2018年のショーでランウェイを歩くベラ・ハディッド。
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- ニューヨーク・タイムズの報道によると、Lブランズのエド・ラゼック(Ed Razek)氏とレス・ウェクスナー(Les Wexner)氏の2人の幹部がビクトリアズ・シークレットの「女性蔑視やいじめ、ハラスメントの文化」を作った。
- 報道によると、ラゼック氏は女性を自分の膝に座るよう求めたり、女性に携帯電話の番号を教えるよう要求したり、自分にキスをするよう求めていたという。
- 2019年10月に辞任したラゼック氏は2018年、モデルのベラ・ハディットについて卑猥なコメントをし、彼女の胸をTV放送しても許されるのかなどと発言したと報じられている。
- スキャンダルの渦中にある同社は2019年、これまでTV放送されてきた毎年恒例のファッションショーをキャンセルした。
ニューヨーク・タイムズの報道によると、LブランズのCEOで創業者のレス・ウェクスナー氏と元幹部のエド・ラゼック氏がスキャンダルの渦中にあるビクトリアズ・シークレットの「女性蔑視やいじめ、ハラスメントの文化」 を作った。
同紙によると、ビクトリアズ・シークレットの親会社Lブランズの元幹部であるラゼック氏は、同社で何度も告発の対象となってきた。
例えば、ラゼック氏は2018年のビクトリアズ・シークレットのファッションショーの試着の最中、スーパーモデルのベラ・ハディットに「パンティーを忘れていけ」などと卑猥なコメントを投げかけたと、このやりとりを目撃した3人がニューヨーク・タイムズに話している。
ラゼック氏はまた、TV局はハディットが「ランウェイをあんなに完璧なおっぱい」で歩くことを許すのか? とも発言したという。2人の目撃者が同紙に語った。同じ日、ラゼック氏は別のモデルの股間を触ったと、3人の関係者が証言している。
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ニューヨーク・タイムズの取材に、同社の幹部はラゼック氏の行動をウェクスナー氏に直接報告したと話している。LブランズのCEOでビリオネアのウェクスナー氏は、未成年女性の売春をあっせんした罪などで起訴された富豪ジェフリー・エプスタイン被告(公判前に自殺)との関係が取りざたされていた。そしてウェクスナー氏自身、ビクトリアズ・シークレットの有害な文化を生み出した1人だった。
例えば、会議で誰かが"あるがままの体型をポジティブに受け止めよう"という動きを持ち出すと、ウェクスナー氏は「美容整形に行って『わたしを太らせて』という人間はいない」と返したと、2人の関係者が同紙に語っている。
ニューヨーク・タイムズによると、ラゼック氏を拒絶したことへの報復もあったという。
ラゼック氏からニューヨークにある自宅でのディナーに誘われたモデルのアンディ・ミューズ(Andi Muise)は、誘いを断ってから同社のファッションショーに呼ばれなくなったと話している。ラゼック氏の多くの口説き文句 —— 主にEメールで送られてきたという —— に対して、ビクトリアズ・シークレットとの仕事上の関係を維持するため、彼女は「礼儀正しい」トーンで対応していたと同紙に語った。
似たような報告は社内で複数上がっていて、ラゼック氏は女性に対し、自分の膝に座るよう求めたり、携帯電話の番号を教えるよう要求したり、自分にキスをするよう求めていたという。
Lブランズの広報部門の従業員であるクロウ・テイラー(Crowe Taylor)さんはかつて、会社主催のランチビュッフェに少し遅れただけでたくさんの人たちが見ている前でラゼック氏に激しく叱責されたと、ニューヨーク・タイムズに語った。テイラーさんはこの件を人事部に報告したが、会社は何の対応もしてくれなかったと話している。
Lブランズのある従業員は、何十件というラゼック氏に対する告発リストを人事部に渡していて、そのリストには女性に対し、不適切に触ったり、「屈辱的な」コメントをしたことなどが含まれているという。ニューヨーク・タイムズはこのリストのコピーを入手したとしている。
ビクトリアズ・シークレットのファッションショーの楽屋で、モデルたちに話をするエド・ラゼック氏(2018年11月8日、ニューヨーク)。
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ラゼック氏が辞任した後、ビクトリアズ・シークレットの広報担当の幹部モニカ・ミトロ(Monica Mitro)氏がラゼック氏のハラスメントについてLブランズの取締役会の元メンバーに不満を漏らすと、ミトロ氏は翌日、会社から休暇扱いにされたとも報じられている。
ラゼック氏はニューヨーク・タイムズに対し、全ての疑惑を否定している。
「この報道における疑惑はまったくもって真実でなく、曲解もしくはコンテクストを無視したものだ」とラゼック氏はニューヨーク・タイムズに語った。「わたしは幸運にも、数えきれないほどのワールドクラスのモデルや才能あるプロと仕事をする機会に恵まれた。わたしたちが互いに抱いている尊敬の念を非常に誇りに思っている」
同紙によると、ラゼック氏の息子であるスコット・ラゼック氏は女性同僚に対する不当な扱いが報じられ、Lブランズ傘下のバス&ボディーワークス(Bath and Body Works)に移籍させられた。女性は会社から非公表の示談金を受け取ったと、関係者は同紙に話している。
ウェクスナー氏の代理人は報道についてのコメントを拒否したと、ニューヨーク・タイムズは書いた。Lブランズの広報担当者は、同社のコーポレートガバナンスは「大きな進歩」を遂げたと同紙に述べた。
2019年11月、ビクトリアズ・シークレットは1995年から続いていた毎年恒例のファッションショーをキャンセルすると発表した。Business Insiderがすでに報じているとおり、ショーは近年、苦戦していて、2013年には970万人いた視聴者の数は2018年には330万人に減った。
ラゼック氏は2019年10月にLブランズから退き、ウェクスナー氏はビクトリアズ・シークレットを売却、引退することを検討中だと報じられている。
(翻訳、編集:山口佳美)