5thアベニューのアップルストアには2つの「リビング・ウォール」がある。
Mary Meisenzahl
- ハイテク企業がオフィスや小売スペースに植物、特にリビングウォールを設置することが増えている。
- アップルは、リニューアルしたニューヨーク5番街のストアに2つのリビングウォールを備え、このトレンドの採用企業の1つになった。
- これらの設備は、主にミレニアル世代の植物と健康に対する嗜好によって推進されている。
ハイテク企業やベンチャー企業が植物をオフィスや小売スペースに取り入れることが増えている。
Plant Green Designのステイシー・コールマン(Stacy Colman)氏によると、このような環境に配慮したデザインへの移行が進んでいるのにはいくつかの理由があり、一つにはミレニアル世代の嗜好が関係しているという。
ミレニアル世代は植物が大好きだ。アマゾン(Amazon)は現在、家庭用の観葉植物を販売していて、The Sill、Bloomscape、Hortiといったコンシューマー向け観葉植物のスタートアップも現れている。サブスクリプションや「ペットに優しい」「枯れにくい」といったことを売りにするキットもある。
リビングウォールの設置を行っているHabitat Horticultureのセレーン・バックリー(Serene Buckley)氏も、植物がストレスと生産性に与えるプラスの心理的影響に注目している。
ミレニアル世代の植物と健康への愛着は、オフィスや店舗を快適にして従業員がより長く勤めてくれるようにという企業のインセンティブと合わせて、「植物の壁」の人気が高まる環境を作り出している。
花を組み込んだイーベイ(eBay)のように、ロゴを植物で作るのはハイテク企業にとって特にホットなトレンドだとバックリー氏はメールで語った
カリフォルニア州サンノゼにあるイーベイの社名ロゴ。
Planted Design
ミレニアル世代はさまざまな産業を壊滅させると恐れられているが、この世代は「植物への愛着」があり、上の世代よりも頻繁にモンステラやポトスのような植物を購入している。 この傾向は、フリマアプリのポッシュマーク(Poshmark)のオフィスでも見られた
カリフォルニア州レッドウッドシティにあるポッシュマーク本社の植物の壁。
Planted Design
ミレニアル世代は自宅で植物に親しんでいるので、オフィスにも植物を欲しがるとコールマン氏はBusiness Insiderに語った。中国企業のテンセント(Tencent)はオフィスのリビングウォールにロゴを組み込んでいる
カリフォルニア州パロアルトのテンセントのオフィス。
Habitat Horticulture
スニーカーブランドのオールバーズ(Allbirds)のオフィスには、さまざまな色合いの2つの大きな植物の壁がある。コールマン氏によると、むき出しの白い壁よりも家のような温かさを感じられる
オールバーズのサンフランシスコ・オフィス。
Habitat Horiculture
ミレニアル世代は「ウェルネス世代」でもあり、Global Wellness Instituteのレポートによると、ウェルネス関連製品は世界で4兆ドルを超える市場がある。セールスフォース(Salesforce)の本社にも植物が植えられ、バックリー氏は健康によい影響を与えるだろうと指摘している
サンフランシスコのセールスフォース本社。
Planted Design
セールスフォースのオフィスの壁には、葉の茂る植物ではなくコケが多く使われている
Planted Design
植物の最も野心的な使用法はアマゾンのシアトルキャンパスで見られる。3つのドームが連なったバイオスフィアがある
シアトルにあるアマゾンのバイオスフィア。
Ted S. Warren/AP
Source:Business Insider
高さ30mのドームでは300種以上の植物が育てられていて、その多くが絶滅の危機に瀕しているものだ
Avery Hartmans/Business Insider
Source:Business Insider
このドームは、植物保全プロジェクトであり、アマゾンの社員が新鮮な空気を取り入れる場所であり、観光名所でもある
Reuters/Lindsey Wasson
周囲に植物を置くことによる健康へのよい影響はよく知られている。実際に二酸化炭素から酸素を生成することで空気の質を改善できる。 また、このスラック(Slack)のオフィスのように、音を吸収することもできる
スラックのサンフランシスコオフィス。
Habitat Horticulture
スラックでは、リビングウォールもフロアデザインの一部で、植物と照明器具を使用して、滝の裏側をハイキングしている感覚を作り出している
滝をイメージしたフロア。
Studio O+A
グーグル(Google)のような企業は、ミレニアル世代の植物へのこだわりを活用している
グーグルのカリフォルニア州サニーベールキャンパス。
Planted Design
昔は大きくて高価な芸術品を設置していた場所に植物の壁を置くことが、会社にとって「投資額に見合う」ことだと考えられている。コールマン氏は、これらを「収益を生むアート」だと説明した
Planted Design
ベンチャーキャピタル企業はこれに飛びついた。 この作品は、サンフランシスコのVC、Ridge Venturesの従業員とクライアントを歓迎する
Planted Design
ディテールをよく見ると、デザイナーが配置した植物のさまざまな色やテクスチャがわかり、興味深いものになる
Planted Design
コールマン氏によると、植物の壁はオフィス環境に「異なる意味」を与え、従業員は庭園で働いているように感じる
サンフランシスコのベンチャーキャピタル企業Combine。
Habitat Horiculture
従業員を引きつけるオフィスの特典にはジャンクフードやケータリングランチなどがあったが、健康志向のミレニアル世代に対しては「植物の壁」が有効だ
レストラン予約サイトのOpen Tableのサンフランシスコ・オフィス。
Planted Design
ニューヨークの5番街の新しくなったアップルストアには、ベンチと充電器の後ろに2つの大きなリビングウォールがある
Mary Meisenzahl
オフィスの場合と同じように、グリーンの壁は環境を改善し、人々が店舗に長く滞在するようになる
ニューヨーク5番街のアップルストア。
Mary Meisenzahl
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)