広告・PR業界に止まらず、今や若者たちの頼れる“アニキ”として存在感を増す三浦崇宏。初めての著書『言語化力(言葉にできれば人生は変わる)』も話題沸騰中の三浦の元には仕事や恋愛、人生に迷い、自分を見失っている若者たちがその言葉を求めて集まる。
第1回はモテクリエーターのゆうこすが登場し、ラブラブな彼氏との初々しい悩みを相談。第2回はゆうこすが最近、彼氏としてしまったケンカの話に……。
「肯定マウンティング」をしよう
三浦
彼とどんな喧嘩を?
ゆうこす
細かくは言えないんですけど(笑) ざっくり言うと、売り言葉に買い言葉で私がキレちゃって。私は仕事柄、どうしても結果の数字を意識して仕事をしているのですが……。数字では測れない彼の仕事を、同じ基準で比べちゃったり……。分かりづらい説明ですみません(笑)。
三浦
うわ、それはダメだ。
ゆうこす
私、完全にアウトですよね……。めちゃくちゃ反省しています 。
三浦
かつてTHE BLUE HEARTSの甲本ヒロトが言っていた、「売れているものが良いものなら、世界一うまいラーメンはカップラーメンだよ」って話だよね。
ゆうこす
彼からは、君は悲しいインフルエンサーですね、的なことを言われて……。
悲しきインフルエンサー、ゆうこす
三浦
すげぇ面白いね、それを生配信すればいいのに。カッとして言っちゃったにしろ、否定によるマウンティングは本当に良くない、というかもったいないよ。「GOの三浦の言ってることは、いつも普通だ」「ゆうこす、テレビで歌いまくってるわけじゃないじゃん」みたいなこと言われるじゃない? あれって本当にもったいない(笑)。そうじゃなくて、もっとうまいマウンティングがあるのに。
ゆうこす
それ、教えてください!
三浦
おれが前にいた会社の先輩で、何回か飯食っただけの人が「三浦は俺が育てた」ってたまに言ってるらしいんだけど、このマウンティングはうまいなあと思うよ(笑)。こっちも完全否定はできないから、なんか「ありがとうございます」みたいな感じになる。三浦の実力を認めた上での、肯定によるマウンティングね。どうせマウンティングするなら、こっちのほうがずっといい。「最近のゆうこす、すごい頑張ってるね。俺は昔から応援してたけど」とか。「彼の言ってることがわかるのは俺くらいだよな」とか。ある意味、大人プレイだよ。
ゆうこす
たしかに!
恋人へのサプライズは自分のためにするもの
ゆうこす
ところで、社会人カップルって忙しいじゃないですか。デートがなあなあになることってありませんか。
三浦
忙しくて、今週も週末デートのお店を予約できませんでした、とかね。
ゆうこす
で、険悪になる。週5で働いたら休みは2日だけど、その貴重な休みに計画立ててだの、旅行の予約してだのって、なかなかできません。忙しい合間を縫って、どっちが予約するかでギスギスしたりも……。どうすればいいんですかね?
三浦
まずひとつ、フィジカルな解決策としては、ゆうこすはお金があるんだから(笑)、店や旅行の予約を誰かに発注してしまえばいい。プライベートセクレタリーとか使ってね。あとは……(ふたりだけでコソコソ話)。
ゆうこす
ほおお、なるほど。かしこまりました! ただ、相手へのサプライズやプレゼントは人任せにできないじゃないですか。
三浦
うん。おれ、めっちゃやってる。
ゆうこす
あれ、どうやったら相手を楽しませられるんですか? そもそも、三浦さんのデートってどんななんですか?
三浦
言える範囲で言うと……、たとえばお付き合いしている人の誕生日ね。前日と当日2日間過ごしたんだけど、1日目を買い物日にして、好きなものは全部買ってやるっていう大人プレイをしたことあるよ。
ゆうこす
かっこよ!!
三浦
で、いろんな店を回るんだけど、彼女もバカじゃないから、服だったら1店舗1着くらいしか買わない。でも選ぶ過程では何着か悩むじゃない。
ゆうこす
ですよね。
三浦
で、どうするかというと、最終的に買った服以外、一度悩んだ服も全部こっちで把握しておいて、あらかじめ手配しておいたお付きの者、というか“忍びの者”(笑)に、裏で全部買っておいてもらう。で、翌日の日曜に外出してホテルに戻ってきたら、部屋のクローゼットにその悩んだ服も全部入っているというサプライズ。 あ、部屋はスイートね、もちろん。
リ、リチャード・ギア?
ゆうこす
ドラマみたいな話!
三浦
これ、電通がディズニーランドを日本に招致した時に、電通の人がアメリカ本社の偉い人にやった接待のパクリなんだけどね(『「エンタメ」の夜明け』っていう素晴らしい本に書いてある)。 ただ、こういうサプライズで大事なのは、相手に恩着せがましくしたら終わりってこと。
ゆうこす
ふむふむ。
三浦
ホテルのレストランでもそう。何時何分にこの席に座ると最高の夕陽が見える、みたいなサプライズをおれはよくするんだけど、向こうはそんなこと当然知らないから、平気で10分遅刻してきて、全部台無しになったり。
ゆうこす
うわー。でも私も計画する側なんで、めっちゃわかります。
三浦
ぶっちゃけイライラするんだけど、そのイライラが一番ダメ。
ゆうこす
ダメなんだ。
三浦
サプライズってのは、自分が楽しんでる、楽しませてもらってるくらいのつもりでできないなら、やらないほうがいいんだよ。プレゼントだって、もらうよりあげる方が楽しいじゃない。だいたい、サプライズなんて3回に1回は失敗するんだから、失敗したことすら「ライフ・イズ・コンテンツ」にしなきゃ。来年の今ごろに「去年はサプライズ失敗して面白かったね。はっはっはっ」って笑えるような心持ちでやらないと。
ゆうこす
そうかー。
三浦
気合いの入ったデートほど喧嘩になったりしない?
