仕事に集中できない人必見!作業スピード3倍になる「もくもく会」が流行るワケ

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作業を複数人で進める「もくもく会」を行う大学生たち。なぜ今、もくもく会は、はやるのか。

筆者提供

「もくもく会」って聞いたことありますか?

教室、コワーキング、カフェなどに2人以上で集まって、一緒に“黙々”とそれぞれの仕事や作業をする会のことです。

この単なる作業会(通称、もくもく会)を、きちんとルール決めして実施することで、驚くほど作業がはかどる時間になることをご存知でしょうか。

筆者自身、このもくもく会の魅力にハマり、過去3年で100回以上、知人・友人とこの会をさまざまなルールを元に実施した結果、最も効果を発揮できるルールを見つけたので今回紹介します。

作業スピードが3倍になる「もくもく会」の5ステップ

  1. はじめの15分~30分は近況や頭の中のモヤモヤを順に語る(通称:チェックイン)
  2. 作業直前に、何の作業をするのかお互いが理解できるように説明
  3. 30分程度の作業タイムの実施
  4. 2~5分程度で作業結果の共有
  5. 5分の休憩を取って、また30分の作業タイムを繰り返す

以上。驚くほどシンプルな流れです。これだけで1人だけで抱えていたタスクが、体感値として2〜3倍のスピード(もくもく会を実施しなかった日との比較)で作業がはかどったと回答する人が多いです。

もくもく会が流行る4つの時代背景

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1人で仕事のできる時代、作業効率がかえって落ちる現象も起きている。

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ただのアナログな作業会であるもくもく会がじわじわ流行り始めているのは、時代背景の後押しもあるでしょう。

  • もともと組織に存在した健全なピア・プレッシャー(相互監視による圧力)が、個人の時代になって失われ、「作業効率が落ちる」「一人では挫折する」という課題が発生した。
  • 副業、フリーランス、リモートワークが増加した時代ゆえ、「個人でアウトプット作業が必要」はみんな共通の課題になった。
  • SNS・スマホ中毒・情報過多の時代。とにかく注意力が散漫になりやすくなった(人間関係や情報キャッチアップも大事ではあるため、根本的な解決が難しい)。

そんな時代だからこそ、知人・友人・同僚にこうした作業会のお誘いをすると「それやりたい!」とオッケーをもらいやすいのが、もくもく会なのです。

そして、もくもく会を繰り返し実施して得られると筆者が実感しているのは、次のようなことです。

・ 個人タスク・プロジェクトがはかどり、1人環境でやるより2〜3倍のスピードで進む。・ 中長期的な個人プロジェクトも挫折せずにやり切ることができる。・ 知人・友人とのストレスフリーな人間関係が築けて幸福度が上がる。

ただの作業会であるもくもく会ですが、見方を変えると作業がはかどるだけでなく、現代ならではの新しいつながり方の最適な形の1つにもなります。

作業前に頭の中にあるモヤモヤの発散も重要

PC

いきなり仕事を始めようと思っても、なぜか集中できない人には「チェックイン」が有効かも。

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久しぶりに会った相手と何も話さずに作業スタートしてしまうと、「本当は話してスッキリしたいことがあったのにモヤモヤした」という結果になる場合があります。

これでは集中力が落ちてしまいますので、今の考えごとを自由に話せる冒頭の時間(チェックイン)を確保することが重要です。

順に話すルールにすることで、1人だけが一方的に話したり、初参加の人が輪に入りにくくなったり、不平等な会にならないようにする効果も狙っています。

組織内の会議前であれば5分程度で終わるチェックイン時間ですが、個人同士が自由に実施するもくもく会では、チェックインは合計15~30分とたっぷり取ることを推奨します。

時間の使い方を合理化しすぎて大事なものを見失った組織の感覚に毒されすぎず、個人の豊かさを優先して人間らしいライフスタイルを送る上でも、チェックイン時間の確保は必須と言えます。

心理学の「一貫性の原理」を使った強制行動システム

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フリーランス仲間ともくもく会をしばしば実施している、筆者の加藤こういちさん(右)。

