1月26日、アリゾナ州立大学関係者の新型コロナウイルスへの感染が確認された。
Ross D. Franklin/Associated Press
- アリゾナ州立大学(ASU)で学ぶアジアの学生たちは、大学関係者の新型コロナウイルスへの感染が確認されて以来、これまでと違う扱いをされているとBusiness Insiderに語った。新型コロナウイルスは、中国を中心に感染が拡大している。
- 中でも、中国からの留学生が特に影響を受けていると、ある学生は話している。
- 教室内で避けられたり、ジョークのネタにされたり、感染が確認されたことでキャンパスのあり方が変わったという。
中国を中心に感染が拡大している新型コロナウイルス。アメリカのアリゾナ州立大学(ASU)の関係者がウイルスに感染していることが確認されて以来、アジアの学生たちはジョークのネタにされたり、ジロジロ見られたり、キャンパスで仲間外れにされるなどしているという。学生たちがBusiness Insiderに語った。
「ヒステリーです」とある1年生は語った。生命科学を学び、キャンパス内の寮で生活しているベトナム出身のこの学生は、アジアの学生とそうでない学生の関係に大きな変化があったという。
「教室で咳をすると、みんながわたしを見るんです」
「咳をするのが怖いです」
大学関係者の新型コロナウイルスへの感染は1月26日、大学側が学生および教職員にEメールで報告した。この関係者はキャンパス内で生活しておらず、感染拡大を防ぐために隔離されているという。大学側はこの関係者が学生かどうか、明らかにしていない。
学生たちは大学の対応に批判的だ。中には、教室でウイルスに感染するのではないかと、授業をキャンセルするよう求める学生もいる。2万人以上が大学にさらなる安全対策と情報開示を求める嘆願書に署名した。
Business Insiderの取材に応じた1年生の学生によると、ASUには以前から中国人留学生とその他の学生の間に社会的、文化的分断があったが、ウイルスが「それをさらに明確にした」という。
この学生は、中国人留学生の扱われ方に心が痛むと言う。
「大半の人が無視していますが、耳に入ってくるとわたしは嫌な気分になります」
この学生が履修しているある授業では、学生たちが中国人のティーチング・アシスタントを避けているという。非常に優秀であるにもかかわらず、だ。
「教室では、他に席がなくならない限り、誰もわたしの隣に座ろうとしません」
大学広報は「他の国からの留学生と同じように、わたしたちは中国から来た学生たちを尊重しており、大学コミュニティーを自分たちのホームだと思ってもらいたい」と声明文の中で述べている。
アリゾナ州で育った中国人の学生(4年生)は、アジア系の見た目をした学生の「人種を見極めよう」とする人には嫌気がさすものの、リアクションの違いが「ある意味、おもしろい」という。
「鼻をすすったり、咳をしたりする人へのリアクションの中には、ユーモアがある」
キャンパス内でこの学生が咳をしたり、鼻をすすったりすると、「みんな(でも、大半が白人)がわたしのことをジッと見てくる。多分、わたしが感染してないかどうか、考えているんだと思う」と話している。
キャンパス内で生活している1年生のエリックさんは、冬休みに北京へ行っていたたため、周りに健康状態を尋ねられるという。だが、エリックさんは北京から700マイル(約1100キロメートル)以上離れている武漢の近くには立ち寄っていない。
エリックさんは、自分が周りから「変な目」で見られているかどうか分からないが、もしそうだったとしても、責めるつもりはないという。
「ぼくも不安だし、周りの人に対して注意深くなってる」と言うエリックさんは、人とのハグや握手を避け、頻繁に手の除菌用ローションを使っていると話した。
「アメリカで生まれ育ったけど、見た目が東アジア人というだけで、こっちをジロジロ見たり、積極的に避けようとする人がもっと増えれば、ぼくも気付くかもしれないね」
(翻訳、編集:山口佳美)