原因の1つは気候変動…… バッタの大群に脅かされるケニア、たった5機の飛行機で殺虫剤をまいて応戦中

地図

バッタの大群が出没しているエリア(FAOの情報に基づき作成)。

Google Maps/Business Insider

  • 最大でフットボールの競技場250個分にもなるバッタの大群がケニアを襲っている。だが、応戦するためにケニアが持っている飛行機はたった5機だ。AP通信が報じた。
  • 放っておけば、アフリカ東部で数百万人が飢えに苦しむ可能性がある。
  • 国連は、バッタの大群を食い止めるには7600万ドル(約83億円)の緊急支援が必要だとしているが、今のところ1500万ドルしか集まっていない。

状況はとんでもないことになっている。バッタの大群がアフリカ東部を苦しめているのだ。それぞれの大群は最大でフットボールの競技場250個分にもなり、1億5000万匹ものバッタが群れをなしていると、現地当局はAP通信に語った。

バッタの大群を食い止めるためには、国連は7600万ドルの緊急支援が必要だとしている。ケニアには、バッタの群れに対抗すべく殺虫剤をスプレーするための飛行機がたった5機しかないとAP通信は報じた。

ケニアは現在、数十億匹の人間の指の長さほどのバッタに飲み込まれている。近隣のソマリアやエチオピアからやってきたバッタの群れは、ウガンダや南スーダンにも影響を及ぼしかねない。

AP通信によると、「ケニア北東部で見つかった特に大きな群れは、長さ60キロメートル、幅40キロメートルに及ぶ」という。

BBCによると、これほどの規模のバッタの大群が発生するのは、ケニアでは過去70年で、ソマリアとエチオピアでは過去25年で初めてだという。

こうした状況を受け、ソマリアはすでに非常事態宣言をしている。植物を食べるバッタは、ソマリアの収穫シーズンである4月より前にはいなくならないだろうと見られている。バッタの大群の発生は、数百万人規模での食糧危機の原因になりかねない。

国連食糧農業機関(FAO)の緊急支援の責任者ドミニク・ブルジョン(Dominique Bourgeon)氏は、バッタの大群を食い止めるために、現時点でたった1500万ドルしか集まっていないとAP通信に語った。

AP通信によると、今回のバッタの大量発生は気候変動がその一因となっていて、「ここ数カ月にわたる異常な大雨」が特に影響を及ぼしているという。湿度が下がればバッタは生き残ることができなくなるが、そうした状況は6月まで始まらないと見込まれている。

大雨は野菜などの生育を助けるが、バッタの繁殖にとっても理想的な環境を作り出す。ケニアのイシオロ郡の農業責任者Salat Tutana氏は、複数のバッタの大群を殺しても、新たな大群が毎週のようにやってくるとAP通信に語っている。地元当局も、この問題がどれだけ大きくなるかまだ分からないため、さらなる支援を必要としているとAP通信に話した。

バッタは1日で体重と同じだけの食べ物を食べ、最大93マイル(約150キロメートル)を旅することができるとBBCは報じている。

サバクトビバッタの群れ

サバクトビバッタの群れの中を歩く男性(2020年1月17日、ケニア)。

Njeri Mwangi/REUTERS

1月中旬には、ジブチからエチオピアのディレ・ダワに向かっていたエチオピア航空の飛行機が、エチオピアの首都アディスアベバに着陸せざるを得なくなった。バッタの大群が30分間にわたってパイロットの視界を妨げ、「飛行機のエンジンやフロントガラスなどに激突してきた」ためだと、BBCが報じた

FAOは、ケニアのこの問題はさらに悪化し、北部や中部に拡大する可能性があると指摘している。また、「2月から3月にかけて、バッタの数は繁殖によってさらに増える可能性もある」と警鐘を鳴らしている。

エチオピアでは、バッタのせいで農作物の最大90%が被害を受けた農家もあるとAP通信は報じている。バッタの大群は数時間で牧草地全体をダメにすることができる。

[原文:Kenya is being menaced by swarms of billions of locusts, and only has 5 small planes spraying pesticide to fight back

(翻訳、編集:山口佳美) 

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