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神田松之丞が「伯山」襲名、末広亭に徹夜組も。ファン100人超の熱気をルポ

朝5時半の時点で40人ほどが列を形成。人気ぶりが伺える。(*編集部で画像を一部加工しています)

朝5時半の時点で40人ほどが列を形成。人気ぶりが伺える。(*編集部で画像を一部加工しています)

撮影:吉川慧

講談師の神田松之丞改め六代目神田伯山の真打披露興行が2月11日から、東京・新宿末広亭(2月中席夜の部)で始まる。この日は興行初日ということもあり、整理券を求めて早朝から熱心なファンが集まった。

記者が始発で末広亭を訪れたのは11日午前5時30分ごろ。日の出前の新宿の空はまだ暗い。しばらくすると、付近の路地にはゴミ収集車がせわしなく行き交った。時折りカラスの鳴き声も聞こえてきた。この時、末広亭前には、すでに40人ほどが並んでいた。

寝袋姿や徹夜組の人も。折りたたみ椅子を持参したり、「寒い寒い」とかじかんだ手を吐息で温めたり、その場で飛び跳ねたり、体を揺らして寒さをしのごうとする人の姿も見られた。

末広亭の待機列は11日午前6時半ごろには100人を超えた。列はさらに伸び続けている。(*編集部で画像を一部修正しました)

末広亭の待機列は11日午前6時半ごろには100人を超えた。列はさらに伸び続けている。(*編集部で画像を一部加工しました)

撮影:吉川慧

午前6時半頃、待機列が100人を超えたことを確認した。日本演芸史に刻まれる「六代目伯山」誕生という歴史的瞬間を目撃したい。そんな熱き思いを胸に秘めつつ、列に並んだファンは真冬の新宿の身を切るような寒さをジッと耐え忍んでいた。

午前6時50分、整理券の配布が始まった。午前7時時点で、162番までの整理券が配布された。

整理券を受け取る人々。みな口々に「よかった!」「嬉しい!」と安堵や歓喜の声をあげていた。

整理券を受け取る人々。みな口々に「よかった!」「嬉しい!」と安堵や歓喜の声をあげていた。

撮影:吉川慧

末広亭の木戸(入場券売り場)に掲出された注意書き。待機列が長くなった場合の並び方が書かれている。

末広亭の木戸(入場券売り場)に掲出された注意書き。待機列が長くなった場合の並び方が書かれている。

撮影:吉川慧

末広亭によると、興行初日の11日は整理券380枚を用意。先着順で配り終わった時点で札止め(満員)となる。整理券は1人1枚限定。

師匠の人間国宝・神田松鯉をはじめ「笑点」の司会でおなじみの春風亭昇太(芸協会長)、二つ目ユニット「夢金」で共に研鑽を積んだ柳亭小痴楽など豪華な顔ぶれが登場する。

師匠の人間国宝・神田松鯉をはじめ「笑点」の司会でおなじみの春風亭昇太(芸協会長)、二つ目ユニット「成金」で共に研鑽を積んだ柳亭小痴楽など豪華な顔ぶれが登場する。

撮影:吉川慧

初日のゲストに毒蝮三太夫が登場。六代目伯山が尊敬してやまない落語家の故・立川談志の盟友だ。

2019年12月13日放送のTBSラジオ「神田松之丞 問わず語りの松之丞」によると、当初は交流のあるお笑いコンビ・爆笑問題に初日の出演をオファーしようとしたが、TBSラジオのイベントと重なってしまったため、5日目(2月15日)に登場する。

松之丞改め六代目神田伯山とは

「100年に一度の天才」「いま最もチケットが取りにくい講談師」と称される講談師。独演会のチケットは毎回、即日完売。寄席の出演日は立ち見・札止めが恒例となっている。

1983年6月、東京・豊島区出身。尊敬する人物は故・立川談志、伊集院光、アントニオ猪木など。

2007年に武蔵大学を卒業後、人間国宝の三代目神田松鯉に入門。柳亭小痴楽(2019年真打昇進)ら、落語芸術協会(芸協)の二つ目11人が結成したユニット「成金」に参加。若者を中心にファンを拡大した。

襲名する「神田伯山」は講談界の大名跡。1976年以来44年ぶりの復活。当代で六代目となる。

ラジオ番組「神田松之丞 問わず語りの松之丞」(TBSラジオ)は、毒舌ぶりや赤裸々な青春時代のエピソード、プライベートの告白、仕事の失敗談や愚痴など飾らない人柄から繰り出されるトークでカルト的な支持を集める。

ファンの間で特に「神回」と讃えられるのが、2019年9月16日の放送だ。「命」と名付けらたこの回で、出産後に自宅に戻った妻が出血多量で意識を失い倒れてしまった日のことを赤裸々に語った。

この放送は2019年日本民間放送連盟賞の優秀賞(ラジオエンターテインメント部門)を受賞した。過去回はTBSラジオクラウドで聴くことができる。

テレビでの活躍も止まらない。「松之丞カレンの反省だ!」「太田松之丞」(ともにテレビ朝日)など冠番組のレギュラーも持つ。

2018年にはアニメ「ひそねとまそたん」(総監督・樋口真嗣、シリーズ構成岡田麿里)では戦闘機に擬態するドラゴン「まそたん」役を務めるなど多才な一面をもつ。漫画「ONE PIECE」とのコラボも話題になった。

長らく低迷が続いた講談の普及にも努め、著作『"絶滅危惧職"講談師を生きる』『神田松之丞 講談入門』なども発表。講談をもとにした絵本シリーズの監修も務めている。

2019年12月、真打昇進・襲名に向けた記者会見では「僕が呼び屋になって、どんどん(講談が)広まっていって、色々な先生や後輩の魅力とか『あ、こんな人もいるんだ』というのが広がれば一番の本望」と意気込みを語った。

襲名に合わせて、YouTubeチャンネルも開設。2月16日にはTBS「情熱大陸」に登場する。

伝統芸能「講談」とは

日本の伝統芸能の一つ。フィクションで登場人物の会話をメインとする「落語」とは異なり、主として史実にちなんだ政談、軍記、敵討ちなどの物語を語る。

代表的なものに「源平盛衰記」「三方ヶ原軍記」「寛永宮本武蔵伝」「慶安太平記」「赤穂義士伝」などがある。

「釈台」と呼ばれる机の前に座り、「張り扇」と呼ばれる小道具を釈台に叩きつけて調子をとりつつ、テンポよく話を語る。

「講釈師見て来たような嘘を言う」という言葉も残るが、臨場感たっぷりに語られる物語が講談の醍醐味だ。

六代目神田伯山の真打昇進襲名披露の日程

新宿末廣亭 2月11日(火・祝)〜20日(木)夜席

浅草演芸ホール 2月21日(金)〜29日(土)夜席

池袋演芸場 3月1日(日)〜10日(火)夜席

国立演芸場 3月11日(水)〜20日(金・祝)昼席

お江戸上野広小路亭 4月1日(水)昼席

(文・吉川慧)

編集部より:初出時、キャプションをユニット「夢金」としていましたが、正しくはユニット「成金」でした。訂正いたします。2020年2月11日 13:25

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