NSAの幹部は、ハッキングの脅威が増大していると警告した。
Associated Press
- アメリカ国家安全保障局(NSA)の法律顧問を退任するグレン・ガーステル(Glenn Gerstell)氏は、ワシントン・ポストとのインタビューで、ハッキングは気候変動に匹敵するアメリカにとって今ここにある脅威であると述べた。
- 彼は、技術の進歩を、アメリカの防諜機関が対処できないかもしれない高まり、「津波」であると説明した。
- ガーステル氏は、アメリカに対するサイバーセキュリティの脅威を警告する元政府高官の大合唱に加わった。
アメリカ国家安全保障局(NSA)の法律顧問を退任するグレン・ガーステル(Glenn Gerstell)氏によると、技術の急速な進歩はアメリカと敵対国と力関係を変化させる可能性があり、連邦政府は増大するサイバーセキュリティの脅威に迅速に対応する必要があるという。
ガーステル氏は、2月3日のワシントン・ポストの記事で、アメリカに対するハッキングの脅威が増大すると予測し、気候変動による脅威に例えた。
「デジタル革命によって生まれた課題も非常に重大で、我々に急速に迫ってきている。それを従来通りに扱い、過小評価するのは危険だ」とガーステル氏。
アメリカの政府機関や民間企業は近年、イラン、中国、ロシア、北朝鮮などからの高度なハッキングの標的にされてきた。ハッカーは機密情報を盗んだり、軍のネットワークを乗っ取ったり、企業のインフラを乗っ取って身代金を要求したりしている。
ガーステル氏は、アメリカ政府はサイバーセキュリティをさらに強化する必要があると言う。具体的な対策は挙げなかったが、NSAは今後のサイバーセキュリティに関する取り組みについて、より透明性を高めるべきだと述べた。NSAにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ガーステル氏は、ハッキングの脅威が高まっていることを警告する元政府高官たちの大合唱に加わったことになる。オバマ政権でサイバーセキュリティ担当アドバイザーを務めたキルステン・トッド(Kiersten Todt)氏は先月、Business Insiderに対し、中国やイラン、サウジアラビアのような国が「アメリカの重要なインフラを攻撃する」可能性があると語っている。
セキュリティの専門家はここ数カ月、NSAにさらなる情報公開を求めてきた。NSAは2020年1月、マイクロソフト(Microsoft)のWindows10に重大な脆弱性があると報告したが、これは政府機関としては前例のない措置だった。しかし、セキュリティリスクを特定するためにどのように民間企業と提携しているかは明らかにしていない。この出来事はセキュリティウォッチャーには危険信号に見えた。
「これらは明らかに通常ではない、注目すべき変化だ。この脆弱性には注目する価値があり、調べる価値もある」と、アメリカ国土安全保障省のコンピュータ緊急事態対応チームを創設し、現在はTenable Network SecurityのCEOであるアミット・ヨラン(Amit Yoran)氏は1月にBusiness Insiderに語っている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)