ゆうこす
なんで分かるんですか(笑)。そうです、なります。
三浦
相手に対する期待値が高いからだよ。恋愛も仕事もそうだけど、相手への思い入れに双方で差があると、だいたいうまくいかない。相手の誕生日の準備をするときって、準備する側がもうとてつもない準備をしているわけだよ。ゆうこすもおれも。でも相手はそれを分かってないから、そのとてつもない準備に見合うほどの準備ができてない。人間って驚く準備ができていないと驚けないからね。
ゆうこす
期待ほどは、返してくれない。
三浦
そうそう。「ここまでしてあげたのに、なんでこんな態度なの?」となる。
「あれはきつかったなー」と、ここで三浦さんの手痛い経験が披露されるが、公開NG
ゆうこす
なんか、かわいい話ですね(笑)。
気まずいカップル収入差問題
三浦
基本的にサプライズもプレゼントも全部、「自分が相手を使って楽しんでる」って思わなきゃダメ。相手という壁にボールを投げて跳ね返ってくるのを楽しんでるんだよね。相手にボールを贈ってる気持ちだと、だいたいトラブルになるよ。
ゆうこす
ただ私、彼に対する企画とかサプライズを「押し付けてないかな?」って躊躇することもあるんですよ。向こうも、されるのは嬉しいけど、同時に申し訳なさも感じてないかなって。
三浦
よく聞くよね。
ゆうこす
私の場合はまだお金関係でギクシャクはしてないのですが、ふたりの収入に差が出てきちゃったりすると、よりいろいろと気を使っちゃいそうですよね。
三浦
まぁ、こういう男女の稼ぎみたいな問題は早く世の中からなくなって欲しいなとは思うけど。ゆうこす先輩の場合は、仕事がうまくいってる分、そうなるよね(笑)。でもさ、どっちがモテるかとか、どっちが歳上かと一緒で、どっちが稼いでるかなんて、何個かあるステータスのひとつでしかないじゃん。おれが彼女によく言うのは、今はおれの方が仕事してて、今時点ではおれの方が収入あるから、基本的には全部おれが払うよ。おれ、お金払うの趣味なんで。浪費が趣味なんでって。
ゆうこす
私も浪費すごい好き(笑)。でも彼にしてみれば、格好つけたいから「僕が払う」と言いたい。そりゃそうだよなって。
三浦
彼、歳下だよね。
ゆうこす
はい、そうです。
三浦
基本的には、金なんてそのとき持ってるヤツが払えばいいんだよね。
ゆうこす
そうですよねえ。
三浦
おれがよくパートナーに言うとしたら、おれは来年事故や怪我や炎上で仕事できなくなるかもしれない。そうしたら飯食わしてねって。そのとき持ってる方が払えばいいだけで、どっちかが偉いもないし、どっちかが引け目を感じる必要もない。「私はあなたに今の仕事を頑張ってほしいから、しょうもない金稼ぎなんかしないでほしい。とりあえず私が払っとくね! ほら、私稼いでるし!(笑)」って。そうやってお互いが言えたらいいんだよ!
ゆうこす
はは、分かりました。しかしいつもそうですけど、三浦さんと話したあとって気持ちがポップになりますね。
三浦
気持ちがポップ(笑)。
ゆうこす
ほんと、三浦さん、エンターテイナーですよね。今日は私の悩みに楽しく答えてくれて、ありがとうございました!
※次回は、くつざわさんをゲストに迎えて2月7日(金)に更新予定です。
(構成・稲田豊史、 連載ロゴデザイン・星野美緒、 撮影・今村拓馬、編集・松田祐子)
三浦崇宏:The Breakthrough Company GO 代表取締役。博報堂を経て2017年に独立。 『表現を作るのではなく、現象を創るのが仕事』が信条。日本PR大賞を始め、CampaignASIA Young Achiever of the Year、グッドデザイン賞、カンヌライオンズクリエイティビティフェスティバル ゴールドなど国内外数々の賞を受賞。広告やPRの領域を超えて、クリエイティブで企業や社会のあらゆる変革と挑戦を支援する。初の著書『言語化力 (言葉にできれば人生は変わる)』(SBクリエイティブ)が発売中。発売前から予約でAmazonのビジネス書で1位に。 ゆうこす(菅本裕子):2012年にアイドルグループ「HKT48」を脱退後、タレント活動に挫折しニート生活を送るも、2016年に自己プロデュースを開始。「モテクリエイター」という新しい肩書きを作り自ら起業。現在はタレント、モデル、SNSアドバイザー、インフルエンサー、YouTuberとして活躍中。10~20代女性を中心に自身のInstagramやYouTubeチャンネルで紹介するコスメ等が完売するなどその影響力は絶大であり、またライブ配信中に商品を販売する“ライブコマース”におけるパイオニア的存在。