バーンズ・アンド・ノーブルが「多様性」キャンペーンを中止する。
Courtesy of Barnes & Noble
- アメリカの大手書店バーンズ・アンド・ノーブルが、多様性キャンペーンの中止を発表した。これは大手出版社との提携による「黒人歴史月間」の取り組みの一つで、ソーシャル・メディアでの反発が相次いでいた。
- 取り組みには、古典小説の表紙カバーを多様な民族の主人公にしたデザインに変えることも含まれていた。
- 「表紙は、黒人の声や有色人種の作家たちの代わりにはならない。彼らの作品や言葉は、読まれるに値する」とバーンズ・アンド・ノーブルはツイッター(Twitter)で声明を発表した。
アメリカの大手書店のバーンズ・アンド・ノーブル(Barnes & Noble)が、物議を醸しているキャンペーンの中止を発表した。古典小説の表紙のデザインを変え、多様な民族の主人公のイラストにするというものだった。
「多様版(Diverse Editions)」と名付けられたこの取り組みは、出版社のペンギン・ランダムハウス(Penguin Random House)と提携して「黒人歴史月間(Black History Month:アメリカ、カナダにおけるアフリカ系の偉人やアフリカ人の歴史を回想する行事)」の一環として、2月3日(現地時間)に発表された。バーンズ・アンド・ノーブルは新デザインの本を、ニューヨーク五番街にある同社の旗艦店で販売する予定で、『フランケンシュタイン』『オズの魔法使い』『ロミオとジュリエット』などが含まれていた。
バーンズ・アンド・ノーブルはツイッターで声明を出し、「この取り組みを中止することを決定」し、2月5日夜に予定されていた五番街の店舗でのイベントも中止すると述べた。
「バーンズ・アンド・ノーブル五番街店での多様版プロジェクトへの懸念を示した声を聞き、中止を決定した」と声明には記されている。
「多様版は、さまざまな民族出身でさまざまなバックグラウンドを持つアーティストによってデザインされた限定版のカバーで、古典小説の新たな表紙を表現したものだった。表紙は、黒人の人々の声、有色人種の作家たちの代わりではない。彼らの作品や声は、読まれ、聞かれるに値する」
反発は、2月4日に始まった。最初に有色人種の作家や著名人ら数名がツイッターで、この取り組みに言及したためだ。
私たち:ねぇ、有色人種の作家の本を出版できたらいいのにね ——
出版業界:黒人のフランケンシュタインはどうでしょう
ジャニーヌ・カミンズ(Jeanine Cummins):私は、顔のない人たちに顔を与えたいのよ
バーンズ・アンド・ノーブル:お任せを
バーンズ・アンド・ノーブルがやろうとしてたのは、何て言うか、ネットフリックス(Netflix)が、見てもらいたい番組の背景に黒人のエキストラを入れるようなこと……
バージニア州で上院議員に立候補した作家のカシム・ラッシード(Qasim Rashid)は、バーンズ・アンド・ノーブルの経営陣の画像を投稿し、「企業が人種に関してよくわからないことをする時はいつでも、まず取締役会をチェックする」と記した。
#BlackHistoryMonthで、本当の意味で多様な著者を推すのではなく、バーンズ・アンド・ノーブルが選んだのは、白人の著者が書いた本の表紙を、黒や茶色の顔に変えることだった
どこかの企業が人種に関してよくわからないことをした時はいつでも、まずは取締役会のメンバーをチェックするようにしている
やれやれ
出版中止となった表紙の一部を見てみよう。
『オズの魔法使い(The Wonderful Wizard of Oz)』
Courtesy of Barnes & Noble
『フランケンシュタイン(Frankenstein)』
Courtesy of Barnes & Noble
『白鯨(Moby Dick)』
Courtesy of Barnes & Noble
『秘密の花園(The Secret Garden」)』
Courtesy of Barnes & Noble
『ピーター・パン(Peter Pan)』
Courtesy of Barnes & Noble
『ロミオとジュリエット(Romeo & Juliet)』
Courtesy of Barnes & Noble
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)