筆者提供

一般的にルールのない作業会・勉強会ではダレてしまい、結果的におしゃべり会・ネットサーフィン会になってしまうリスクがあります

それを防ぐため、心理学の「一貫性の原理」(言った手前やらざるを得なくなる心理効果)を徹底的に使います。具体的には、作業直前に「これから何をどの程度するのか」という作業目標を各自で宣言します。

この原理を、30分単位のヘビーローテーションで活用することで、確実に作業がはかどる強制環境を生みだすことができます。

フィードバックのメリットは「成果改善」「コラボ」

成果改善メリット:気づけなかったアウトプットに対する客観的なフィードバックを相手から得られる(「作ったパワポのスライドの読みにくさの指摘」など)

コラボメリット:お互いのプロジェクトが見える化されるので、お互いの知見、人脈などを通じて助け合いのコラボレーションが自然発生する可能性が高まる。

また、もし上記2つのような事象が起きないもくもく会になったとしても、本来の目的である作業そのものははかどった1日になるため、どちらに転んでも生産的な1日になるのがもくもく会の良さと言えます。

ストレスフリーな人間関係を生み出すエコシステム

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ストレスフリーな人間関係を生み出すエコシステムにもなる(写真はイメージです)。

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ここまでご説明した通り、もくもく会には作業が劇的にはかどるという快適な効果があります。それに加えてもう一つ、ストレスフリーな人間関係を生み出すエコシステムであるという点もお伝えしたいです。

大人になると年に1度の同窓会や近況報告以外はあまり会う機会がなく、組織以外での人とのつながりが希薄になります。

一方で、アウトプットでつながるもくもく会は、短いスパンでもお互いに自然に会う機会になるため、昔ならもっと会う機会があったような仲の良いメンバーと自然に集うイベントになるのです。近況を細かく共有するため、社会的に1つのセーフティネットになる場所だとも考えています。

実際に、筆者はもくもく会のおかげで、学生時代に戻ったかのように、知人友人と自然に会う日常を過ごしています。個人でやるべきタスクが多い時代ゆえに会うヒマがなくなるどころか、むしろ会う頻度が上がっているのです。また、お互いの生活に何かしら危機が発生しても、すぐに知ることができています。

理由としては以下の通りです。

・「話さないこと」が前提の集まりが、逆に濃いコミュニケーションを発生させる・お互いの興味・関心を自然に開示した濃い時間になる

「作業をすること」が主体であり、参加者同士の「交流」は二の次である前提が良く、休憩時間などに思わず相手と話す内容が、結果的に本当に必要な濃いコミュニケーションになりやすいのです。

また、もくもく会でこなすタスク自体が、その人の関心の中心事なので、それをお互いに見せ合うことは「一般的な自己紹介」よりよほど「本質に迫った自己開示」になることが多いのです。

仲の良い人ともできるし、募集して知らない人とやるのも良い、というのが、もくもく会がつながりのエコシステムとして優れているポイントです。

「周囲にいる5人」を主体的に選び、人生のハンドルを握る

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筆者自身、フリーランスとして1回4〜7時間程度のもくもく会を計5人と定期的にクローズドで実施しています。頻度は相手によって「2週間に1回」「3週間に1回」「1カ月に1回」などに分かれています。

「周囲にいる5人の平均的な人間になる」という有名な言葉の通り、主観的な世界観をコントロールすることにもくもく会を活用しています。人生で影響を受けたい価値観の合う人ともくもく会でマメに接点を持つ機会を意図的に作っています。

アウトプット作業でつながるので、趣味が一緒である必要はなく、相手選びの自由度は高い。

それにより、主体的に「社会派」「ライフスタイル重視派」の仲間に囲まれ続けることで、拝金主義的な価値観から離れてローコストで人間らしい生活をこれまでずっと維持できてきました。

もくもく会を通じて、みなさん個人のプロジェクトの生産性を上げながら、価値観の近い人とつながり続けることで、自分の人生を主体的にコントロールできる人が増えていくことを祈っています。


加藤こういち:シェアリングエコノミー研究家。シェアリングエコノミーを1,000回以上・50種類以上活用しながらミレニアル世代のライフスタイルにどう入れていくべきかを研究中。5年前に上京してからシェアエコで孤独を解消したことをキッカケにその魅力にはまる。シェアエコ事業者、ホスト、ゲスト視点でバランスよく、業界情報を整理して発信することで社会貢献するのがミッション。

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