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ミレニアル世代の資産形成を助ける「3つのバケツ」戦略とは

「3つのバケツ」戦略は、ミレニアル世代に適した資産形成の方法だ。

「3つのバケツ」戦略は、ミレニアル世代に適した資産形成の方法だ。

JASON CAIRNDUFF/Getty Images

  • ライフスタイル・クリープ」(自由に使える所得が増えるにつれて生活レベルが上がる現象)に陥ると、将来に向けた資産形成に支障をきたすうえに、いくらお金があっても足りないという不安感を抱きがちだ。
  • 年に10万ドル(約1100万円)以上を稼ぐミレニアル世代を顧客に抱える、CFP資格を持つファイナンシャル・プランナーは、この世代にありがちなお金にまつわるミスとして、継続的な資産形成の計画がない点を挙げた。
  • このファイナンシャル・プランナーは、ミレニアル世代に適した資産形成の方法として、「3つのバケツ」戦略を勧めている。これは、「今」のバケツに現金を、「あとで」のバケツに短期的な目標のための資金を、「最後」のバケツには、退職後に備える資金を蓄えるというものだ。

人と張り合って最新の流行ばかりを追いかける生活を送っていると、将来に向けた資産を築く道が閉ざされるおそれがある。

ミレニアル世代の中に、年に10万ドル(約1100万円)以上を稼ぎながら、いくら金があっても足りないという不安感を抱いている人がいるのはそれが理由だ。こうした人々は、「ライフスタイル・クリープ」(自由に使える所得が増えるにつれて、生活レベルが上昇する現象)の罠に陥っていると指摘するのは、ギデオン・ドラッカー(Gideon Drucker)氏。CFP資格を持つファイナンシャル・プランナーで、『How to Avoid H.E.N.R.Y. Syndrome』(H.E.N.R.Y.シンドロームを避けるには)の著者でもある。

ミレニアル世代の中でも、こうした人々は「ヘンリー」(Henry)、つまり「high earner, not rich yet」(高収入だが、まだ資産を築いていない)の頭文字を取った呼び名で知られている。継続的かつ自動的に金を貯める計画を立てていない若い世代を指す言葉だ。

ドラッカー氏によれば、ヘンリーたちは、資産形成以外のニーズを優先させている。毎月の月末になると、その時に手元に残っているお金を貯蓄に回しているだけなのだという。

よりよい資産形成戦略としては、「まずは必要なお金をとっておく」方法が有効だ。これは、他の予算カテゴリーに優先して、資産形成に回すお金をあらかじめ取り分けておくという意味だ。さらに、投資した資金を増やす上で、ヘンリーたちは複利効果を活用するべきだと、同氏は付け加えた。

「ヘンリーたちは、お金を使う際のタイム・ホライズン(目的に応じた投資期間)という概念を理解していない」とドラッカー氏は指摘する。そこで同氏がこの世代に勧めているのが、「3つのバケツ」だ。これは、各人の目的に基づいて、お金を3つのカテゴリーに仕分けるというもので「お金をカテゴリーごとに分けておくことで、不安感を和らげる効果がある」と同氏は述べる。

ではこの「3つのバケツ」について、以下に詳しく説明しよう。


1.「今」のバケツ:差し迫った目標のための資金

銀行に預けている資金のうち、容易に引き出せる状態にあるものが、このバケツに入る。別名を流動性資金とも言うと、ドラッカー氏は解説する。

手元にある現金は、すぐにでも使える状態にあるため、最も流動性の高い資金だ。一方、マイホームや、年金口座に預けた資金などは、投資された状態であり、最も流動性が低い。Business Insiderの記事にあるように、これらは、時とともに価値を増していくタイプの資産だ。

記事の中で紹介されているのが、資産形成に関する情報サイト「Workable Wealth」の創設者、メアリー・ベス・ストージョハン(Mary Beth Storjohann)氏の発言だ。

ストージョハン氏はこの記事のなかで、いざという時に備える資金は、流動性の高い預金口座に預けておくべきだと述べている。そうすれば、緊急事態が起きた時に、すぐにその金を引き出せるからだ。ストージョハン氏はほかにも、1%の利息が得られるマネー・マーケット・アカウント(MMA:連邦政府の保険付き預金口座)も流動性が高く、緊急時に備えた資金の預け先として適しているとしている。

2. 「あとで」のバケツ:短期的な目標のための資金

「あとで」のバケツには、成長に関係する資金が入る。ドラッカー氏によれば、このバケツは、子どもを持つ、持ち家を買うといった短期的な目標設定に適しているとのことだ。ここに入る資金については、柔軟に引き出すことができる預け先を考えるべきだと同氏は述べている。

子どもを持つとか、持ち家を買うといった目標は、近い将来の達成を目指しているが、なおかつかなりの額の資金を必要とするケースが多い。そのため、利率はそれなりだが、比較的引き出しやすい金融商品を見つけておきたい。

例えば、高金利の預金口座(high-yield savings accounts)なら金利は1.5~2%なので、従来の普通預金と比べて高い利率の利子がつく。しかも、これは投資商品ではないので、元本割れのリスクはなく、好きな時に引き出せる。

目標達成の日付がすでに決まっているなら、譲渡性預金(CD)もよい選択肢だ。CD口座では、一定の期間(通常は3カ月から5年の間)預けた資金を引き出すことはできないが、それと引き換えに、年間の固定利回りが保証されるとBusiness Insiderの記事は解説している。通常は、違約金を払わない限り、定められた満期日が来るまではCDに預けた資金を引き出すことはできない。

ただし、成長に関する資金の預け先としては、これ以外にも選択肢はある。適切な戦略を選ぶには、具体的な短期目標について、ファイナンシャル・プランナーやアドバイザーに相談するのがベストだろう。

3. 「最後」のバケツ:長期的な目標のための資金

このバケツには、「退職後の生活」のための資金が入るとドラッカー氏は解説する。

退職後の生活資金についてファイナンシャル・プランナーに相談すると、社会保障に頼らないように、というアドバイスを受けることが多いはずだ。投資管理会社のユナイテッド・インカム(United Income)とアメリカ社会保障局の調査によると、退職者が受け取る収入のうち、社会保障が占める割合は約3分の1にすぎない。また、401k(確定拠出年金)とIRA(個人退職口座)に資金を分散するように、というのもよく聞くアドバイスだ。

401kは雇用主が提供する退職年金制度で、従業員は給料の一部を投資口座に拠出する。一方、IRAは、個別の金融機関が設けている退職後の資金のための口座だ。こちらには、通常IRAとロスIRA(Roth IRA)の2タイプがある。ロスIRA口座では非課税で引き出し可能であるのに対し、通常IRAの口座では課税所得となる。

ドラッカー氏は、「第1と第2のバケツでは、タイム・ホライズン(目的に応じた投資期間)を設定する」と解説する。

「第3のバケツに入ったお金については、たとえ取り崩したくなっても、(退職後までは)タッチしないことだ」

[原文:A financial planner says 3 steps can keep high-earning millennials from blowing their money

(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)

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