億を超える基盤に。

撮影:小山安博

au WALLETカードの展開に合わせてポイント事業として「au WALLETポイント」を展開し、キャリアを問わず会員となれるオープン化によって、この1月にポイント保有会員数は2800万を突破した。

一定のポイント経済圏を確立したが、会員数7000万を超えるNTTドコモの「dポイント」、1億を超える「楽天スーパーポイント」、7000万を超えるCCCの「Tポイント」と、主要共通ポイントからは大きく水をあけられていた。

そうした中、ロイヤリティマーケティングが運営する共通ポイント「Ponta」と、2020年5月に統合を決定。9300万の会員数を合わせて、1億を超える会員基盤を獲得する。ポイントが貯められる店舗数も22万に達し、170万カ所でのコード決済、ポイント利用が可能になる。

利用可能店舗の拡大

Pontaとの統合によって利用可能店舗が拡大する。

撮影:小山安博

これまでのau WALLETポイントからPontaに移行することで、ポイント基盤からau色を薄め、auのスマートフォンユーザー以外に対してもさらなる訴求を図る。この会員基盤を背景に、従来の決済・コマース事業もauユーザー以外への拡大を目指す考えだ。

au以外のスマホユーザーにも普及を狙う

auスマホ以外でも利用できるとアピール

「auスマホじゃなくてもOK!」という点を強くアピールする。

撮影:小山安博

また、2月からは従来のサービス名称を以下のように変更。全て「au PAY」ブランドに統一する。

  • au WALLETプリペイドカード→au PAYプリペイドカード
  • au WALLETクレジットカード→au PAYカード
  • au Wowma!→au PAYマーケット
  • au WALLETアプリ→au PAYアプリ

同社の狙いは、「au PAY」ブランド自体をオープン化することだと勝木氏は言う。だが、「au」という名称は携帯会社のイメージが強く、au PAYも「auユーザーだけのもの」と思われがちだ。

会見で東海林氏は「誰でも使える、auユーザー以外も使える」という主旨の言葉を繰り返しコメント。認知度の高いPontaポイントが貯まる決済サービスとしてのau PAYの位置づけを明確化することで、auユーザー以外を取り込みたい考えだ。

加えて、au PAYアプリを強化して、複数の機能を持つ「スーパーアプリ化」する。スーパーアプリは、競合の「PayPay」やNTTドコモの「d払い」も目指す方向性で、東海林氏は「明確な定義はない」と指摘する。

基本的には、1つのアプリで複数のサービスをカバーする形態で、au PAYアプリでは、コード決済以外にもさまざまな機能を提供していく。

KDDIグループの既存金融事業を最大限に活用する

au PAYと金融サービス

auの提供する様々な金融サービスと連携させる。

撮影:小山安博

そこで特に注力するのが金融サービスだ。auフィナンシャルホールディングスは、オンライン専業のauじぶん銀行、証券、保険、投資といった「フルラインナップ」(東海林氏)で提供している。

「au PAYを通じて様々な金融ニーズに応えるのが使命」と勝木氏。au PAYユーザーに対して、低コストでコストパフォーマンスに優れた金融サービスを、スマートフォン経由で提供することを目指す。

3月からは、au PAYアプリから公共料金を支払える請求書払いを提供。auでんきと連動したおつり投資などを開始する。

現在、au PAY口座数は2200万を突破。銀行、証券、クレジットカードといった金融アカウントは1000万を突破しており、こうしたアカウントとau PAY口座の連動によって、決済と金融を接続していく。

au PAYで請求書払い

請求書払いなどの新サービスも提供する。

撮影:小山安博

他社のように今後au PAYアプリ内から配車サービスを依頼するといったミニアプリも提供していく計画だが、中国の「支付宝(Alipay)」にならい、決済と金融による独自性を打ち出すことがau PAYの戦略ということのようだ。

au PAYの拡大

さらなるサービスの拡大も。

撮影:小山安博

キャンペーン情報

期間中、3週に1回の割合で最大3万円相当、7週間で最大7万円相当の還元を行う。毎週10億円を限度とした還元額となる。

撮影:小山安博

(文、撮影・小山安博)


小山安博:ネットニュース編集部で編集者兼記者、デスクを経て2005年6月から独立して現在に至る。専門はセキュリティ、デジカメ、携帯電話など。発表会取材、インタビュー取材、海外取材、製品レビューまで幅広く手がける。

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